第17話
オレは服部と蘭がいるリビングに向かった。
「蘭……」
蘭の後ろ姿を見た瞬間、思わず声が出てしまった。
蘭と服部は驚いたようにこっちを見た。
「新一……!」
「博士、工藤君いくらなんでも遅すぎるんじゃない?」
博士は私が声をかけるとびくっと体を震わせた。
「あ、哀君か。わしも心配なんじゃよ。新一になにかあったんじゃないかと思ってのぉ」
「まさか。あの解毒剤は完璧だったわ。間違いなく元の彼に戻っているはず……」
自分だけが心配してたんじゃないのかと安心した。それにしてもおかしい。約束の3時をとっくに過ぎている。もう既に色んな人達が集まっている。
「博士、電話してみた方がいいんじゃない……?」
「そ、そうじゃな」
博士が受話器を取って電話しようとした時、ふとやってきた人を見て思った。
「待って、博士。蘭さんがいないわ」
「な、何じゃと!?」
そして私はある結論に達した。
「きっと蘭さん工藤君の家よ。何故かは分からないけれど工藤君のことを知ったんだわ。大阪のあの子は来てるんだもの。間違いないわね。今電話しても無意味だわ」
博士は状況を悟ったようで静かに受話器を戻した。
「……分かった。それなら1時間ぐらいは何か他の事が出来るように考えるべきじゃな」
「そうね」
「新一……?」
「蘭……」
察しのいい服部はさっきオレに目配せして部屋から出て行った。
一歩ずつ蘭の元に近づく。
「ただいま。蘭」
言った瞬間蘭は一筋の涙を頬に流した。
「らっ、蘭。何で泣くんだよ?」
「だって……心配してたんだよ?今まで新一とは電話ばっかりだったじゃない」
「蘭……」
「新一がどこかで怪我してたりしないかとか不安でしょうがなかったの」
蘭の想いに今まで自分がしてきたことがどれほど蘭の心に影を落としていたのか改めて気付かされた。
「……蘭、ごめんな……全てオレが悪かったんだ。蘭をこれだけ傷つけてきたオレが言っていいことなのか分かんねーけど」
オレは一旦そこで言葉を切った。蘭の様子が見たかったから。
さっきまで目に涙を浮かべていた蘭の姿はそこになく、真っすぐにオレを見つめている。
今までずっと伝えたかった言葉。それが今やっと伝えることが出来る。
オレは蘭にまた近づき、抱きしめた。
「し、新一?」
蘭はオレの行動にかなり驚いたようで、腕の中からオレを見上げた。
「蘭、オレ……蘭が好きだ。」
「えっ!?」
「蘭に出会ってからずっと、オレは蘭の事が好きだった。この地球上を探してもオレには蘭しかいねー。これからもオレの隣にいてくれねーか?」
やっと言えた。何度この日を夢見たことか。
「新一……私も……」
「えっ?」
蘭の頬がほんのり赤くなった気がした。
「好きだよ……新一」
オレはそのあと蘭に短いキスをした。
ほんのり頬を赤く染めた蘭が愛おしかった。
――神様、ありがとう。オレは世界一の幸せ者だぜ。
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