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いよいよ恵理が俺のものに……
俺は軽く興奮を覚えながら、そっと恵理を抱き締めた。
だけど俺の中で僅かに残っていた『理性』が、いつの間にか俺と『現実』とを繋ぎ留めてしまっていた。
俺は、俺を受け容れようとしてくれている恵理に対して、自分の想いを抑え込むしかなかったんだ。
逃げ出す俺に、恵理は……

その女 ☆ 危険人物!!!
作:かずたか



第62話 『恵理』


「つ・か・さぁあああ〜〜〜」

「はっつ、はひっつ……」

俺の声が上擦った。

恵理は俺の身体を組み敷くと、地獄からの使者か? って思えるホドの掠れた声で俺を呼んだ。

ん、なっつ……ナニ?

俺はこれから恵理にナニをされるのか判らない恐怖に怯える。

恵理は護身術の有段者であり、本物モノホンの真剣を遣っての抜刀術、蒼月流師範だ。幾ら恵理がオンナだからったって、その気になれば普通のオトコなら簡単に捻じ伏せるコトが出来るだろう。

しかも、この部屋のドコカに真剣が隠されているのかと思うと、正直マジで生きた心地がしねーよ。

「どうして? アタシじゃ駄目なの?」

「……」

それかよ。

で、少し安心。

俺、殺されるかと思ったし。

「アタシが司より年上で……おっ、お……おお『おばさん』だから?」

『おおおばさん』???

……

恵理は自分でも認めたくないだろうその言葉を、ドモリながら口にする。

「なっ、ちっつ、違う! 違いますってば!」

ブンブンと乱暴に首を振り、慌てて恵理の言葉を否定した。

ナンてコトゆーんだよっつ!

アオイの言ったコト、まだ気にしてンのか?

「だったら……どうして? ……ね? 本当のコト、言って?」

「……」

「怒ら……ないから」

本当に恵理は怒ってなかった。

ムシロその逆。

切なそうに俺を見上げて来た恵理の眼には、今にも溢れ出しそうな涙を湛えてウルウルしていた。

俺としては半分否定で半分肯定。

恵理から逃げ出してしまった自分が情けなく思えたが、その反面、逆に逃げ出して正解だったんだと自分を擁護していたし。

どっち付かずのいい加減。俺ってこんなヤツだったのか?


今は……今はまだ……

「……言えません」

「やっぱり……」

恵理は項垂れ、大袈裟なくらいにガックリと肩を落とした。

「だから、違うって」

マジで俺にはもう少し時間が必要なんだってば。

今までずっと、付き合っていたオンナは『遣るタメのオンナ』だった。だから、えっちナシでのその……アレだ。『清い交際』とかってーのは俺のアタマには無くって……

恵理にもさっきみたいにチョッカイ出しちゃったりしたけど……

ああもう……どう言えばイインダよっつ!

自分でもワケが判んなくなって来た。

「何が……ナニが違うのよっ? アタシの事、好みじゃないってハッキリ言えば? 言ったからってアタシがココを追い出したりなんかしないわ。司を勝手に連れて来たのはアタシだもの……?」

煮え切らねー俺に苛立っちまったのか、恵理は興奮気味に息を荒らげ、早口で捲し立てた。

『いっその事、嫌ってよッツ!』って言わんばかり。

俺に喧嘩吹っ掛けてやがるのか?

なのに自分は……ナニ剥きになって泣きべそかいてンだよ?

言ってるコトバと、表情がゼンゼン逆じゃねーか。

ったく……

仰向けに寝そべったまま、俺は思わず恵理の背中に腕を廻して抱き寄せた。

「……もう言うなよ」

「だって、だって……うう―――っつ」

俺に抱き竦められたのがヨッポド意外だったのか、それとも恥ズイと思ってなのか、恵理が腕の中で暴れる。

細身とは言え、なんてェ馬鹿力。

「放せぇええ〜〜〜」

身体中に力を込めて、突っ張って暴れる恵理。

有段者の恵理を押さえ付けている俺って、実は強い?

……なんて、バカなコト考えてたら、イキナリ恵理の方からキスして来たし。

イテテ……イキオイで前歯がガチ☆って当たったぞ?

「ん、んっ……」

ぎこちなく舌を絡ませて来る。

前より少しは上達したじゃん?

両手で恵理の髪をかすように指を絡めてアタマを掴むと、てのひらに、頭皮の汗ばんだ熱気がジットリと伝わって来た。

俺は柔らかな栗色の髪と、その湿った感触を名残惜しく感じながら、ゆっくりと唇を離した。

「んっんン!」

このままで居たかったのか、恵理は不満そうに鼻を鳴らす。

「時間、くれませんか?」

「……何の?」

「イロイロあって、俺にはセーリが必要です」

なんで恵理を抱けないか……抱けなくなった理由は自分でもう判ってる。だけど、恵理にどう言えばいい? どう言えば納得して貰える? 

……そして俺はこのままココに居て、この状態を続けても良いのか、それとも諦めて出て行くべきなのか……


「男の司に『生理』なの?」

真剣に不思議そうな顔をする恵理。

あらら☆

つか、そっちじゃねーだろよ。

「違います」

普段の恵理って天然過ぎ。

もっとも、俺は最初はなっから知っていたコトなんだけどね。

「いつまで?」

恵理は縋るような眼で俺を見下ろした。

「待てない……」

恵理は溜め息混じりにツブヤイタ。

「男の人が言う『時間』って、アタシ達の感覚よりもずっと長いんだもの」

俺の言葉が恵理の不安をあおったみたいだった。

「司が『五年待って』って言えば、アタシは、アタシ……本当に『おばさん』になっちゃうよ……」

そう言って凹み、恵理は俺の素肌の胸に顔を埋めて来た。

???

恵理とのハナシが微妙に食い違っている気がするのは俺だけか?

「??? ナンのコトです?」

恵理は俺からナンのハナシを聞こうとしてンだ???

思わせ振りな言い方だったが、俺には恵理が言いたかったコトを飲み込めないで居た。

二十五歳の五年後っつったら、ダレだって当たり前に三十じゃんよ。

「え? 違うの?」

「違うって……ナニが?」

イジケたのか、恵理はカルク口を尖らせて、俺の視線を振り払うようにプイッとそっぽを向いた。

「……」

数秒の後、振り返ってジトッと俺を見詰めて来るし。


「課……あ、いや……」

恵理――

見上げて来た恵理の表情が、俺の眼には幼く映った。

そんな……そんな切なそうな色っぽい眼で俺を見ないでくれる?

俺、ヘンなスイッチに切り替わっちゃって、また襲いたくなるから。

「……戻って来たら……」

「え?」

恵理が俺の言葉に反応して頭を上げる。



年に二、三回程度の頻度で開催される他社合同での新製品展示発表会は、もう目前に迫っていた。

毎年遣っている行事だが、期間中、恵理は社長の通訳秘書兼娘として同行するらしい。

部署内では使用する機会が無くって、オクビにも出さなかったが、恵理は医療関係での必須項目である英語やドイツ語はモチロン、フランス語、ロシア語、中国語、韓国語……詰まり、木村工業が海外拠点を構えている国々の言語に堪能で、同時通訳が出来る才女だったんだ。

『その土地で二、三年生活してたら出来るわよぉ〜』って、恵理は暢気に言ってたが、ソイツは特権階級……金持ちの言うセリフじゃねーのかよ?

ダレが外国へ行って、チョコチョコ生活出来ンだよ? ってーの。


開催前には、本会場に赴いて他社との打ち合わせ。終了後には打ち上げや交流会といったイベントがあるらしく、恵理のスケジュール帳にビッシリと書かれていたのを、前に一度見せて貰ったコトがあった。

恵理は、一週間以上もココを留守にするコトになるんだ。

その間、俺はアオイと一緒。

……アオイと?

『ダンナさんになる人……』

アオイが俺に言ったコトバで、少なからず恐怖を覚えていたのを思い出してしまった。

俺は猛烈に不安になる。

ひょっとしなくても、恵理にとってアオイの存在は十二分に不穏要素になるんじゃないのか?

だけど、家出少女(だと俺は睨んでいる)をいつまでもかくまっているワケにもイカナイだろ? 

早いうちに頃合を見計らって、警察なり相談所なりに連れて行くさ。



「うん、課……や、恵理が展示会から帰って来るまで。それまで待って」

「それだけ?」

「それだけ」

俺は恵理の言葉を復唱する。

「ココから出て行ったりしないでよ?」

恵理は半分納得出来なかったみたいだった。フクザツな表情を浮べて、組み敷いている俺を覗き込む。

「ええ」

ソレってさっき怒ってた時に言ってたのと、ナンだか矛盾してねーか???

「逃げないでよ?」

「……え? え、ええ」

……念を押す恵理にチョッと退きギミの俺。

ソコまで言われると、『マジで逃げちゃおうっかな〜』なんて考えてしまうぞ?

冗談だがな。

一度離していた恵理の身体を、俺は再びソッと引き寄せた。

「約束……しますから」

出来るのか?

この俺が?
 
内心不安。

「う……ン……」

俺の腕の中で、半信半疑の様子を浮べている恵理がこくんと頷いた。

「司?」

「ナンです?」

もおー、ナンでも聞いてくれっつ。

ギリ寸で恵理を失望させてしまった分、質問には逃げ出さずに答えないと……ってゆー、使命感っつーか、強迫観念から俺はヤケになって開き直っていた。

「アタシの事……『恵理』って……呼んだ」

ナンだ。そんなコトか……

チョッとだけホッとした。


……思えば恵理との出会いはサイアクだったからな。

直接口には出さなかったが『馬鹿女』から『課長』……そして今は呼べるようになった『恵理』……

恵理は何も変わっちゃいないと思う。

……俺のせいで、多少(?)えっちに目覚めた感が拭えねーが……

変わったのは俺の気持ちだ。

恵理に対する俺の気持ちが変わっていたからだ……と思う。


「いけませんか?」

俺は少しだけ意地悪く言ってやった。

「ううん」

恵理はそう言って表情を緩めると、嬉しそうに頬を赤らめて首を横に振った。

−「……嬉しい」

小声で恵理はそう言った。

タブン、俺に聞かせるつもりは無かっただろうと思うけど……シッカリ聞えちゃってたぞ?

俺はくすぐったいトコロを、このコトバでコチョコチョッとくすぐられた気がした。

そして、俺の上に乗っていた身体を何やらモゾモゾと動かせて、下半身に移行中……???

ナニしてんの? 

そう不思議に思って訊ねようとした時だった。

「あう?」

恵理の右手が、パワーダウンした相棒に触れて来たし。

「えっつ、恵理……? っあ!」

「んふっ、なぁに?」

恥ずかしそうに俺を見上げる恵理。でもナンだか嬉しそうに見えるのはナゼだっつ???

恵理は俺の相棒をソット掴むと、サワサワと撫で上げて来る。

時々、細い指先が俺の蟻の門渡りを探るように這って行った。

「!?……っあっつ……」

チョッとコレは気持ちイイかも……

俺は恵理の勝手にサセテヤル。

おれ自身、大して反応しねーだろ?

……って、思ってたら……相棒は早くも元気復活。今にも腹に着いちゃいそう。

途中で辛いストップ掛けちゃったからな〜。

上半身を起こし、背後に両手を着いた俺は、素直に反応する自分の相棒を見て、チョッとだけ不憫に思ってしまった。

「やーん、司ぁ」

恥ずかしがってンだか、喜んでンだかよく判らねーぞ、その表情。

「ちくちくするぅ〜」

真っ赤な完熟トマトみたいになった恵理の指先が、修復途中の俺の陰毛に触れた。

そんなに剛毛じゃねーんだけど、生え掛けだからだよ……

「って、ダレがこんなにしちゃったンですかね?」

俺が意地悪くそう言うと、恵理はえへへと笑ってゴマカシタ。

「だって、司が先にあんなコト……する……から」

恵理は俺に顔を埋めると、チロチロと舌先を遣って舐めて来た。

こんなコトすんの、今までのオンナの中で一番ヘタッピで……もの凄〜くギコチナク俺の相棒に触れているのに、もの凄〜く感じてるのはナンデだよ……???

少しの間、恵理はタメライながら俺の相棒に触れていたが、徐々に慣れて来たのか今度は俺が教えたように、グッと力を込めて扱き始めた。


恵理の柔らかい唇が、俺の相棒を呑み込んで来た。

「ぁう……は……ぁ……」

息を乱し、思わず声が漏れる俺。

全身が火照って熱いっつ!

恵理のコト、意識すればするほど『恥ズイ』って感情を強く意識してしまう。

だから……なのか? 

だからこんなにカンジルのか?

ココ最近、噴火までに至っていなかった俺は、恵理のフェラにたちまち兆候をモヨオシテしまった。

ちと自分的には早過ぎる感があるが……

このままじゃ、恵理の咥内に遣っちまう……

「課……恵、理……ぁあっつ、離し……」

「あぐぅ?」

「出るっつ! 出るから早く、離して!」

イクっつ! やっ、ヤバイ〜〜〜っつ!

俺は慌てた。

恵理は初めてなんだ。

大抵、初めての咥内でオトコのモノを受け留めればどんなリアクションになるのかを知っているし、実際に何度かその状態を眼にしていた。

だから恵理がどういった状態になるのか、十分に予測が付いていたからこそ、そうなって欲しくはなかったのに……

「う〜う?」

「早くぅ〜はっ、離れ……」

っぁあああ――――――っつ!!!

ドクン!

下腹部が大きく波打った。

続いて断続的に力が入って、俺は『熱』を絞り出す。

「う……???」

恵理の身体が一瞬ビクンと跳ねた。

そしておもむろに俺から離れる。

「……」

あ〜あ。

遣ってしまった……

俺はナンだか恵理にすまない気持ちでイッパイに……? 

あ? あれ……?

「……」

ナンとも……無いの……か?

恵理の膨らんだ頬が、俺のモノでイッパイに満たしているってコトを証明してた。

やや涙眼になりながら、俺と視線を絡めて必死に微笑もうと努力しているみたいだが……

「大丈夫?」

ホントに?

「ん……」

俺の問い掛けに、頷いたトタン……

「ぐっ! うぐっつ! ……うう」

涙眼になった恵理はお約束。物凄い勢いで何度も大きく嘔吐えずき、全部床に吐き戻してくれた。

「うえええ〜〜〜」

「☆……」

……やっぱりな。

吐いちまうのは恵理だけじゃナイ。

そりゃ判っちゃいるんだが、何度眼にしてもあんまし……気分の良いモンじゃねーんだよな。







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