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バックから襲おうとした俺は、恵理の過激な拒絶に遭ってしまった。
『恵理、ナニか隠してる?』
過敏に防御する恵理。
それは、自分(恵理)がいい加減に処理してしまったアンダーヘアが原因だった。
俺を襲いに来ておいて、処理を忘れていました……だなんてチョットおかしかったぞ?
俺は恵理に悪戯をしたくなって、恵理に剃毛処理をしてやった。

その女 ☆ 危険人物!!!
作:かずたか



第50話 裏会社?


「ぅう……っあ、あ……」

はあぁ、はあぁ、はあぁ……

俺はタマラナクなって、窓に貼り付けられてグッタリとしている恵理の姿をオカズに、二度も自慰ヌイてしまった。


拘束を解き、俺は気を失った恵理を窓から解放してやる。
 
俺は恵理を左肩に軽々と背負ってベッドまで運んだ。

そっと仰向けに寝かせると、俺はその左隣にうつ伏せになって添い寝する。

「……」
 
失神とは言っても、結局は寝た状態となんら変わらない。
 
トク、トク……
 
少し早い心音と、呼吸音。
 
恵理の心音を聴いていると、俺はナゼだか落着ける。
 
社内であった俺的にはアウト! なミスや、何気に言われて落ち込み、その自分に嫌気が差して更に落ち込むって言う悪循環さえも無かったみたいに。

俺の心が無風状態の湖面に……まるで鏡の水面みたいになって行く――
 
 
……恵理の心音、落着ける――

 
俺は眠くなり、ボンヤリとした眼で恵理の横顔をジッと見詰めた。
 
丁寧に整えられた細い眉。日頃から、恵理は『メイクは眉が勝負なの』って、通勤時間の信号待ちにフィットの中でよくオテイレしてるよな?
 
長い睫はくるんと上向きにカールしている。
 
高過ぎず、低過ぎずの丁度イイカンジの鼻スジ。
 
さっきの俺の悪戯の余韻だろう。頬がホンノリと染まっている。
白い肌に薄っすらとチークを差したみたいにキレイだ。
 
ヤヤ小振りの唇は、形もバランスが取れている。
他の部分とは違って肉厚ってカンジでオイシソウだ。
 
唇が薄いと情が薄く、逆に厚いと情にあつくてもろいって、ドコカで聞いたコトがあった気がする。
 
なまじコレってデマじゃねーのかも知れない。
 
俺に対しては例外だが、普段の社内の恵理は、結構人情家なトコロがある。

頼まれれば他部署との合コンセッティングも、ニコニコしながら快くお引き受けしたりしてるのを、俺は休憩中の部署内で二、三度見掛けていた。
 
他人の恋愛に関してはトッテモ積極的なのに、いざ自分のコトとなると及び腰……ってアリかよそんなの?
 
……案外そいつは、『上司』としての務めだからと、恵理本人が勝手に思い込んじゃっているせいなのかも知れないな。

他人より、マズは自分が大事……だろ?

婚約者が居るって俺にバレちゃったけど、デートで遅帰り&朝帰り……なんてコト、俺がココに来て知っているのは※−1)たった一度だけだ。


……望んでイナイのか? 伊達部長との婚約を?


それとも俺に対して、無駄なエンリョなんてのをしてンだろーか……?

……まさか……ね?

俺は、『在り得ねー』と首を横に振った。

 
利き手人差し指で、柔らかくて弾力のある、恵理の唇のラインをそっとなぞった。

「あ……ん、ふぅ……」
 
寝惚けた恵理が俺の指先でカンジテイル。

「くす……」

俺は表情を和らげてカルク笑った。

チョットふざけてクンニしただけなのに……そんなに失神スルほど気持ち良かったのか?

「……」

いかん。

マブタが重たくなって来た。俺も早く寝ないと朝が……


  *  *  *


「っはよ〜司ぁ〜、アタシ先に行くから〜」
 
遠くで恵理のゴキゲンな声が聞こえた。

珍しいコトもあるもんだな? 俺よりも先に恵理が起きてる。

いつもなら低血圧の低体温を誇る変温動物並みの恵理が……早起きだなんて。

今日の天気、大丈夫かぁ?

俺はまだ寝惚けて惰眠を貪り中……


「お先ぃ〜」

がちゃん☆

玄関のドアが重々しく閉じられた。

……って、ええっつ???

俺はガバッと上体を起こし、慌てて時計を確認する。

始業時間まであと一時間弱。

うわ〜、急がねーとこの時間じゃヤバイんでナイ?

俺はベッドから飛び起きると、自分が真裸マッパだと言う事を思い出した。

ササッと視線を走らせて、夜中に脱いだパンツを捜し、ソレを手にする。

「んっ?」

妙な違和感を覚えた。

俺はピタリと静止する。

……ナンだかコカンがスースーする??? し……?

不思議に思って、視線を今日も元気な相棒に落としてみる。

「んなっつ……なっつ……」

ナイッツ!!!

声にならない。

タチマチ頬が熱くなり、俺は強烈な羞恥心に晒された。


……ヤラレタ!!!


俺の落とした視線の先には……周りがキレイサッパリしちゃっているのに、それでも元気に朝立ちしてる相棒のヒサンな姿があった。

その姿は……(チョット大きな)小学生か?

『お返し』かよ? マッタク……

「……」

眠ったアト……あれから俺は、恵理に剃毛のお返しを受けちまっていたらしい。

マジで『トホホ』な状態だった。

こんなのじゃ、セフレのホンモノ彼女達に逢えないじゃねーかよっ!!!

つか、剃ったコトがないから……コレって何日くらいで元に戻るんだろーか???

チクショウ。こんなコトになんなら遣るんじゃなかった〜〜〜っつ……

どうりで恵理が早く起きてると思った。



俺はキッチンに立ち、トーストをクワエて器用に口だけでカジリながら、ネクタイを締める。

コーヒーも淹れるかと思ったが、時間がソレを許してくれそうにナイ。

でかい冷蔵庫を開けて一リットル牛乳のパックを取り出し、左右に小刻みに振った。

このカンジからして、あと三分の一は残っているな?

パックの口を引き出して直飲みする。

恵理が目撃したら、俺、殺されそうな光景だ。

「ぷはあっつ!」

俺は牛乳を一気飲みすると、グイッと手の甲で口元を乱暴に拭き取った。拭き取って汚れた手は、ニオウと拙いから水でサッと洗い流す。

IDタグが組み込まれている社員証と、携帯。それに免許証をパンツのポケットに捻じ込んで、俺は急いで恵理のアトを追った。

先に行ったと言うコトは、恵理は自分のBMで行ったってコトだ。これは、以前からの暗黙の了解だった。

アト、三十五分。社内工場説明会に間に合うのか?


  *  *  *


「よお」

急いで駐車場に来た俺を出迎えたのは、成和会の水守みかみだった。

俺は条件反射で辺りに視線を奔らせるが、どうやら今日は独りみたいだ。

濃いグレーの高そうな上着ジャケットを脱いで、肩に羽織らせ腕組みをしている。

上から目線の態度に『遅せーよ』って意思表示が出てらぁ。

フィットの運転席側ドアに凭れ掛かり、ずっと俺が来るのを待っていたらしい。


「水守さん? ……どうしてココに?」

俺は胡散臭そうに下から目線で水守を見上げた。

水守もそこのトコロは承知しているみたいだ。

「今からじゃ遅刻確定だろうが。いい度胸しているな? オマエ、上司である恵理の『顔』潰す気か?」

これ見よがしに腕時計に視線を落とし、オモムロニ懐から煙草を取り出して一服する。

※−2)ブランパンの腕時計。コイツも高そうな時計してやがる。

「あの、俺時間無いんで、そこを退いてくれませんか?」

つか、ジャマだ。退けよ水守。

「オマエの腕なら間に合うってのか?」

水守は俺の苛立ちなんか『ヘ』とも思っていないらしい。フィットのドアから離れようとはしない。

「遣ってみなくっちゃ判りません」

「……ふーん……大した自信だな?」

水守は何食わぬ顔で俺のコトバを無視して、物憂げに煙草の煙を吐いた。

シカトすんのか? コノヤロウ。

「俺、急いでるんです。そこ、退いてください」

「……」

水守は俺の反応を面白そうに眺め、余裕をコイテ煙草をフカシながら携帯を取り出した。

「あの、時間、無いんですって……」

俺はもう一度繰り返したが、水守は全くの無反応……つか、シカトだった。

ヘタに力ずくで……ってやれば、俺、今度こそ命ナイかも。

ナンでこんな時にコイツがココに居るんだよっつ???

「あ、恵理? 俺だ」

「へっつ?」

水守が掛けた相手は、ナンと先に行ったハズの恵理。

俺はポカンとして水守を見詰める。

「コイツ、暫らくの間、借りるぞ? ……ん?……ああ……いや? その辺は……大丈夫だろ?」

恵理とハナシながら、水守は俺の方をチラチラと横目で見てくるし……

「……ん?ああ……判った」

Pi!

水守は白い携帯を懐に戻すと、俺の方に向き直り、片方の口端を上げて不敵に微笑する。

……ナンだか厭な予感だぁ。

「聴いた通りだ」

「はあ?」

つか、聴いたってナンのコトだか判らなかったぞ?

「恵理から許可を貰った。暫らくの間、オマエの身柄は俺が預かる」

「え?」

「会社の業務はオマエ独り居なくても大丈夫だそうだ。今から『仕事』をこなして貰おうか」

「……?」

チョット待てよ。水守が俺に遣らせようとしてる『仕事』ってナンナンダよ? 

地元暴力団の成和会だぞ?

幾ら木村工業の裏会社って言ったって、日の当たるよ〜な品行方正な『仕事』じゃねーだろーがっつ???

「会社の方は『出社』扱いにしてやる」

「えええ――――ッ???」

奇妙な扱いに、俺は耳を疑った。

セッカク(チョットだけ)工場説明会楽しみにしてたのに……

「……」

ドン退きしている俺を見て、水守はクククと面白がって笑ってる。

笑うな! 水守。


※−1) 第22話 遅い帰宅 をご参照ください。
※−2)ブランパン(BLANCPAIN) フィフティ ファゾムス フライバック クロノグラフ      (Fifty Fathoms Flyback Chronograph)







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