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俺は恵理にフェラの遣り方を、目の前で実践しながら教えていた。
ソレは……詰まり恵理の手を遣って、俺の自慰行為オナニーを見せたってコト。
あともうスコシで抜けそう……だったのに……
隠しやボカシのナイ目の前で見せられた『行為』に恵理はドン退きしてしまい、遂には俺さえをも拒絶して逃げ出してしまった。
恵理に、自分独りのユッタリとした時間をジャマされて、俺はイタズラ半分で遣っちまったんだが……チョット調子コイて遣り過ぎちゃったかな?

その女 ☆ 危険人物!!!
作:かずたか



第41話 木村工業・・・1


「はい」

「あ、ありがとうございますぅ」
 
俺は給湯室に常設されているサーバーからコーヒーを淹れると、机の上に彼女専用の持ち込みマグカップを置いた。
 
白地に赤茶色の子猫のイラストが描かれている、女の子らしいデザインのカップだ。
 
俺のはまだ持って来てないから、女性社員が選んで購入した部内共用のカップ。
 
苺のリアルな花の絵が描かれているコーヒーカップだ。
 
確かナントカストロベリーって言って、初めてそのカップを遣おうとした俺に、彩加さやかちゃんや美紀みきちゃん達女性社員が『ゼッタイに割らないでよ?』って、すンごい顔して脅迫して来たっけ?
 
来客用のカップだからとか言ってたよな?

「砂糖とミルク要った?」

「あ? え? こ、これで好いです。ブラックで」

「あ、そう?」

「……すみません。教えて頂くだけでなくって、コーヒーまで淹れさせちゃって……私ったら……」
 
彼女はオトコの俺にコーヒーを淹れさせたコトを気にしているのか、少しハニカンで遠慮しながらそう言った。

「いいよ別に。俺が飲みたかったし」
 
う〜ん、コレが恵理なら『アタシ、今はコーヒーじゃなくって紅茶がイイの!』とかって言いそうだな?

 
俺はカップを片手に視線を部署内の広々としたフロアへと移した。
 
約十メートル程離れた机で、電話応対をしている恵理をチラリと横目で盗み見る。
 
いつも思うコトだが、このフロアには常時二十五、六人の人間が居て、内線、外線ともに問い合わせ等の電話がよく掛かって来る。
 
けれど、誰もが声を潜めて遣り取りをするせいでフロア内は殆んどシン……と気味が悪いくらい静まり返っている。
 
俺はこの息が詰まりそうな静けさに慣れるまで、少しばかり時間を要した。

 
再び目の前の彼女に視線を戻す。

「……」
 
ダイジョウブかぁ? さっきと画面が同じじゃね?

「出来そうですか? 判らなければ、遠慮せずに言ってクダサイよ?」
 
俺は次回のプレゼンに使用する、パワーポイントの画面操作を彼女に指導中。
 
う〜ん、この調子で今週中に完成出来るのか?

「コマンドは一度に全部覚えなくってイイですから、今使用しているコマンド機能に集中して下さい。ご自分でメモ書きは遣っていますか?」

「はい」
 
おお、スナオな返事。
 
俺はPCに向かっている彼女の右端に立ち、机に片手をついて同じ画面を覗いてている。

 
彼女―― 徳永とくなが美奈みな。二十七歳。
 
美奈は部署内の庶務一般を任されている派遣社員で、とり立ててCADキャドISOアイソと言った特殊な図面が作成出来るワケじゃない。
 
エクセルでの簡単な表作成なら美奈にも出来るが、会社はそれ以上の能力を期待して美奈を採用してはいない。
 
今回、美奈が遣っている作業には、内容上図面を読み取ったりする多少の知識が必要だった。なのにこんなコトをさせられているのは、フロアに居る殆んどの社員が来月に催される他社との新製品合同発表会関連の業務にかかりっきりになってしまったからだ。
 
新製品となれば、試作品プロトタイプの過程で特注部品だったモノを、標準化部品に登録したり、メンテナンスに必要な代替品のメドもある程度は見越してリストを作成しておかなければならない。
 
……と、ココまでは普段の業務がチョット忙しくなっただけのコトだったのに……
 
出ちゃったんだよなぁ〜、発表間近の製品の一台に不具合が。
 
お陰で一気に猫の手も借りたい状況になってしまい、山積してしまった業務のシワ寄せが美奈に廻って来てしまったんだ。
 
コレって、彼女の就業契約規定外じゃないのか?
 
 
そして美奈は、比較的他の奴等(社員)よりもヒマそうに……いや、聞き易そうだった俺に協力を求めて来た。
 
同じ女性である社員が居るにも関わらず……だ。
 
大きな声じゃ言えないが、人が多く集まるとどうしても派閥が生まれて来る。成和会の水守みかみの受売りじゃないが、そう言ったコトはよくあるコトだし、社員は社員。派遣・パート社員は……ってぇ考えでの切り方もあるワケだ。
 
俺は新卒の正社員だったが(過去形)、ワケあって頻繁に休んでいたから、一部の企画からハズされていた。
 
モチロン研修も未修になっている箇所が多々ある。
 
ソレは次回の中途採用者と一緒に履修するコトになっていた。
 
入社約半年が経ち、俺の同期社員はそれぞれに業務をソツ無くこなし始めていた。
 
けど、俺は未だに遣えねー社員――
 
俺はそのタメ、ある意味派遣・パート社員的な扱いを既に何度か受けていた。
 
だから、普段の正社員達の目線からは気付くコトが出来ない『待遇の不利的条件』……派遣・パート社員の立場……みたいなモノを、彼等の目線で捉えるコトも出来たし、判ってあげられるツモリでいた。

 
俺が所属している第三設計課は、主に製作した製品のメンテナンス関連を扱っている。
 
第一設計課が、新規の開発製品の企画草案を立ち上げ、第二設計課では実際に図面作成と商品の製作。そして第一、第二設計課で商品化された製品のメンテナンス用仕様書関連図面の製作と、廃止部品への互換可能部品の選定が、この第三設計課での業務になる。
 
要するに、始末屋ってトコロかな?
 
設計課と大まかに分類されてはいるが、各部署での業務内容はそれぞれが多岐にわたっている。
 
俺が居る(本社)本館には、この三つの設計部署が在るだけだが、木村工業のバカデカイ敷地内には幾つもの社屋である別館があり、敷地内だけでも十ホドの設計関連部署が設立されている。
 
それらを俺達の三つの設計課が最終的に統括とうかつ、運営しているワケだ。

 
部署内での効率アップ目的の改善案件をテーマにして、年に一度各拠点を含めた全社で、部署ごとに競い合うイベントがあった。
 
確か、去年の優勝者チームはグアム旅行と賞金二十万だったな。
 
で、その大会用プレゼンであるパワーポイントを、美奈と一緒に作成中ってぇワケ。
 
発表用の原稿はもうアゲて貰っているから、後はデータを視覚的に訴えるパワーポイントの作成だけで済むんだケド……

 
壁に掛かった時計を見た。
 
二時間かぁ。
 
美奈……そろそろ集中も限界かな?
 
まあ、初めてなんだから時間が掛かるのは仕方ないんだけどね?
 
今日は残業して、コレもう少し手伝っておくか。
 
俺は無意識に、本日の晩飯用買い物予定を逆算していた。

「今日はこのくらいにしておきましょう。明日はもう少しこなせるとイイですね?」
 
俺は美奈の前で爽やかに笑って見せる。

「スミマセン、日高さん。お忙しいのに態々わざわざお時間を頂いて……」
 
美奈はそう言って俺を見上げた。
 
少々ギスギスした細身の恵理とは違い、美奈はややポッチャリ型。
そのせいか、彼女のイメージがフンワリかつ、オットリとしている。

「……?」
 
美奈と視線が合った。
 
お互いの時間が少しだけ停まった気がする。
 
ナンだ? この空気は?

「……あ、あの……」
 
先に美奈が沈黙を破った。

「はい?」

「このプレゼンが終わったら、その……」
 
気持ち、頬を染めている。
 
どうしちゃったんだ?
 
俺はいぶかって首を傾げた。

「……」
 
美奈が俺の笑顔に戸惑ったのか、両手で口元をカルク押さえた。まるで、これから自分が言おうとする言葉を途中で遮って飲み下すみたいに。

「何か?」
 
はにかんだそのワケが聞きたくなった。

「その……わ……」

「おい、日高?」
 
言い掛けた美奈のコトバに被せるように、鈴木主任が背後から俺を呼んだ。

「あ、はい?」
 
振り向いた俺の視線は、鈴木主任の鮮やかなペン回しを捉える。
 
お〜、あれがウワサのソニックか……つか、動き早えっつ!!!

「白石課長が呼んでる」

「え?」
 
鈴木主任はそう言って恵理がいる方向へと顎をしゃくった。

「……?」
 
俺は鈴木主任の視線を追って、課長である恵理を振り返った。

「……」
 
恵理は視線を合わせると、俺に席を外すようにと目配せで合図を送って来た。
 
落ち着きを無くした恵理の視線とサエナイ顔色から、用件がタダゴトじゃナイってコトくらい俺にだって察しは付く。

「早く、行け」

「あ、はい」
 
主任のコトバに後押しされて、俺は不安を抱きながら一歩を踏み出した。

「じゃ、徳永さん、コレで失礼します」

「は、ハイ……ありがとうございました……」
 
ハナシの腰を折られてしまった美奈はザンネンそうに席を立ち、ぺこりとお辞儀をすると、身体の前で右手を小さく振り、俺を見送ってくれた。



「ナンの用です?」
 
事務所から出て、通路を足早に歩く恵理の回りを俺はグルグルと付きまとった。
 
モチロン、通路に人の気配がナイのをトックに確認しているから出来るコトだ。
 
……ってぇ、俺ってイヌ???

「鬱陶しいわね。ドコかに遊びに行っているんじゃないのよ?」
 
恵理は形のイイ眉をしかめると、キャシャなフレームのメガネ越しに俺をカルク睨み付けて来た。
 
う〜〜〜ん、ご機嫌ナナメ?

「ふふん? 昨日のコト……怒ってるんだ」
 
擦れ違いざまにそっと囁くと、俺は通路で白昼堂々大胆にもユルフワカールの恵理の耳元に近い髪に、素早く「ちゅっ!」と音を立ててキスをした。
 
そして、昨夜風呂場での出来事と、そこから逃げ出してしまった少女の様な恵理を思い出して、にやにやと笑う。
 
……まあ、正確にはまだ少女だが……

「んなっ……ばっ、ばば馬鹿なコト言わないでよッツ!」
 
恵理が真っ赤になって怒り出す。
 
う〜〜〜ん、怒った顔もステキだぁ。
 
コトバにすれば、速攻で殴られそうなので、心の中で呟いた。

 
ガタン!
 
通路に設置してある自販機で、誰かがジュースを買った。
 
誰も居るハズがないと思っていた俺達は、人の気配に飛び上がる。

「だ……」
 
誰だと言い掛けた、俺の口が開いたままになった。

「お〜お、真っ昼間っから見せ付けてくれるなよ?」
 
不機嫌なその声に、聴き覚えがあった。
 
自販機からジュースを取り出して俺達に背中を見せている人物が、缶のプルタブを開けながら、おもむろにコッチを振り返る。
 
背は俺よりも高くて、肩幅もダンゼンソイツの方が広い。メンズ雑誌のモデルで遣っていけそうなそのオトコを、俺も少々不機嫌なツラで出迎える。

「てぇ、アンタ水守さん? ナンでココに居るんだ?」
 
水守は余裕をカマシ、缶ジュースを一口ゴクリと飲んだ。
 
飲んでいるのは……うげ、野菜ジュースだよ。
 
つか、まだ健康気にするトシでもね〜だろ?

「飲むか?」
 
水守は、手にしている野菜ジュースを見た俺が退いているのを、目敏めざとく見付ける。

「えっ? いや、要らない」
 
つか、オマエとの間接キッスは、絶対にイヤだし。
 
俺の素っ気無い返事に『当たり前だ(冗談だ)』って顔をして、水守はニヤリと笑った。
 
そして残った缶の野菜ジュースを一気にあおる。

 
水守が背後に向けて放り投げた空き缶は、見事専用のダストボックスに飲み込まれた。
 
……『総会屋』って言っても、遣るコトは俺と同じだな? 
 
スコシだけ親近感。

「今日は仕事。野暮用だ。おい、ポチ?」
 
へっつ???
 
水守、今ナンか言ったよな?

「オマエだって。ポチ」
 
……うん?
 
フリーズした俺に、水守はヤレヤレと首を横に振ると、右の人差し指で俺をビシッツ!!! っと指差した。
 
え? 俺?
 
ポチってぇ俺かよっつ???

「この場合、オマエしか居ないだろ?」

「ええ〜〜〜っつ?」
 
空気が読めない俺に、水守は痺れを切らせた。
 
事務所(成和会)の連中でも震え上がる一瞥を鋭く俺に投げ付けた。

「張り倒すぞ? も、一回ヤキ入れてやろうか? 今度は俺が直々に?」
 
め、め、滅相もございませ〜ん。
 
たちまち水守の脅しに怖じ気付き、俺はブンブンと首を乱暴に振った。

「恵理ぃ〜こんなポチなんか止めにして、やっぱ俺と付き合わね?」
 
水守は俺のコトを鼻で笑ってアカラサマに見下した。
 
恵理はと言うと、グラマラスな胸の前で腕組みをして、芝居がかった仕草で悩んでいる。

「そおねぇ〜。考えてみようかなぁ〜」

「ホント?」
 
嬉しそうに訊ねた水守に、恵理はフフッと笑ってその場をゴマカシタ。
 
アノ……冗談言ってる場合じゃないっしょ?








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