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ドウシテ有紀が俺の居場所を知っていたのか?
それは、有紀が一緒に連れて来たゴツイオトコが物語っていた。
有紀は俺を本気で殺しに来たんだ。
何のために?
俺は、初めて出逢った時に、有紀が持っていた、たくさんのメモリを見てしまっている。恐らく、有紀はそのことを覚えていたんだ。
俺は自分の背筋が冷たくなるのを感じていた。

その女 ☆ 危険人物!!!
作:かずたか



第36話 刺客? 


「冥土の土産ってぇヤツですかぃ?」
 
俺を背後で押さえ付けながら、オトコはウヒヒと下衆に笑った。

「……そうね……」
 
有紀は俺の正面にひざまずき、微かな溜め息を漏らすと、俺のナマ腰を両腕で抱き締めた。
 
俺の相棒がチョウド有紀の左肩に当たり、有紀は首を傾げて俺の相棒を挟み込む。

「うぐッツ?」
 
ダイレクトな刺激に、俺の顎がびくんと反応する。
 
有紀は俺の反応を面白がっているのか、くすっと笑うと、ソソリ立った相棒に頬ズリして来た。

「うぐう〜〜〜」
 
あ〜んん〜〜〜ヤメロぉ〜!!!
 
俺は身をよじじらせてヨガッタ。
 
見ず知らずのヘンなオヤジに、元気になった俺の相棒を見られて、今まさに有紀からフェラされそうな瞬間までも見られてるだなんて、情けねーよぉー!

「ん、んあ!」
 
俺は最期の力を振り絞って暴れた。

「きゃっつ?」
 
膝で有紀の胸の辺りを押して倒す。

「コイツ! ジッとしてろィ!!!」

「うぐっつ!」
 
ウシロのオトコが、俺の拘束された両腕に、外側から自分の腕を深く絡め、俺の後頭部でその手をガッチリと組み合わせる。
 
自然、俺は上半身を折り曲げ、自分の顎を胸元にくっつけて項垂れた状態になる。
 
唯一、自由だった両足も、オトコのデカイクソ足に踏まれて身動き出来なくなった。

「大丈夫ですかい?」
 
オトコが有紀を気遣った。

「だ……大丈夫。ちょっと驚いただけよ?」
 
有紀がそう言うなり……
 
俺の左頬に破裂音とヒリツク痛みが奔った。
 
だけど、俺の口にはサルグツワがしてあるから、それが緩衝材の役割を果していた。テニスと護身術で鍛え上げられた、怪力の恵理に殴られるよりはゼンゼンマシだ。

「司、往生際、悪過ぎよ?」

「う〜うう〜〜〜!!!」
 
悪くてイケナイかよ?
 
コッチは恐怖と羞恥心で気がヘンになりそーだっつーの!!!
 
俺は必死に訴えたが、喋れないからムダだ。

「もお、セッカク元気になってたのにィ」
 
稲穂ヨロシク、コウベを垂れカケタ俺の相棒を包むように手にすると、有紀はその茎に自分の舌先を尖らせて、根元裏スジからカリに向かって丁寧に舐め上げて来た。

「ふが〜〜〜っつ、ううう〜〜〜!!!」
 
よ、止せってば! ヤメロよぉ〜〜〜!!!
 
はあ、はあ、はあ……
 
俺は荒く息を乱しながら、ナントカ抵抗しようと努力するが……有紀のフェラを何度も体験して既に俺の身体が覚えてしまっている。

「ふふっ、司のガマン汁おいし〜〜〜んんっ」
 
はあ、はあ、はあ……
 
ヤメロ〜〜〜
 
俺は快感にホンロウされ、体温が一気に上昇して汗がフキ出し、全身がビクビクと跳ねた。
 
んがあああ〜〜〜!!! 
 
殺されるってゆ〜、こんな状況なのにイッテしまう〜〜〜っつ!!!
 
必死に自分をセーブしようとする俺。このアト、ホントに天国行きなのか?

「そろそろイイですかい?」
 
俺をガッチリと拘束していたオトコが、痺れを切らしたように少々苛立って有紀に同意を求めた。

「ん〜〜〜あ? もおふこひ(もう少し)」
 
はあぁ、はあぁ……
 
有紀の鼻息も荒くなる。
 
俺を咥えたままで喋るなあああ!!! 相棒に響くだろうがっつ!
 
あ……けど……もっ、ダメかも……
 
俺の身体がブルッと身震いしてトリハダ立った。
 
ヤバイ。

そろそろ限界が……
 
有紀はナカナカ俺が反応しないと勘違いしていたのか、今度は容赦ナク喉奥まで咥えて、バキュームフェラをカマシ始めた。
 
ワザと音を立てて俺の相棒を吸引し、有紀はイヤらしく俺を含んだままで上半身を大きく振り動かす。

「ううう〜〜〜んん〜〜〜!!!」
 
うわあああ〜〜〜
 
タチマチモヨオシタ噴火の兆候に俺は抗えず、なす術ナシのお手上げ状態だ。

「ふんっ、ぐううう……」
 
俺は呻いて、断続的に有紀のナカへ発射する。
 
有紀の喉が鳴った。
 
このアトのコトさえ無ければ、俺はもの凄くカンジて昇天出来たってーのに。
 
幾らセフレちゃんの有紀でも、こんなのアリかよ?
 
俺、今度こそ殺されるのか?
 
こんなの……ナンか、『蛇の生殺し』みたいでイヤだぁ〜

「ははっ、兄ちゃん、やぁ〜っとイッたか? ん、じゃあ今度こそ覚悟しろや」
 
にちゃっ……
 
オトコの舌舐め擦りする音が、鮮明に耳元で聞えた。
 
俺は無理矢理有紀にヌカレて脱力&放心状態。
 
そして再びオトコの節くれ立った太い五指が、俺の首に左右から掛けられた――

「……あばよ」
 
オトコが笑った。

 
ダンッツ!!!

 
玄関のゴツイドアから大きな音がした。
 
ナンノ音?
 
あまりの音に、俺を含めた三人がビクった。

誰も声すら上げるヨユウは無い。

「よお、取り込みのお楽しみ中ワルイんだけど……」
 
上から威圧するような不快感を覚えるその声に、俺は聴き覚えがあった。
 
オトコのコトバは丁寧な言い回しだったが、その言い方は乱暴だった。

「そろそろ、お開きにしてくれないか? 待たされるのは嫌いでね」
 
……水守みかみ
 
俺を酷い眼に遭わせた、成和会の幹部。
 
つか、いつの間に? ……そこに居たんだ?
 
背後でオトコがナマツバをゴクリと飲み込む音が聞えた。
 
俺をイイようにもてあそんでくれた二人も、現れた人物が誰なのかをトックに知っているみたいだった。
 
慌ててパッと俺を放り出すと、急いで部屋の奥へと逃げ出した。
 
拘束されていた俺は支えを失くし、下半身を露出したままブザマに引っ繰り返る。

「待ちやがれぇ!」

「こンのヤロウ!」
 
逃げ出そうとした有紀達を追って、玄関からワラワラと数人のオトコが突入して来た。
 
ひょっとして、俺をボコってくれたK−1な奴等、居るのかな?

「おい、ココ土足厳禁だ」

「ああっつっ……とお?」

「はっ、ハイ!」
 
水守のフツーに喋った一言でヤロウ連中がスナオに従い、急いで廻れ右をして玄関に戻った。

そそくさと靴を脱いでいる気配がする。
 
そして奥の部屋でドタバタと……乱闘?

「いったあ〜〜〜い! 放せぇ〜〜〜!」
 
時折、有紀の黄色い悲鳴と、一緒に来たオトコが殴られて呻いている声が聞えた。
 
頼むから、部屋を散らかさないでくれよ?



「うっ……うう……」
 
有紀達二人が、外へと連れ出されて行った後、俺は拘束されたままの手で、下げられていたジーンズを必死に引き上げようとモガイていた。
 
……?
 
傍に来た水守の気配を察知して、俺はコロンとうつ伏せに寝転がる。
 
俺の醜態をコイツにだけは見せたくないと思った。

ソレはタブン、コイツ……水守が恵理と幼馴染で、しかもコイツは未だに恵理のコトが好きだってコトを俺が知っているからなんだ。
 
だから。
 
……今のトコロ、一方的な水守の片思いらしいケド。

「ナントカ無事だったみたいだな?」

「んぐうぅ?(はいぃ?)」
 
水守は俺よりも高い長身を折り、すぐ傍で片膝を着いた。そして俺からサルグツワを解いてくれる。

「んっつ、ぷっはあぁ、助かったぁ〜〜〜来て居たンなら、ドウシテもっと早く助けてくれなかったんスか?」
 
イキナリの憎まれ口……ソレが俺の開口一番のコトバだった。

「水守さんに向かって……テメェ、口の訊き方を教えたろかいっ!」
 
横柄な俺の言いように、水守と一緒に残っていた男が凄んだ。

「まあ、待て」
 
水守はオトコを宥めながら、くっくと笑った。
 
笑い方までキザなヤローだぜ。

「愉しそうだったから、中断出来なかっただけだ」

「アレのドコが『愉しそう』なんスか?」
 
つか、やっぱし見てたんだ。ずっと……?

「違うのか?」

「ったり前でしょ?」
 
白々しいな……
 
俺は反論しながら、未だに穿けていないジーンズにテコズッテいた。
 
うつ伏せになって、芋虫みたいにモゾモゾとウゴメク。

俺の半ケツを見るなっつ!

「それよか、この手錠ハズシテくださいよ?」

「ああ、それか?」
 
水守はそう言ったアト、「ムリだ」と冷たく言い放った。

「鍵はさっきの連中と一緒に……たぶん今頃は事務所に向かっている途中だ。鎖か、本体を壊すか……だな?」

「ええ〜〜〜???」

 
そして俺は水守に細いピンか針金を捜して貰い、自力で手錠をハズしていた。

「器用なヤツだな?」
 
水守が俺のシゴトに感心した。

「コノくらい出来ないと、悪いコトも出来ませんよ?」
 
俺は腹黒く笑った。

「ふーん。俺のトコロに来ないか?」

「い〜え、お断りです。俺、『もうフツーの会社員』ですから」

「フン、意味ありな言い方をするな……ったく、喰えないヤツだ」
 
水守は俺のコトバを鼻で笑い、面白くなさそうにボヤイタ。

「それはお互い様じゃありませんか?」
 
そっちこそよく言うよ……
 
惚けてハグラカソウトした俺に、急に水守は俺の首へと乱暴に腕をマワシテ、ヘッドロックをカマシテ来た。

「なっつ? な、な、ナニすんだよ?」
 
視界が閉ざされたままの俺は抵抗さえ出来ず、水守の小脇に抱えられたままだ。

「お前って、ホント、カッワイクねーな?」

「誰が!」
 
一瞬、ヒヤリとする。
 
俺って水守の趣味……守備範疇だったのか?

……って思ったら……ものの見事に誤解だった。

=「よく聴けよ?」

「?」
 
フザケていた水守の声が、突然マジに切り替わって小声になった。

=「もう判っているだろうが……木村工業が狙われている」

=「どぉ言うコトです?」
 
ツラレテ俺も小声で訊き返した。

=「二日前に怪文書が送られて来た。『木村を潰す』……本社社長室PCに直接メールで送られて来た文面だ。この事は極僅かな上層幹部クラスにしか知らされていない」
 
俺は耳を疑った。
 
大企業の木村工業が狙われている?
 
ソレが証拠に、個人情報の漏洩で、恵理は会社へ……そして俺は、その件に関与していたと疑われている有紀達に、たった今命を狙われた。
 
ジョウダンで片付けられそうだったコトが、事実へと変換されて行く。
 
それを逸早く知っている? 他の社員よりも? ……水守、アンタって一体……? ナニモノ???
 
ドラマじゃあるまいし……馬鹿馬鹿しい。
 
だけど、ホントウに俺は有紀達に命を狙われた……それは紛れも無い事実だった。

=「それって、ガセかも知れないでしょ?」
 
それでも俺は水守のセリフを一蹴しようとしていた。

=「ザンネンだが嘘じゃない。半年前に札幌の関連子会社が倒産を余儀無くされた。今回の怪文書と同じパターンだ。当時は悪質な悪戯だとして会社側は放置し、なんら対策を構じていなかった……知っていたか?」

=「いえ……半年前って、俺、まだ学生でしたから」
 
知らなかった……そんなコトがあっただなんて……

=「恵理によく似たさっきの女……知り合いか? お前だと限定して狙って来たよな?」
 
水守を騙すコトは出来そうも無い。

=「社内重要情報を盗んだのを俺が見てしまったから……」

=「それで口封じか?」
 
俺は頷き、水守はフンと鼻で笑った。

=「つか、怪文書って……それだけ?」

=「企業全体を狙ってなのか、それとも人物を狙ってなのか皆目検討が付かない……人物を狙うなら、恵理も当然含まれると見ていい……この意味、お前、判るよな?」
 
俺はコクコクと頷いた。

=「恵理を……頼む」
 
そのコトバの端々に、「貴様なんかには頼みたくナイ」って気持ちが見え隠れしていた。

「アンタなんかに言われなくっても……」

「判ってる……か?」
 
思わせ振りな言い草に、俺は不愉快にカンジて水守の腕を振り解いていた。

「水守さん、アンタ一体ナニモノなんだよ? 貧乏平社員の俺でなくったって、アンタなら恵理を簡単に護るコトが出来るだろッツ?」

「……それが出来ればお前にナンか頼んだりしない」
 
俺のムカつくコトバにも、水守は穏やかに切り返して来た。

「どういうイミだよ?」

「お前、木村工業が業界のトップクラスに上り詰める事が出来た本当の理由を知っているのか?」

「え……?」
 
……ホントウ……ノ……理由?








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