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恵理が何気なにげに言った言葉は、俺にとって一種の屈辱だったのかも知れない。
『婚約者殿』に、俺がドウシテ嫉妬しないとイケないんだよ?
だけど、恵理は携帯の相手が『会社』なのだと言った。
俺がそんな陳腐なウソを見破れないとでも思っているのかよ?
緊急召集を受けた恵理は、夜、俺を残して出社した。
ヒマになった俺は、テレビで俺達の会社がトンデモナイコトに巻き込まれているコトを知る。
ニュースで記者が言っていた『記憶媒体』のコトバが俺の頭の中でグルグル廻っていた。
そんな時、自分の携帯を見付けた俺は、つい、セフレの有紀に連絡を取っていた……

その女 ☆ 危険人物!!!
作:かずたか



第35話 訪問者?


―「今ね? 司のマンションの下に来て居るの」

「あ、そう?」
 
明るくハシャグ有紀に、ツラレテ俺までがノーテンキに返事をしていた。
 
いや、チョット……待て。

 
――どうやってココを知ったんだ?

 
セフレちゃんの有紀には、俺が住んでいるマンション名とか場所とかを教えてなかったハズなのに、ナンでココが判ったんだ???

―「ね〜え、何号室のボタン押せばいいの?」
 
携帯からの有紀は、鼻に掛かった甘い声でオネダリしてくる。
 
サスガに番号までは知らなかったらしい。
 
教えてナイんだから、コレが当たり前だ。
 
訪問者は、下のエントランスで訪問する部屋の番号を押さなければならないし、更にコッチからも玄関の入り口にセットしているセキュリティ確認の承認ボタンを押さなければ、もう一つの自動ドアは開かない仕組みだ。
 
ドウスルか……?
 
俺は迷った。

―「ちょっとぉ〜、聴いてンのぉ〜〜〜?」
 
焦らされたとでも思っているのか、有紀の声が少しスネる。
 
怒らせるってのも、アトで機嫌取ったりするのが面倒だし……

「あ? ああ悪い。2201」
 
俺は馬鹿正直にココの番号を伝えた。

―「2201? チョットぉ、司って最上階に住んでるのぉ?」
 
有紀の言葉には、「アンタって、ココの大家? そんな風には見えないわよ?」って意味が込められていた。
 
 
――どうやって知ったんだ?

 
つか、やっぱし会って直接有紀に訊きたい……
 
誰かから訊いたのかな? けど、『訊く』つったって……誰に訊くんだ?
 
俺がココで恵理と一緒に生活してんの、知ってるのは当の本人である恵理と俺。で、俺の本当の正体を知らないココのマンションの、極ワズカな住人だけだ。
 
素朴な疑問が俺の好奇心を掻き立てて、警戒心を解きほぐしていた。

―「ま、いっか。サンキュ〜、今ソッチに行くからねぇ〜」
 
有紀の声はいつも以上に弾んでいる。
 
ナニかイイコトあったのか???
 
だけど、ナンかヘンだ……
 
俺は納得出来ないまま、有紀を玄関先で出迎えるハメになった。
 
モチロン、パジャマから手探りでナントカ着替えて……だ。



「ちょ、おっ? おいっつ! 誰が入れって言っ……もがっつ?」
 
玄関で有紀を出迎えた俺は、イキナリ誰かから口を塞がれて、室内へと強引に押し戻されていた。
 
有紀一人を出迎えたツモリだったのに、有紀は一緒に誰かを連れて来ていたんだ。
 
しかも俺の横幅の倍以上もある、ゴツイオトコ!!!

「ごめんねぇ〜、司ぁ、『アトもう少し』の辛抱だから……」
 
有紀は意味深にそう言ってフフッと笑った。

「んん〜〜〜!!!」
 
有紀の連れて来たオトコに、俺は乱暴に羽交い絞めにされ、口にサルグツワを噛まされた。
 
俺は驚いて暴れ出すが、眼が見えない俺がどーやってテイコウ出来るんだよ?

「静かにしやがれ!」
 
羽交い絞めにされた俺の腕が、ウシロから内側に絞り込むようにして締め上げられた。

「ぐうう……」
 
ヤット成和会の連中にボコられた怪我が癒え掛けたってぇトコロだったのに……またしてもピンチかよ?
 
……にしても……コイツラいきなりナンナンダよっつ!!!
 
このオンナ……いつもの『有紀』じゃナイ!
 
出逢った時の有紀のアカヌケナイ印象が、カケラも無かった。
 
つか、これが有紀の素性だったのか?
 
出逢った……時……???
 
俺は有紀と初めて会った時のコトを思い出していた……
 
そうだ、あの時※……恵理に無慈悲にもフィットから放り出されて遅刻させられたあの時だ!

 
俺は出社を焦って狭い路地を爆走していた。
 
会社から急いで出て来た有紀と出会い頭にブツカッテ、そして……

『ごめんなさい。急いでいたものだから……』

『ああ、コッチこそゴメン』
 
そう言って俺が手にしていたのは、有紀が落とした数枚のCD!
 
他にも片手では持ち切れないホドの電子データ。


    * * *

 
それから数日後に、俺は情報セキュリティの社員教育プログラムを受講していた。
 
原則として、提示された保管場所でのみ使用・管理をし、情報レベルに応じた情報管理責任者の承認を取得すれば、持ち出しも可能である。
 
システム部の記憶媒体は、社内指定のSDやUSBメモリにて保存する。
 
個人の席であっても、なりすましに因る不正のリスクを回避するために、入力したIDを次回から入力しなくてもいいオートコンプリート設定の禁止や、ウィルス感染した時の非常事態マニュアル云々うんぬん……といった項目内容だった。

 
もしかして、有紀とぶつかったあの時のCDやSDに、会社の個人情報が……?
 
時間的に考えてもおかしくは無いんだ。
 
しかも、アレだけの枚数量だったんだ。とても個人情報だけで済まされているとは考えにくい。
 
それが本当だったとして……だけど。
 
俺の身体にザワザワとトリハダが立った。
 
ナンデ講習を受けた時、もっと早くに有紀のコトを思い出さなかったんだよ〜〜〜。
 
コレが本当なら、俺……ヤバイ?
 
 
俺は背筋に冷たいモノを感じていた。

「事情があって、ココに来たのだけど……眼を怪我しているだなんて、助かったわぁ〜。なんてタイミングイイのかしら?」
 
有紀は今にも鼻歌が出そうなくらいに上機嫌だ。

「んんん〜〜〜???」
 
ど〜ゆ〜イミだよ?
 
身の危険をカンジて、俺は激しく首を横に振った。
 
ワケの判らない有紀の事情とやらに付き合わされて、コンナ眼に遭っているって言うのかよ?
 
カチャッ! 
 
チャッツ!

「んん〜〜〜」
 
チクショウ! ナニすんだ!
 
俺はオトコから、後ろ手にした手首に手錠みたいなのをハメられ、拘束されてしまった。

「司ぁ? セッカクアンタと仲良くなれたのに、もうお別れだなんて〜残念だわ?」
 
有紀が俺の顎をカルク片手で持ち上げると、その指先をコチョコチョと動かしてクスグッた。
 
ネコじゃねーんだけど?
 
俺の前に居る有紀が、SMの女王様みたいに思えて来たぞ?
 
つっても、ハードなのは勘弁〜。

 
ウシロに立っていたオトコの大きな両手が、俺の首を無造作にガシッと掴んだ。

「ぅぐ……が……」
 
サルグツワをされたまま、俺は大きく口を開けた。
 
自分の首の骨(頚椎けいつい)がメキメキと音を立てているのが不気味に聞える。
 
首のけい動脈はモチロン、強く気道を塞がれて俺の呼吸が出来なくなった。
 
タチマチ耳鳴りがして来て、頭に血が昇った状態になる。

「うぐぅ……」
 
目の前で、俺がこのオトコにナニされていても、有紀は平気なのか?

 
――殺される……

 
カンネンした時だった。

「待ちな!」
 
有紀がハスッパな声でオトコを鋭く制した。
 
トタンにオトコの指先からもの凄い力が消失する。
 
俺はくたっとひざまずき、左肩を床に着けてうずくまると、激しく咳き込んだ。

「ゴホ、ゴホ、ゴホッツ! おえっつ……」
 
俺は吐き気までモヨオして、包帯の下で涙眼になる。

「最期だし、一度だけいい思いをさせてあげるわ」
 
俺に近寄って、有紀は嬉しそうに俺の耳元で囁いた。
 
俺はもう一度小刻みに首を振る。
 
いや、いい思いは結構ですから、俺を解放してココから出て行ってくれっ。
 
そう言いたかったが、俺の声はサルグツワに阻まれて有紀には届かなかった。
 
再びオトコから乱暴に両肩を掴まれて、俺は無抵抗のまま立ち上がらされる。

「ふふっ……」
 
有紀の含み笑いが、妙にイヤラシク聞えた。
 
細い指先がイキナリ俺の股間に伸びて、ジーンズ越しに俺のモノを確かめるように、ソフトタッチで撫で回す。

「んぐう?」
 
ビクッた俺は、慌てて腰を引こうとしたが、背後ではゴツイオトコが俺の後退をガッチリと阻止している。
 
ああう、腰が退けね〜〜〜。

「ふへへ……にいちゃん、イイな? 羨ましいぜ?」
 
後ろで俺を押さえているゴツイオトコの熱い鼻息が、荒々しく俺の首筋に掛けられた。

「んん〜〜〜っつ!」
 
ぞわわ……
 
全身の毛が逆立った。
 
うわぁああ、キモイ!
 
俺、そんなシュミねーぞっつ?
 
俺は掛けられた鼻息の感触を打ち払うように、必死になって首を振った。
 
ぞぞっと身震いする。

「どしたのぉ? いつもなら喜んでるのに……?」 
 
有紀のシナヤカな指遣いが、俺の股間を撫で擦る。
 
ザンネンだが、俺の相棒は完全にチヂコマッて、只今休眠中。
 
つか、無理矢理押え付けられているこの状況下で、どうすれば欲情出来るんだよっつ???
 
俺、ンなシュミねーって!!!

「緊張してるの? うふふっ……司ってば、カワイイ〜〜〜」
 
だっ、だっつ……ダレが『カワイイ』んだよッツ!!!
 
俺が怯えていると知って、有紀はプロのオネイサンみたいな口振りで、甘く俺を誘った。
 
ヤダ。誘いにはゼッタイに乗ってなんかヤンない。
 
俺は固く心に誓った……
 
んが……その誓いは有紀が俺のベルトを緩めた時点で敢え無くミジンに消し去られてしまった。

「ぐ……うう……」
 
有紀は俺のジーンズを緩めて膝まで下げオロスと、今度はボクサータイプのパンツに手を掛けた。
 
ユックリと焦らすように俺のパンツが降ろされる……
 
ああっつ、止めて?
 
興奮してイナイから、パンツはナンの引っ掛りも無くスルリと膝まで落された。

「ヘヘェ? にいちゃん、チイセーなぁ? オイ? オレが前立腺マッサージしてやろうかぁ?」
 
オトコが俺のを見て馬鹿にしやがった。
 
ばッツ……バカヤロウ!!! ジョウダン言うなッツ!
 
自分が殺されるかドウかって時にコーフンしてどーすんだよっつ???

「あーら、宗孫しゅうそん、司を見縊みくびっちゃダメよぉ〜〜〜?」
 
有紀は嬉しそうに俺のナマの相棒をむんず☆と掴んでもてあそぶ。

「んっつ、んあっ……」
 
敏感な部分に触られる度に、俺の身体がビクッ、ビクッと大きく跳ね上がる。
 
恵理と違って遊び慣れしてる有紀は、俺がカンジルトコロを心得ているから、身体的に抗うコトが出来ない。
 
しなやかな指先が、フェザータッチで何度も俺の相棒を上下に往復する。
 
時々強弱をつけてカンジル場所を探り当て、刺激する。
 
ゾクゾクと快感が何度も奔り、脊髄せきずいを伝って俺の頭の中枢部をガンガン刺激した。
 
コレって一種のゴーモンだぞ?

「ううう〜〜〜」
 
うわぁああ〜〜〜、止めろぉ!
 
必死になって呻り、首を横に振って有紀に止めるように頼んだツモリだったが、有紀は一向にオカマイナシだった。
 
気持ちで抵抗しても、結局身体はずっと正直なんだよな?
 
言い訳にならねー。

「ほ〜らね?」
 
有紀がもの凄く嬉しそうにオトコに声を掛けた。

「ほおぉ〜〜〜」
 
俺を押さえているオトコが、元気になった俺の相棒を見て感心する。
 
だあああ〜〜〜、オッサン! タダで見てンじゃねぇよっつ!!!


※ 第12話 職場復帰? をご参照下さい。







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