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『コレで司を買うわ?』
万円札を手にした恵理の言葉に、俺は退いた。
ドコでそんな言葉……つか、遣り方を覚えたんだよ?
お嬢様で居たく……ないのか?
それは今までの恵理の行動から、コタエは十分に出ていたハズだ。
俺は成和会に追われている身でありながらも、いつの間にか恵理の瞳に魅入ってしまっていた……

その女 ☆ 危険人物!!!
作:かずたか



第25話 三万円?


俺はクローゼットの中にあったゲスト用バスローブからヒモを外した。
 
恵理はベッドの端に座り、じっと俺の手元を見詰ている。
 
『ナニするのよ?』
 
恵理の視線がそう俺に問い掛けているみたいだった。
 
俺はソレを恵理の傍に置き、座っている恵理の前にひざまづいた。
 
ヒモは暫らく、そのままで放置。

「また、縛られると思いました?」
 
それはア・ト・デ。
 
恵理の両手を自分の手で包み込むように取ると、俺はイタズラっぽく笑って恵理を見上げた。

「……うん」
 
恵理は俺の笑顔に緊張が解けたのか、ホンの少しだけ表情が和らいだように見えた。

「俺が三万っスか? それとも課長が三万?」
 
ドッチだろ?
 
恵理は目を合わせられなくなったのか、恥らうように俺から視線を逸らせた。

「さ、さっき……言わなかった? つ、司を……買うって」
 
オイオイ、声が震えているぞ?
 
ダイジョウブかぁ?

「はぁ俺? 三万って……安ッツ!」

「え?」
 
不満げな俺の声に、恵理は不思議そうな顔をした。

「俺、学生ン時にホスト遣ってたんっスよ?」

「な、ナニ……く、口から出任せ言ってンのよ……学生で……って、で、出来るワケないでしょっつ?」
 
くすっ……
 
真剣な顔をして俺のコトバを否定している恵理が、妙に可愛く見えた。

 
お嬢様だからこそ、俺みたいな奴等の『そんな部分』は見えてないってコトかな?
 
恵理は本気で信じてはくれなかったケド、コレはホント。
 
年齢なんて簡単にサバ読める。
 
その時は、事故の返済金でど〜しても生活出来なかったから……つか、事故る度に金が必要になってホストを遣っていた。
 
純真無垢の俺はドコへやら……客とのえっちに目覚め、俺の生活状況がオカシクなったのもこの辺りからだった。
 
あんまりイイ思い出じゃねーな。
 
今回も、事故後にホストをすればナントカ生活出来たかも知れねーし、モチロンそうなれば恵理とも出逢えなかっただろう。
 
だけど、俺は今度はそうしなかった。

 
俺は水商売自体を非難しているんじゃない。
 
社員として本採用された者が副業を持つコトを、木村工業は社内雇用総則での禁止項目として挙げていたからだ。
 
これが他社だったら、俺は多分ヤッテいたと思う。
 
例え木村工業と同じく社員の副業が禁止されていたとしていても……
 
それだけ、俺には恵理の父親――社長が特別な存在だった。
 
どういったイキサツがあったのかは知らねーが、普通、大企業の社長自らが、俺ゴトキ新入社員の事故見舞いに、多忙を極めている自分の予定を削ってまでワザワザ来てくれるか?
 
本採用されている俺がホストの副業をすれば、それはこんな俺でも採用してくれた大恩のある木村工業の社長に対しての『裏切り行為』だ。
 
だから、貧乏のドン底に蹴落とされても、地べたにハイツクバッテでも、ゼッタイにそれだけは出来なかったし、遣ろうとも思わなかった。
 

「信じて貰えなくっても、別にイイですけど……ね?」
 
昔遣っていたナントカ。
 
俺は恵理と視線を絡ませたままで、恵理の両の手を持ち上げた。
 
そして、その甲にそっとキスをする。

「な、ナニ? いつもの司じゃない?」
 
慌てた恵理がその場をチャカそうとするが、俺は完全にムシしてやった。
 
今の恵理の背筋は、トリハダ状態モードになっているのかも。
 
雰囲気に酔わせて……あ……ダメだ。もう、モタナイ……
 
思わず顔を逸らせた。

「くすっつ……くっくっくっ……」

「?」
 
イキナリ肩を揺すって吹き出した俺を、恵理はまたしても不思議そうに見詰めた。
 
ダメだな俺、スッカリ似合わねーキャラになってんの。

「あ? ゴメ……俺的に……つか、これ以上はムリ」

「……何のコト?」

「課長のナイトに、俺は向かねーってコトですよ」

「?」
 
恵理は俺のコトバに小首を傾げた。
 
しゃーない、三万円分頑張りましょ〜かね?

 
俺は、いつ忍び寄って来るかも判らない『影』が、自分の中で次第に薄れて行っているのを感じていた。
 
それは恵理とこうして一緒に居るからか?
 
……よくは判らないが、今はそう思っておこう。独りでジッとしているよりは遥かにマシだ。

「助かりましたよ」
 
お陰でコワイ雑念が払拭されたし。
 
俺はそう言って、恵理のてのひらに頬ズリした。
 
う〜〜〜ん、香水の甘い匂いが、直に俺の鼻をクスグる。
 
徐々に俺の『スリスリ』が恵理の肩口にまで昇って行く……

「何の……こと? んあ、や、やん……ちくちくするぅ〜」
 
猫みたいに頬をスリヨセてゴロゴロする俺を見て、恵理はくすくすと笑った。
 
伸びかけの髭が柔肌には痛いラシイ。
 
ああ、ホントだ。肌が赤くなってるよ。

「課長……温かい」
 
背中に両腕を廻して、恵理の胸の谷間に顔を埋めた。
 
恵理は、俺の頭を両腕でそっと抱え込む。

「あん、『暑い』……の間違いじゃなくって?」

「エアコン効いていますが?」
 
いや、そーゆー情緒のナイコトを言われても……

「ねえ、司……」

「はい?」
 
首筋にキスの雨を降らせていた俺へ、恵理は避けるように受け入れながらそっと耳元で囁いた。

「アタシに……何か隠してる?」
 
ぎく!!!
 
吐息のような優しい声に、恵理の背中に触れていた俺の手が一瞬止まった。
 
俺が恵理を抱き締めていたと思ったのに、気が付けば、俺が恵理に抱かれていた。
 
優しく見下ろす恵理の視線に、俺は不思議な安堵感を覚える。

「……」

「様子、ヘンよ?」
 
……気付かれた?

「へ、へン? ……ヘンなのは課長の方でしょう? ンなコト言ってると、今度はホントーに泣かせちゃいますよ?」
 
俺は強がって見せた。
 
ハナシをハグラカスように、恵理の豊かな胸に向かって、バスタオルごと上から強く咬み付く。
 
モチロン恵理に傷を付けない程度に加減して……だ。
 
顎を胸に付けて、そのまま恵理をベッドに押し倒す。

「あんっ」
 
ギシッ!
 
ベッドのスプリングにワンテンポ遅れて、恵理の大きな胸のフクラミがハズンだ。
 
前の時もそうだったが、(バスタオルで)寄せて上げられている恵理の胸は柔らかくしたソフトボールみたいで俺はとってもソソラレル。
 
モロ出しの時よりも、見えそうで見えないチラリの方がイヤラシクて、俺はダンゼン燃え上がる。
 
俺は恵理の腰の辺りをまたぎ、上半身だけで軽くし掛かった。
 
恵理が拒否して膝を立てれば、俺はモンゼツ……いや、瞬殺されてしまう体勢だ。

「……あんっつ……」
 
バスタオルからハミ出した、プックリとした旨そうなその胸に、唇と舌を這わせた。
 
片手を背中から放すと、その手で恵理の身体のラインをバスタオルの上から撫でるようにまさぐる。
 
とく、とく……
 
恵理の胸に顔を寄せている俺は、恵理の早い鼓動と浅くなった呼吸音をいていた。

 
俺は恵理のバスタオルのスソを左右にめくり、下半身だけを露わにさせた。
 
スイミングやその他モロモロの(俺は口に出したくはナイ護身術の類)習い事で、恵理の身体は驚くホド引き締まっている。

「んっ……」
 
羞恥心で頬を赤く染めた恵理が、眼を閉じたまま顔を顰めた。
 
ちゅっ、ちゅっ……

「は……あん……」
 
恵理の顎が仰け反り、肩が浮いた。
 
ついばむようなキスが、音を立てて恵理の首筋から胸元、そしてヘソへと降りて来る。

「うん……」
 
俺の指先が、恵理のウチモモに触れた。

「ぁはあぁ……」
 
下半身に下がった俺の頭を押さえたまま、恵理は身体をくねらせた。
 
唇からは甘い吐息が漏れる。
 
恵理は閉じていた脚を、もっときつく閉じようとしたが、俺の指先は既にウチモモから恵理の中へと分け入っていた。
 
俺の左手が、恵理の右足ウチモモから尻へ……そして膝のウシロへと撫で付ける。
 
恵理は俺の手をカンジながらも、促されるようにして軽く右膝を浮かせる。
 
俺は片膝を恵理の脚に分け入れて、脚が閉じられないようにした。

「……はぁん……」

「課長?」

「ぁん? ……なに?」

「ココって気持ちイイ?」

「ああっ! ……ふぁあんっつ!」
 
ビクンと震えて、恵理の顎が上を向き、身体が大きく弓なりにしなった。
 
開かれた白い脚にある、シゲミの奥の更なる奥へと、俺の指先が侵入して行く――








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