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隠れ家②

今回はエロスな露天風呂話です。

苦手な方は回避してくださいませ><



 大小数百の島が浮かぶ翠玉海。無数にある無人島のひとつ、その浜辺から漆黒の空と煌く星々を隠すように湯けむりが立ち上っていた。

 突如出現した大きな露天風呂からは、陽気な鼻歌と弛緩した話し声が聞こえてくる。風呂の中央に配した岩をお互い背にして、直時とフィアが同じ湯に浸かっていた。月や星の光とは別に、風呂の縁や岩のあちらこちらに人魔術の淡い灯りがともり、夜の岩風呂を彩っていた。


「タダトキの国の歌?」

「んー? 何か言った?」

 ご機嫌で「ふふんふ、ふんふんふーん♪」と、歌っていたせいで聞き取れなかったようだ。何となく言っただけなので、フィアも特に聞き返さない。

 二人はそれぞれ目の前に浮かべた木のプレート上の杯を掴み、果実の醸造酒を口に運ぶ。直時が勧めた飲み方である。


「ねえ。やっぱり故郷に帰りたい?」

「どうだろうなぁ。今は特にそうは思わないかな。怖いことも多いけど、見るもの聞くもの全部が初めてのことばっかりで楽しいよ。そのうち帰りたいとか思ったりするかもしれないけど、今のところこの世界を見て回りたいと思ってる。どうせ帰れないんだから、楽しまないと損だしな!」

「どこかに落ち着こうとは思ってないの?」

「落ち着くってか、定住はしたいよ。ずっと根無し草ってのもしんどいもんな。元の世界―フィアにはもう『日本』でも通じるか―日本じゃ定住生活だったからね。前にも言ったと思うけど、自宅と家庭菜園でもしながら時々観光したい。俺が考えてることなんてそんなもんよ?」

 直時が軽い口調で答えた。各国の招致合戦に心が傾いていないか、真意を確かめようとしたのかもしれないと思ったからだ。興味が無いと言えば嘘になるが、大き過ぎる権力には魅力より恐怖を感じるため、直時はこれまで通りの答えを返す。


「富も名誉も女の子も自由になるのに?」

「仮にそれを得た所で維持するため必死になるなんて面倒くさい。俺だって生きるための努力を否定する気は無いよ? でもなぁ、どうも権力維持に要する努力って、性に合う方向の努力じゃないんだよなぁ。俺のモットーとしては『ほどほど』『そこそこ』ってところだしなぁ」

「ぷっ! やってることは『ほどほど』とは程遠いくせに」

 フィアが噴きだした。明るい笑い声が夜空に流れる。


「んーだよ! こっちの『ほどほど』がまだ判ってないだけなんだよ! そのうち身に付くわい! だいたい俺は普人族に見えるけど違うんだからな」

「そうだったわね。異世界人だったわよね。『神人』か…。タダトキを見てるとそんな大層な存在に思えなくてつい、ね」

 憤然とする直時の姿が声の調子だけでフィアの目に浮かぶ。笑い過ぎたため滲んだ涙を指で拭った彼女は、少し躊躇ためらいがちに話題を変えた。改めて異世界人だと意識したことで、尊崇する神霊の言葉を思い出したからである。


「あのね…。タダトキが姿を消したときにメイヴァーユ様に探してもらったの。その時にある御言葉を申しつかったの」

「そうだったのか。心配懸けてゴメンね。改めて謝るよ。申し訳ない」

「ううん! タダトキのせいじゃないし。それでね、メイヴァーユ様が仰れるには『神域』に来ないか? って…」

「へぇ! 神々のおわします処を見せてもらえるのか? それは凄いなぁ。是非観光させて頂きますと伝えて欲しい」

 暢気な直時は観光旅行のひとときと捉えている。


「そうじゃないの。…そうじゃなくて、神域入りを勧められているの。神々と共にこの世界を見守ることを……」

「え? 俺ってまだ警戒されてんの?」

 水の神霊ヴィルヘルミーネに「好きなように生きてよしっ!」と、言ってもらえたが、メイヴァーユの戒めを警告と取っていた時期もある。力を警戒され、「地上に悪影響あり」と判断されたのか? 彼女にはまだ認めてもらえないのか? と、落ち込みそうになる直時。


「違っ! そうじゃないっ……と、思うけど…」

 否定しようとしたフィアだが、メイヴァーユが直時の大き過ぎる力を危惧していたことは確かである。言葉に詰まって続けられなくなった。嫌な沈黙が二人の間を満たす。


―ドーン!

 何の前触れもなく湯柱が上がった。

 この岩風呂は天然温泉ではなく、直時が作ったものである。従って間欠泉のように湯が噴出することなど有り得ない。驚愕きょうがくしたのは一瞬、直時とフィアは直ぐに気を引き締めて戦闘へと意識を切り替えた。眠りかけていたブランドゥも翼に力を込める。


「(御機嫌ようっ!)」

 その緊張を破ったのは、直時には聞き覚えのある声(念)だった。


「(なかなか素敵な水の使い方ねー)」

 飛沫が降りしきり湯煙の中から水の球体が姿を顕した。水の神霊『深淵のヴィルヘルミーネ』だった。


「御機嫌麗しゅう―。ヴィルヘルミーネ様、お久し振りです」

 唐突な神霊の顕現に声もないフィアを余所に、いち早く自分を取り戻した直時が普通に返事をする。巨大魔獣や神獣、精霊や獣人、果ては夜の王クニクラドの領域に拉致られた彼にとって、この程度の変事はこの世界で当たり前との認識が出来上がっていた。

 本能的にその存在を認知したブランドゥも力を抜き、直時の様子から警戒を解く。離れた場所から様子を窺っていた。


「(地上の様子を覗いてたら、メイヴの言葉が誤解されているみたいだから訂正しにね。ちょっと来ちゃったわ)」

「来ちゃったっ。テヘッ。みたいなこと言われても…。メイヴってメイヴァーユ様のことですか? つーか、風呂覗いてたんですね」

 ヴィルヘルミーネと直時が、本当に、極普通に会話をはじめる。神霊と人族との垣根をまるで感じさせない。


「(一部の人族が浴場をこしらえていたのは知ってたけど、空の下に作るのは初めて見たわぁ。火の地脈筋に良くある熱い泉みたいなものね)」

「おっ? 温泉ですね! 是非行きたいな。この辺りにもあるんですか?」

「(イリキアには火の山が多いからね。火の島もあるし、ここからだと南の方に熱い泉があったわね)」

「おお! 貴重な情報を有難うございます! 温泉探しも良いなー。どうせならその島に隠れ家作ろうか。あっ! 気の利かない事で申し訳ないです。ヴィルヘルミーネ様もお風呂に入りませんか? 気持ち良いですよ」

「(そうね。折角だし体験させてもらおうかしら)」

 直時の誘いを受けるヴィルヘルミーネ。全身を包んでいた水の球体が弾け、服替わりの水草を纏ったまま湯に身を沈めた。


「ぷはぁ。あら快適!」

 一旦全身を沈めたあと、湯から頭を出し満足気に笑う。水球を通さない肉声だった。


「……水草が頭に引っ掛かってますよ?」

 ヴィルヘルミーネの髪と同じ、濃い緑色なのであまり違和感が無い。さり気ない指摘にも本人は気にせずそのままである。しかし、直時にはどうしてもワカメか昆布を被っているようにしか見えなかった。出汁が風呂に滲み出そうな雰囲気である。

 出汁は別にして、直時の視線は別のモノに向いていた。


(話には聞いていたが、やっぱり浮くんだぁ。たゆんたゆんしてる…。くそっ! 水草が邪魔だぁ!)

 内心の焦りを隠したまま、チラチラと盗み見する直時の様子にヴィルヘルミーネの口に微笑が浮かぶ。


「誤解と仰いましたが?」

 漸く硬直から覚めたフィアが問いを発した。


「ああ、メイヴのことよ。あの子はタダトキを信用してない訳じゃないの。前にも言ったけど心配性なだけなのよ。地上のこともだけど、タダトキ、貴方のことも心配していたわ。生き難いなら『神域』においでなさいってこと。神々や神霊、神獣だけじゃなく、地上を追われた種も神域に来ているの」

 露天風呂中央の岩で隔たれた二人が見える位置に陣取ったヴィルヘルミーネ。交互に直時とフィアを見て、大きく伸びをしながら答えた。


 力持つ存在の他に、『神域』には絶滅に瀕した種が保護されていた。地上から姿を消した彼等は、神域のゆったり流れる時の中で、滅びること無くひっそりと過ごしている。

 種として力を取り戻す(個体数が増える)ことがあれば地上に戻されることもあるが、生存競争から隔絶されるため殆どの種が止まったような時間の中、増えも減りもせずゆったりと存在していた。


「神域ってどんなところなんですか?」

「静かでゆっくり安心して過ごせる良い所よう」

 ヴィルヘルミーネは、直時の問いに微笑を浮かべて答える。


「じゃあ、ヴィルヘルミーネ様は、何故そんな住み良い処から頻繁に地上に来られるのでしょう?」

「神霊としての責務ってところ?」

「何故、疑問形なんですか?」

「うふふ。でも、本当よ。地上への影響を極力少なくするよう神域に篭ったけれど、残した子等のことはいつまでも心配なものなの。まあ、色々な事が目まぐるしく起こるから面白いということもあるけどねぇ」

(なんかギリシャ神話だのの神様達と同じような気がする……。要するに閉じられた『神域』より面白そうなんだろうな。神の気まぐれか…。前にフィアに聞いたまんまだな)

 直時は笑顔の神霊に溜息を吐きそうになるが堪える。そんな存在に神域入りを勧められる自分も同じようなものだからだ。

 元の世界に帰ることが絶望的で、アースフィアで生きると決めたが、この世界で普通に生きるということを理解する前に彼は色々とやらかしてしまっている。直時としてはまだ諦めていないが、ゆったりまったり異世界人生ということも難しくなっている現在だ。


「静かな生活は望むところなんですが、折角こんな興味深い世界に来たんで住むなら面白い地上の方が良いかなぁーなんて…。勿論神域に興味も有りますから、是非見学させてもらいたいですけど」

 直時は、やんわりと拒否の意思を伝えた。

 神々に混じって生活するというイメージに、どうしても精神的重圧を感じたせいもある。しかし、盗賊や魔獣との戦闘、リスタル防衛での悪夢があったとしても、短い間過ごした中での出会いや経験は直時の中で貴重なものとなっていた。


「あら残念。振られちゃったかしら? でも、気が変わったらいつでもおいでなさいな」

「申し訳ありません。御心遣い有難うございます。その時はご厄介になります」

 詫びと感謝を伝える直時に、ヴィルヘルミーネが微笑んだ。


 直時は閉じられた世界での平穏より、猥雑わいざつでも喧騒のある世界での平穏を選びたかった。この辺りの感覚は、普人族が築いた大都市に出てくる他種族と近い。

 魔術が科学の代わりに発展しているとは言え、物や情報の流通量が現代日本の域にまでは到底及ばない。固有の文化風習を持った少数の種族が、多くの人が集まり様々な物が集まる普人族の都市に惹き寄せられることも仕方ないことだった。


「そうかぁ。メイヴも残念がるわねぇ。あの子はまだ誰とも結んでいないから、タダトキならと思ったのだけどなぁ。結構気に入っているみたいよ?」

「…マジすか?」


ごうっ!

 ヴィルヘルミーネが含み笑いをした途端、穏やかな砂浜が砂嵐の渦に巻き込まれた。直時とフィアは咄嗟にそれぞれ風の盾で防ぐ。突然の砂嵐にブランドゥの悲鳴が上がった。それとは別の悲鳴も…。


「ななななななんてことを言ってるのよっ!」

 一帯を覆った砂嵐の中心から風の神霊メイヴァーユが顕現した。


「…メイヴァーユ様!」

 フィアが目を瞠る。メイヴァーユが地上で人前に顕現することがまれだと知っていたからだ。

 フィアが加護を授かったのは、良い風が吹く深山幽谷で風の精霊と戯れている時、同様の場所を好む神霊と出会うことが出来たからだった。海風は確かに心地よい場所だが、特に風の精霊が集まっている様子はない。そんな処への顕現にフィアは驚きを隠せなかった。


「違いますからねっ? そんなこと思ってませんからねっ。私には結びなんてまだ早いです!」

「あらあら。少し落ち着きなさいな」

「わぷっ」

 ヴィルヘルミーネが纏った海藻の一本を鞭のようにしならせ、メイヴァーユの顔面にペタリと貼り付かせた。可愛らしい悲鳴が上がる。


「折角だからメイヴも一緒に入りましょう」

 水草を持った手首を一捻りすると、メイヴァーユを絡め取り岩風呂へと引きずり込んだ。


「なんという万能ワカメ! もしかして神器かっ? それにしても背徳的な光景だな…」

 薄衣が湯に濡れ、透けた上で肌に張り付き、メイヴァーユの肢体を露わにしている。その上、ヴィルヘルミーネの操る水草に縛り上げられ、自由を奪われて身悶えしているのだ。

 濡れた髪が額や頬に張り付き、上気した顔は苦悶に眉を顰め、小さな唇からは切なげな呻きが聞こえる。


「ヴィルヘルミーネっ!」

「あはははは。ごめんなさーい」

 拘束を解かれたメイヴァーユが怒りに肩を震わせながら立ち上がった。

 普段から身に纏っているのは陽の光にも身体が透けて見える薄衣だ。それが濡れて肌に張り付いている。直時にとっては全裸より刺激的な光景だった。


「あ…」

「……失礼」

 視線に気付いたメイヴァーユが小さく声を上げた。直時はこの世界に迷い込んだ幸運に感謝しながら、平静を装って紳士的に後ろを向いた。既に今までの光景は脳裡どころか、魂にまで刻み込んである。


 夜空に神霊の悲鳴が響いた。顔を真赤にして身を縮めて湯に沈むメイヴァーユ。どこかのエルフとは違い、竜巻もカマイタチも直時を襲う事はない。流石は神霊といったところだろう。

 くだんのエルフは湯を蹴立てて、メイヴァーユに走り寄る。近付いたは良いが神霊の様子に狼狽するばかりだ。


「ターダートーキーっ!」

 矛先が直時へと向いたようだ。鉄拳や精霊術で制裁しなかったのは、二人もの神霊の目があり乱暴なことをはばかったためだ。しかし、何も言わないわけにもいかず、後ろを向いた黒い頭部を鷲掴みにする。


「アンタはもっと尊ぶべき方々に対する態度を改めなさいっ!」

 怒りのまま強制的に直時を半回転させたお説教モードのフィア。だが、ここは風呂である。

 至近で向かい合うことになった二人。仁王立ちのフィアを見上げる直時は湯船に浸かったままの体勢だ。


「あー…」

 言葉を続けようとして何も言えなくなったのは直時だ。フィアの姿に見蕩みとれてしまっていた。

 見慣れてしまった怒った顔が、少しのぼせたのか朱く染まり、白金の髪が首筋や胸元に張り付いている。湯気の中に浮かび上がった細い肩。小振りな双つの丘。贅肉のないお腹。案外しっかりとした腰骨…。(これ以上の形容は避ける!)

 多くの人族に比べてエルフの体格は細い。だが、決して貧弱なわけではない。直時は、目に映るフィアから繊細さや儚さではなく、瑞々(みずみず)しさやしなやかさ、未だ若い生命力が溢れるような魅力を感じた。決して、煩悩ばかりではない。多分…。


 直時の顔が朱に染まった。自分の姿と彼我の体勢と、何より初々しいともいえる直時の反応にフィアは動揺した。無言で身体を湯に沈ませ、俯いて湯面に視線を落とした。


「タダトキ?」

 小さな呼び声に、惚けたままだった直時の目に意識が戻った。上目遣いでちらちらと窺うフィアは湯下の自身の体を両手で覆っている。


(あれっ? 何この可愛らしい仕種は? 誰なんですか? フィアさんですよね?)

 不意に襲う激しい動悸どうき。直時はフィアとは逆に、顔と視線を斜め上に向けて宙に彷徨わせている。常とは異なるフィアの様子に、波打つ心を抑えるのに必死である。


 窺う視線が互いに何度か合った後、フィアは肩から下を湯に沈めたままメイヴァーユへと近付いた。小さな声で何事か話し、そのまま連れ立って風呂の中央にそびえる岩の向こうへ姿を隠した。


 楽し気に大笑いするヴィルヘルミーネ。心行くまで喜びを表した彼女。


「お互いが意識し合う。うんうん。これが始まりよねー」

 嬉しそうに何かを納得してひとり頷いている。


「タダトキはいつまでも惚けてないでこっちにおいでなさい」

 ヴィルヘルミーネが水草の鞭を伸ばして直時を捕まえた。


「そっちの二人もいらっしゃい。ほら、これで良いでしょう?」

 直時を引き寄せると同時に、ほどいた水草で彼の視界を隠す。同時に腕を絡めて捕まえ、隣にはべらせる。


(当たってる! 何か大きくて柔らかい物体が当たってるぅ!)

 密着した腕の感触に鼻の下が伸びそうになるのを気合で堪える。


 目隠しされた直時を見て、フィアとメイヴァーユが傍にやって来た。ヴィルヘルミーネと直時の姿に微妙な表情だった。それぞれ眉の端や唇の端が小さく痙攣けいれんしている。微かにほくそ笑む水の神霊。


 その後は女性達のかしましい会話が続き、目隠しされた直時を時折いじりながら和気藹々(わきあいあい)とした時間が過ぎた。




 火照った体を冷ますように薄着で座り込む直時とフィア。胡座をかいてお互いの背中に寄りかかっている。

 入浴中に温燗ぬるかんにしていた果実酒が、今は人魔術『落霜』でキンキンに冷やされている。一気に流し込んで冷たい喉越しを楽しむ直時は、不意の頭の痛みに耐える。冷え過ぎだったようだ。


「なぁ。 あの人達何しに来たんだったっけ?」

「お風呂を楽しんでらしたわねぇ。まあ、タダトキが神域に呼ばれたのは……悪い意味じゃないってことなのかしらねぇ」

「神様とか神霊とかって、結構気さくなんだなぁ。あんな人(?)達ばっかりなら神域も面白いのかもな」

 苦笑する直時。確かにあのような神様ばかりなら肩が凝ることは無いだろう。


「行きたい?」

「さっきも言ったけど、地上界は面白い。こんな面白いところをほったらかして行く気は無いな」

「……デレデレしてたくせに…」

 少し不安になったフィアだったが、直時の明言に安心する。しかし、何か悔しかったのか小声で言い返して唇を尖らせた。


「何か言った?」

「なーんにもっ!」

 背中合わせの直時の後頭部に自分の頭を勢い良くぶつける。鈍い痛みと鈍い音。直時の文句を聞きながら機嫌を直したフィアは、杯を一息に飲み干した。




少し意識し始めた直時とフィアです。

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