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供述開始 2008/4/12(土)  於:BAR MOUNTAIN

「先輩、飲みすぎじゃないっすか?」
 私の目の前にいる男が言った。そうかもしれないと思っていると、私の口がこう言った。
「にゃー」
 確信した。私は酔っ払いだ。疑問文に対する応答になっていない。これでは、目の前の後輩もさぞかし困っていることだろう。せっかく、彼氏いない歴三年(更新中)である私に付き合ってくれているのに、これでは申し訳ない。
 そう思って謝ろうとするより先に、またも私の口が変なことを口走った。

「照くん、ゴメン…」

 その瞬間、店内の空気が変わった。ここはマスターが一人だけの小さなバーで、私たち以外の客はみんな一人で来ている。カウンターで会社のグチばかりぼやいているサラリーマン風のおじさん、メイド喫茶にいるほうが似合いそうな変な格好をしている二十代後半くらいの男、そしてカウンターの隅でロングカクテルをちびちびと飲んでいる背の高い大学生風の男。その人たちが、一斉に私に注目した。正確には、耳だけを傾けた。どうやら女の過去話を一言も聞き漏らすまいとして、興味のないふりをしながら、聴覚に全神経を集中させているようだ。こんなことには慣れているのか、マスターだけは何も変わらずグラスを拭いていた。
 私は恥ずかしくなって帰ろうとしたが、私の腰は、この店の椅子がよほど気に入ったらしく、全く動こうとしなかった。その隙に、口がまた動き出した。
「青山くんも、ゴメン…」
 これ以上私の口をほおっておくのはヤバイと思い、私は後輩に助けを求めようと、目を合わせた。が、彼も私の目をしっかりと見据え、背もたれを軽く使って、お腹のあたりで両腕を組んでいた。

――どんな話でも最後まで聞きますよ。

 体全体でそうアピールしていた。聞く気マンマンらしい。
 私の口はそれを理解したらしく、また元気に動き始めた。
「私がまだ制服着てた頃の話なんだけどぉ」
 私は、もう自分の口を止められないらしい。誰か助けて…。
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