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生徒視点から教師視点に移っての続きです。
1-2 芽生えた殺意
とある私立高校に勤務する生物教師は、屈辱に打ちのめされた沈痛な面持ちで、担任を受け持っているクラスの朝のホームルームから教務室に戻ってきた。

「どうかされたんですか? 顔色悪いですよ?」

隣の席に座っている新任の教師にそんなことを言われるが、まるっきり相手にしていない。顔をうつむかせたまま固まっている。その表情は青ざめているにもかかわらず、誰もそれをうかがいしることはできない。新任教師はそれ以上何も話すことなく、そそくさと一時間目の授業へと行ってしまった。

(クソックソックソックソッ!)

男は心の中で、やり場のない怒りに震えていた。青ざめた表情が徐々に紅潮していく。心にチラチラと薄暗い炎が宿る。

理由は、この教師がついさきほどまで行っていたホームルームにある。
すべてイギリスからやってきた編入生のせいだ。

(先生は生物を担当なさっているのだそうですが、大学まで出ているのならイギリスの正式名称くらい答えられるでしょう?)

それに答えられなかった。たしかになんとか、とかいう長ったらしい名前だったような気がするが、まったく覚えていない。あるいははじめから知識にないのか。だいたい大学を卒業したからといっそんな雑学的な知識を習うようなこともないのだ。
それだけならまだ冗談ですませる範囲だ。しかし、編入生は教師にとどめの一言を投げつけた。

(やれやれ一介の高校教師がイギリスの正式名称も答えられないとは・・・)

である。そして、次に編入生は名指しした男に尋ね、その生徒は見事答えてしまった。たしかにその生徒は社会、特に世界地理の成績は群を抜く。
そして次にはグレートなんとか、という正式名称を持つイギリスが形成される地方名を答えよ、というのだ。編入生と世界地理学年トップの個人授業が始まった。生徒2人に負けた彼は生徒から失笑を買い、編入生の隣で顔をうつむかせて立っているだけしかできなかった。
同時に、個人授業を始めた2人に生徒は、羨望の視線を送る生徒たち。これは教師として屈辱以外のなにものでもなかった。

キーンコーンカーンコーン

1時間目のチャイムで我に返った彼は、授業の用意を始めた。もちろんそんな1件があったので授業をしていても身が入らない。
しかも昼前の授業では、

「先生、イギリスの正式名称教えてくださぁい」
「大学出てるんだからそれくらい答えられますよねぇ」

からかいと嘲笑を浴びせられながらの入室となった。やがて、この字体は学年全体に広がり、歩く旅に朝の件を混ぜっ返される最悪の事態を招いた。教務室でも同僚や新任の教師には同情され、年輩の教師には注意される始末。まさに、学校での居場所をなくしてしまった哀れな生物教師・・・。

「アイツだ。あの気取った生徒のせいだ!」

放課後、帰宅する私立高校の一教師はその心に殺意をみなぎらせ、街が寝静まる頃を待ち、行動を起こすことになるのだが・・・。


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