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悲報という夢
作:たい


 初めてA君に出会ったのは小学校の頃だった。
ドキドキとワクワクに満ち溢れた1年生の過程を終え、2年生に上がったとき、
A君は転校生として、僕達のクラスへやってきた。
小学2年生の当時の僕達にとって『転校生』という存在は特別で、彼は一躍クラスの人気者になった。
「ねえ、どこから来たの?」
「前の学校ではなんて呼ばれてた?」
「足速いの?」
そんな質問攻めに対してはにかみながら答える彼の顔が印象的だった。
運動が出来たA君の人気は、3学期の終了式まで続き、結局僕とA君はほとんど話すことなく3年生の時のクラス替えによって別れた。
それから中学校卒業まで、何故か同じクラスにはならなかった。
 
 そんな僕達が仲良くなったのは高校3年生で再び同じクラスになったからだ。
県内ではトップの進学校で、A君は勉強も出来たのかと、うらやましく思った事を覚えている。
なぜ仲良くなったのかと言うと、その進学校の中でも僕とA君が1、2位の成績を誇っていたからだ。
数学が得意な僕に対し、A君は国語が得意だったから、毎日放課後、互いに教えあっていた。
そんなある日、彼が僕に問いかけてきた。
「なあ、やっぱお前もT大を受けるのか?」
「いや、僕は地元のK大の医学部を受けるよ、医者になるのが夢なんだ。」
「そうか、俺はT大を受ける。そんで政治家になる。」
「何で政治家なんだよ。」
「何でって、そうだな。俺中学生の頃ちょっと考えたんだよ。」
「何を?」
「俺が中2の頃、あの芸能人が死んだろ。」
「・・・ああ、Bさんか、特集とかがすごかったなそういえば。」
「そう、それなんだよ。死んだときにテレビ、新聞、ラジオで大々的に報道される、それが人にとっての1番の成功なんじゃないかってな。」
「まあ、そういう考え方もあるけど・・・。だから政治家?」
「ああ大体そういう人物って芸術家とか芸能人とか政治家だろ?俺には芸術的才能なんて無いし芸能界なんて嫌だからな。」
そう言って笑ったあの顔が今でも思い浮かんでくる。

 その日から月日は流れ、僕達は高校を卒業した。
僕は無事にK大の医学部に合格したが、A君は落ちてしまったと聞いた。
それからA君と連絡を取り合うことは無かった。












 そんな事を思い出しながら僕は今テレビを見ている。画面には、
『今日、連続殺人事件の犯人Aの死刑執行』
というテロップが映し出されている。
逮捕当時の映像で、パトカーに乗り込むA君は今までの笑顔とは違う笑みを浮かべていた。














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