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第24話 〜『男同士』の『ツーショット』と『マイブーム』〜
前回の最後、ボクは(女の子の)モデルとしてakemiという名前を母さんから与えられ、そして今は……

「は〜いakemiちゃん。後ろで手を組んで、カメラに笑顔を貰えるかな?」

カメラマンさんに言われるがまま、色々なポーズをとってます…。

「うん! いいねぇ〜。次は上目使いで甘える様な感じをお願い出来るかな? そうそう、そんな感じよ!」

撮影が始まると即ポーズをするように言われ、シャッターをきられ、その服の分が終わるとすぐに次の服に着替え……。既にかなりの数の服を着替えた気がする。恥ずかしくて確かな数なんて覚えてません!

一つだけ分かるのは、ボクが男として見られていないって事。
カメラマンさんから要求される内容が、どう考えても女の子に言ってるようにしか聞こえない。

「はい、OK!! 次は…そうだわ。ken君とのツーショットを撮ろう♪」

「………え?」

いやいや、それはマズイでしょう? 確かにボクは今こんな格好してますけど一応男ですよ? 男と男のツーショットなんて……。

「あら、akemiちゃんは先に着替えだって。棗ちゃんが呼んでるわよ? いってらっしゃい♪」

男性カメラマン(自称;屈強な乙女)さんにそう言われ、手招きしている棗さんへと歩み寄る。今日一日ボクの面倒をみてくれる(らしい)彼女は、撮影と撮影の少しの合間に化粧直しをしてくれたり、着替えを手伝ってくれたりしている。

「お疲れ様です、綺羅君」

「ありがとうございます。次は何を着るんですか?」

「今度はそこに畳んであるジーンズとタンクトップですよ」

彼女が指差す先には、両膝の辺りにダメージを与えた青いジーンズと白地に文字入りのタンクトップが置いてある。
棗さんがボクに気を使ってくれたらしく、今日は全てパンツスタイルの服装だけでいいみたい。スカートとかを履くとなると、足の毛も剃らなくちゃならないしね。そこはとっても感謝してる。でも……

「あの…流石にタンクトップは肌の露出が多いんじゃ……。男だってバレません?」

「ふふっ。大丈夫ですよ。綺羅君は肩幅も広くないですし、肌も綺麗ですから。それに脇と腕の毛は先程全て剃りましたよね? だったら大丈夫です」

…はい、そうなんです。全部剃りました。足は別にいいって言われたけど、腕と脇は半強制的に剃らされたんだよ! その間ずっと一人だったけど、何故か凄く哀しかった。目の前が霞んで怪我をしそうになったのは此処だけの秘密ね。

「はぁ…。取り敢えず着替えちゃいます」

なんだかんだ言っても結局着替えを開始。そろそろ胸の膨らみを出す為の入れ物の所為で肩が痛いな…。胸が大きい人は肩がこるってよく言うけど、こういう事だったんだね。
そしてそんな風にボクがトボトボ着替えをしている所へ現れたのは……

「クククッ…。綺羅、お前次は賢とのツーショットらしいな? 男2人で写真を撮られる気分はどうだ?」

大笑いしたいのを必死に我慢している、いつも以上に美人な未来です。

「別に…。それより未来はいいの? 一応今のボクは女の子に見えるみたいだし。全国区の雑誌にボク達のツーショットが乗るかもしれないんだよ?」

…自分で言ってて悲しくなってきた。まぁ男だってバレなければ問題は無いんだけど、こう…気分的にね。

「気持ち悪い事言うなよ。それに私とウズヒも賢と一緒に撮ったんだ。女にしか見えない今のお前が賢と写真を撮ったところで私は何とも思わない」

「…そう。じゃあウズヒと一緒に写るのはどうなの?」

彼女は正真正銘の女の子な上に、美少女だからね。そんな疑問が自然に浮かんできた。

「ウズヒは別だろ。私は親友だと思ってるし、あいつにはお前も居る。……2人が撮影してたときは絵になってて少し悔しかったけどな」

どこか残念そうな表情で、賢の撮影を見つめる未来。う〜ん…確かに賢とウズヒは美男美女だからね。でも……

「ボクの中では賢が誰かと一緒に居て、1番輝いてるのは未来と居る時だと思うよ。その逆もね」

「綺羅……」

「一応2人の事を見てきた時間はボクが1番長いと思ってるからさ。それこそ小学校の時から」

何をしても完璧に出来る2人に劣等感を抱いたことも有ったし、疎外感を感じていた時期も有った。
まぁ昔の話だけどね。

「中学生の時には放課後、誰も居ない教室でキスしてるしさ。しかもボクがトイレに行ってる僅かな時間に」

その時廊下から教室を覗いたら、2人が見つめ合っててそのまま……。
もちろんボクは教室に入る事無く家に帰ったよ? どんな顔で次の日2人に会えばいいのか、すごく悩んだけどね。

「お前……見てたのか?」

未来が顔を朱くしながら睨んでくる。
ヤバ……マジ照れしてるよ。でもさ、教室でそんな事してるのも原因の一つじゃない?

「akemiちゃ〜ん! そろそろ撮影始めるわよぉ〜!」

こちらの雰囲気を察してくれたのか、カメラマンさんが呼んで助けてくれた。カメラマンさん、ありがとう!!

「じゃあボクは呼ばれてるから行くねっ!」

「ちょ……お前!」

未来の声は聞こえない振りをしてセットへと走って向かう。まぁそんなに距離がある訳でもないんだけど。


「ふぅ……。すいません、色々とお待たせしました……」

「あら、別に謝らなくてもいいのよ♪ 君達の頑張りのお陰で、予定よりも早く進んでるしね♪
は〜い! みんな、続きを始めるわよ!」

ボクが話し込んでいた所為で始まるのが遅れた事をとがめたりせず、爽やかな微笑でカメラマンさんは応えてくれた。……喋り方は女性だけど、男性だからね。そこは忘れないように。

「……お前、未来と何を話してたんだ?」

そっか。さっき散々賢の事を話してたけど、本人は何も聞いてないんだよね。……当たり前だろ! とか言わないで下さい! 本気で傷付きます!

「賢達の事だよ」

「……俺達の事?」

「うん。賢と未来はいつも仲が良いねって話をしてたんだけど……。あとで未来にフォローを入れとかなくちゃダメだよ? ウズヒと君が一緒に撮影をしてた姿を見て『絵になってて悔しかった』って言ってたから」

「……分かった。……いつもお前には迷惑を掛けるな」

「ふふっ。それはお互い様だよ」

ボクとウズヒだって2人を頼りにしてるし、大切な親友の為だからね。どれだけでも協力しますよ。

「じゃあ撮影再開しま〜す! まずは2人で腕を組んでもらおうかなぁ〜♪」

いくら大切な親友でも、男と腕を組むのは嫌だ……








 ・
  ・

撮影は順調に進み、賢とのツーショットから1時間程で終わった。そして、今は4人揃って例の《求刑室》で休憩中。でも、出来れば着替えさせてほしいな…。全員まだメイクも落としてないし、衣装もそのまま。つまりボクは未だに女装中って事。そろそろこの格好から解放してくれないかな……
そんな事を考えながら撮影を終えた感想等を喋っていると…

「みんなお疲れ♪ 撮影はどうだったかしら? 楽しかった?」

ボクが女装をする原因となった悪魔……ではなく、女神のようにお綺麗なお母さまが登場されました。ふぅ……『悪魔』って考えた瞬間睨まれたから、思わず女神とか考えちゃったよ。

「綺羅君と一緒の撮影が少なかったのは少し残念でしたけど、私は楽しめました♪」

「……俺も楽しかったです」

「普段はなかなか体験出来ない事だったので、いい経験になりました」

「ボクは…「うんうん♪ 満足してもらえたようで良かったわ」……」

流石母さん…。ボクに話す余裕を全く与えてくれなかった。
たぶん女装について文句を言おうと思ったのがバレたね。過ぎた事に文句を言うボクも悪いけどさ。

「じゃあ早速次の仕事を始めるましょうか♪」

「……は?」

今母さんが『次の仕事』とか言わなかった? 思わず間抜けな声が出ちゃったよ。そんな話聞いてない……って母さん以外の3人がボクを見てる! もしかして……いつものパターン?

「あの…ボクだけが聞かされてなかった?」

「…さあ、移動しましょうか。次は綺羅&ウズヒちゃん、賢人君&未来ちゃんのペアで別々の部屋になってるから、そのつもりでよろしくね♪」

ボクの疑問には答える素振りは見せずに話を進める母さん。本当にボクは貴女の息子ですか? そして貴女はボクの母親ですか? …別に本気で聞いてる訳じゃないからね?



で、指定された部屋へと到着。途中をはしょったとか言わないでね? 『綺羅君が変な道に走らないようにする!』というウズヒの信念の下、ボクが男である事を忘れさせない為にキスを迫ったとか、迫ったとか……。まぁいろいろ有った訳ですよ。まぁその話は置いとくとして……。
部屋に入ると、そこにはカメラを持って窓の外を眺めている女性と、ノートパソコンに何かを打ち込んでいる女性が居た。

「あ、貴女達がuzuhiちゃんとakemiちゃん?」

「はい。そうですけど……貴女達は?」

ノートパソコンを使っていた女性がボク達が部屋に入ってきた事に気付き、声を掛けられたところにウズヒが応える。

「私達は貴女達の取材を担当させてもらう者よ。私が堺 千尋(サカイ チヒロ)で、そっちのカメラを持ってるのが西原 由里(ニシハラ ユリ)。よろしくね」

ノートパソ……じゃなくて、堺さんが笑顔で自己紹介をし、西原さんがこちらを向いて『コクッ』と一礼した。
……ん? 取材?

「取材って何の取材ですか?」

「あら? 聞いてない? 貴女達の写真と同時にインタビューも掲載される事になってるのよ」

聞いてないよ…。母さんも、もう少し事前に何か教えてくれてもいいと思うんだけどな。

「立ち話も何だから、まずは座って?」

「はぁ……」

促されるままボクは席に堺さんの前に座り、左隣にウズヒが座る。西原さんは写真を撮る為なのか、ずっと立ったままだ。

「じゃあ早速始めていくわね。あ、リラックスして受けてね? 答えられる範囲で答えてくれればいいから」

……この女性ヒト、さっきから喋ってる時、ずっと凄い勢いでペン回しをしてる…。
最近のペン回しは協会公認&大会用のペンが有るんだってね? …どうでもいい? ごめんなさい……

「まずはuzuhiちゃんに答えてもらおうかしら。そうね……趣味とか最近のマイブームって何かな?」

「スポーツ全般ですね。あと料理を少し。好きな男性にはやっぱり美味しい物を食べてもらいたいですから♪ マイブームは……彼がお昼寝中のベッドに入って一緒に寝る事です♪」

「あ〜分かる分かる! あれって凄く気持ちいいのよね!」

堺さんがウズヒの発言に乗り、盛り上がり始めた。

「………」

一方ボクは沈黙するだけ。ウズヒがマイブームを暴露しちゃって唖然です。雑誌が発売されて、学校の人達がこのコメントを読んだらボクの命は無いよ……

ウズヒの爆弾発言ボクにとってに落ち込んで俯いていると、『ポンッ』と肩に手が置かれた。

「……西原さん?」

「…同情するわ」

いつの間にかカメラのシャッターをきるのを止め、全てを察してくれたらしい彼女が慈愛に満ちた目でボクを見つめていた。
ウゥ……久し振りに同情してくれる人に会った気がする。この際、初めてこの人の声を聞いただとかはどうでもいいや。

「さて、次はakemiちゃんね。ほらほら、由里ちゃんもドンドン写真を撮って」

ウズヒと盛り上がっていた堺さんがボクの方に向き直り、話を振ってきた。

「まずはuzuhiちゃんと同じ質問をしたいんだけど…どうする?」

「すいません。ボク、女の子の趣味とか分からないので、akemiの設定は母さんに聞いてもらえますか? たぶん考えてると思いますんで…」

「ん〜それもそうね。それならakemiちゃんには別の質問に答えてもらおうかな」

堺さんの思案顔が先程までの笑顔に戻る。この笑顔はたぶん職業病的な物なんだろうね。やっぱり笑顔の方が取材を受けてる方も気持ちがいいし、思わず何でも答えちゃう気がする。

「じゃあ好きな異性のタイプ……も無理ね」

「すいません……」

「ふふっ。別に気にしなくてもいいのよ。なら恋人と行きたいデートスポットって何処か有る?」

デートスポットねぇ。何処か有るかなぁ〜。……隣から凄く視線を感じるけど、今は気にしない事にします。

「普通にショッピングとかいいですね。それでその後一緒にご飯を食べに行ったり、喫茶店でお茶したり…って感じです。あと冬限定だったら夜の公園なんてのもいいです。自分でもよく分からないんですけど、何故かあの雰囲気が好きなんですよね」

「いいわねぇ〜。寄り添いながら、お互いの温もりを感じて…。私も旦那とそんな新鮮な感じが欲しいわ。あ、私は既婚者なのよ。由里ちゃんもね」

衝撃の事実発覚! いや、別にそこまでビックリではないけどね。2人とも美人だし。……何で此処のスタッフさんは、みんな美人なの? もちろんカメラマンさんは別として。

「っと話がズレたわね。uzuhiちゃんはどう? デートスポット」

「私ですか? 遊園地…西強に行きたいですね。実はこの前西強に行く機会が有ったんです。だから今度は彼氏と2人きりで行ってみたいですね」

確かにこの前は大人数だったもんね。2人でも行ってみたいけど、チケット取れるかな…。1年待ちは普通だし……

「西強の伝説は女の子の憧れだもんね。私も一度は行ってみたいのにウチの旦那ったら――」

そんな感じで堺さんが旦那さんへの愚痴をこぼしながらも、取材は何とか進みました……








 ・
  ・


時は過ぎてまたまた《求刑室》。取材で仕事は終わりと言われたので、全員私服に着替えてゆっくりしている。もちろんボクも男に戻ってるよ? 今回の件で自分の認めたくない一面を見つけちゃった気はするけどね。

「さぁ〜て、4人ともごめんなさいね。ちょっと私の話を聞いてくれる?」

それぞれが思い思いにくつろいでいると、母さんが急にドアを開けて現れた。

「まずはお疲れ様。今日はみんなのお陰でとっても助かったわ。撮影とインタビューにたずさわってくれたスタッフも『素人だとは思えなかった』って絶賛してたのよ♪」

う〜ん……ウズヒ達はともかく、ボクは迷惑しか掛けてない気がするなぁ。上手に笑う事も出来なかったし。でも、取材は楽しかったかな。主に堺さんの愚痴と、それに対する西原さんのツッコミが。

「ウチの雑誌はいつもモデルの撮影を最後に行ってるから、たぶん1週間も経たない間に発売されるわ。もちろんみんなのお家にも送らさせてもらうからね。ウズヒちゃんは杏奈達の所にも送っておくから」

「ありがとうございます。お願いしますね♪」

「ふふっ。気にしないで。お礼を言うのはこっちなんだから」

家に届くんだ…。恥ずかしいからあんまり見たくはないな……。っとそういえば……

「母さん、ボク達が載る雑誌って何ていう名前なの? 何も聞いてないんだけど……」

「あれ? 言ってなかった? ウチの会社が出してる雑誌で《A・L》っていう名前よ♪」

「「え!?」」

名前を聞いた途端ウズヒと未来が驚きの声を上げたけど、ボクと賢は頭に?マーク状態。ふぅ……今回は知らないのがボクだけじゃなくて良かったよ。


A・L……ウズヒと未来の話によると、多くの世代の人達に読まれている超人気雑誌みたい。ファッションから何から様々な情報が載っていて、モデルとして《A・L》に掲載される事は国内、海外問わず、全てのファッションモデルの夢らしい。ちなみに名前の由来は『Akemi・Loveに決まってるじゃない♪』だそうです(これは後で重役だけの秘密だと教えられた)。


「じゃあもうちょっとだけ待っててね? あと少しで会議も終わるから♪」

そう言い残して母さんは仕事に戻って行った。仕事を全部終わらしてから来ればよかったのに。……いつも通り思っても口には出しません。

しかし、まさか自分が女装する日が来るとは思わなかったよ。普通はしない人の方が多いんだろうけどさ……














そして帰り道。リムジンの中では母さん以外の全員が眠りについていた。

「ふふっ。みんな可愛い寝顔ね」
akishi「な、何とか1週間(と少し)で更新出来ました……」

朱実「他の作者に比べたら十分遅いけどな」

akishi「スイマセン…。最近自分の遅筆と文章能力の低さに頭を悩ませてます……」

朱実「だから今更だって。取り敢えず、頑張らなきゃどうしようもねぇよ」

akishi「そうなんだよね。頑張ります! あともう一つ」

朱実「つまらない事は止めろよ?」

akishi「まぁまぁそう言わないで。他の作者様で行ってらっしゃる方が居るかもしれませんが、感想や評価を頂く時に好きなキャラと質問等を書いて頂けたら対話形式でお返事をさせてもらおうかと…」

朱実「何で?」

akishi「いや、少しでも楽しんでもらえたらって……」

朱実「ふ〜ん。まぁいいんじゃね?」

akishi「そう?」

朱実「そうそう。じゃあ俺はこのあと用事があるから帰るな。お先〜」

akishi「…アシスタントが早退するという由々しき事態ですが、結局朱実君なので。上記の事はお気軽に利用して頂ければと思いますので。では、これからもよろしくお願いします!!」


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