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この世界がゲームだと俺だけが知っている 作者:ウスバー
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第二百二十七章 心の力

ソーマがおかしな方法で邪神と戦うって期待してた人、すみません!
でも、最後の戦いはガチバトルをやろうって、ずっと決めてたんです!
 この戦いで俺が一番警戒していたのは、邪神が俺を無視して、集まってくれた街の人たちを攻撃することだ。

 いくら俺が一対一で戦いたいと思っていても、向こうの方がそう考えるとは限らない。
 もし、後ろにいる人たちが俺に力を与えてくれていると気付かれてしまえば、なおのことだ。

 アルティヘイトの特殊能力で俺が遠距離攻撃にくらうことはないが、俺ではなく俺の後ろに虐殺者の閃光(キル・ビーム)を撃たれたら、基本的に俺に防ぐ手段はない。
 出来れば、邪神の注意を俺だけに引きつけるか、邪神に虐殺者の閃光(キル・ビーム)を撃つことをためらわせるような環境を作ることが必要だった。

 邪神について十分に分かっているとは言い難いが、あいつが人の嫌がることをしたがることは映像、実体験で共に経験済みだ。
 万が一、邪神が街の人たちに興味を示したら、俺が左手の脇差を大きく振り回して合図を出し、レイラに動いてもらうように示し合わせていた。

 このタイミングでレイラが飛び出してくれば、あの「人の嫌がることを進んでしろ」を駄目な意味で体現している邪神のことだ。
 俺に対する嫌がらせを兼ねて絶対にレイラを狙ってくれると信じていた。
 そして、目標さえ特定出来れば、あとは光属性の攻撃を反射する『鏡の籠手』を渡したミツキが何とかしてくれる。

 いや、いくらミツキとはいえ、あの距離で撥ね返した光線を邪神の顔にピンポイントでぶち当てるとは思わなかったが、これはもう流石の一言。
 これでもう一つの懸念であった殲滅者の(ジェノサイド)咆哮ウェーブを潰すことも出来たし、言うことなしだ。

 もう一つ、嬉しい誤算だったのは、「成長」に伴って奴の精神も進化している節があることだろうか。
 依然としてその性質がどこまでも悪で、人を苦しめることが好きだというのは伝わってくるが、前よりも人間くさくなっているように感じる。

 特に、こちらの挑発や痛みに対する反応などは、以前よりも鋭敏に見える。
 この様子なら、もうしばらくは虐殺者の閃光(キル・ビーム)を撃ってくることはなさそうだ。

 以前の無邪気な悪意だけが動いているような無機質な時と比べれば、怒りや驕りを覚えた分だけ、むしろ戦いが楽になったと言えるかもしれない。
 これは、進化が必ずしも本人にとって有利に働くとは限らないという好例かもしれない。

 それに……。

「タダ、デハ、殺サ、ナイ……!」

 奴はもう、俺以外に注意を払っていないようだ。
 殺意のこもった波動と共に、奴の身体の至るところから触手うごめき、威嚇するように外に広がる。

 ――あれは、厄介だな。

 悪い方の誤算があるとすれば、あの触手。
 以前の邪神と比べ、腕やコア、頭部などについては単純に大きさが変化しているが、触手だけは太さなどは大して変わらないまま、長さや数が大幅に増加されている。
 想定よりも射程距離が伸びているし、さばくのも格段に難しくなっていると言えるだろう。


「――圧壊、シロ!!」


 憤りを含んだ言葉と共に放たれるのは、触手の波。
 十を優に超える数の触手が、俺を包囲するように押し寄せてくる。

 一撃一撃が致死性の威力を持った、過剰火力とも言うべき触手の弾幕。
 その速度も申し分なく、半円状に遅滞なく押し寄せてきているため、回避すら容易ではない。
 だが……。

「あんまり俺を、舐めるなよ!」

 俺は今日まで、この日のために一つのコンボだけを練習し続けてきた。
 前は確実でなかった『真・刹那五月雨斬』のタイミングも少なくとも練習においては百パーセントに近い確度で発動させられるようになっている。
 それに、

「真・刹那五月雨斬!!」

 どんなに邪神が強大でも、こと攻撃力という一点において、俺がこいつに劣るとは思わない!

「どうだっ!」

 それを、証明するかのように、俺が放った見えない斬撃は、俺に迫っていた十数個の触手の波を、ただの一瞬で残らず消し飛ばした。
 俺は会心の笑みを浮かべて、邪神を見る、が……。

「モウ、侮リ、ハ、シナイ」

 その先に見えた光景に、俺は顔をひきつらせた。

「おいおい、冗談だろ」

 それは、触手の海だった。
 十や二十、どころではない。

 どこに隠していたのかと言いたいほどの数の触手の群れ。
 もはや触手の海と言っていいほどの数のそれが、一斉に蠢き、その矛先を俺に向ける。

 数を数えるのも億劫なほど大量の触手が、全て俺に殺到する。
 いや、数が多いだけじゃない。
 これは……。

 ――タイミングを、ズラしてきている!!

 おそらく、今までの攻防で俺の迎撃法が範囲攻撃だと悟ったのだろう。

 一斉に俺を攻撃するのではなく、あえて触手の攻撃速度をズラすことで、こっちの一撃で全ての触手を削られないようにしている。

 ……いわば、大量の触手による波状攻撃。
 いやらしいが、確かに有効な手だ。

「くっ! 刹那五月雨斬!!」

 それでも、この範囲をフォロー出来る技はほかにはない。
 俺は真・刹那五月雨斬で迎撃するしかなかった。


 確かに、この数の触手は脅威ではあるし、厄介でもある。
 だが、対処不可能かというと、それは違う!!

「刹那五月雨斬!!」
「ナ、ニ……?」

 触手の海の奥で、邪神が動揺する気配を感じる。
 俺は、二度目の刹那五月雨斬でその触手の波を斬り払い。

「刹那五月雨斬!!」

 三度目の刹那五月雨斬で、その奥の触手の波を、薙ぎ払い。

「刹那五月雨斬!! 刹那五月雨斬!! 刹那五月雨斬!! 刹那五月雨斬!!」

 その奥も、その先も、さらにその向こうも、その奥の奥までも、とにかく向かってくる触手を全て、打ち払って……。


「バカ、ナ……」


 遂に、触手の海を抜け、邪神の前に躍り出る。

「どうした? もう終わりか?」

 呆然とたたずむ邪神に向けて剣をかざしながら、俺はにやりと笑う。
 これが、俺がこの十日の間、ひたすら練習し続けた、最強コンボの、そのさらに最終形。

 ――刹那五月雨キャンセル移動だ!



 これを可能にしているのは、ソウルイーターと天馬の靴の特殊能力だ。

 攻撃が当たる度にスタミナを一吸収する、というソウルイーターの特殊能力は、通常の使い方をした場合、大して役には立たないが、多段ヒットの技と非常に相性がいい。

 刹那五月雨斬は数百の斬撃を放つ。
 触手程度の大きさでも、ちゃんと範囲に入れば百ヒットは堅い。

 今、刹那五月雨斬の消費スタミナは極限にまで連発し、熟練度を上げたことにより五十程度まで下がっている。
 また、刹那五月雨斬は例外的に命中判定がまとめて行われるため、最初の一撃が当たって死んだり弾かれてしまっても、残りの攻撃が外れるということがない。
 範囲内に敵が存在していればまず間違いなく消費量以上のスタミナが吸収出来るため、俺は刹那五月雨斬をスタミナを気にせずに連発することが出来る、ということだ。

 もう一つの立役者は、天馬の靴。
 そもそも邪神の欠片の対策のために取ってきたはずなのに、墜落死と溺死のせいで今まで日の目を見ることのなかったこの靴だが、空中で発動出来ないスキルを発動可能にする、という特殊効果を持っている。

 そして、ガバガバな猫耳猫ゆえか、「靴の効果で空中発動出来ないスキルを空中発動した場合、本来コンボがつながらないスキルもつなげることが出来る」という副次的な効果を持つ。
 これを最大限に利用したのが、『刹那五月雨キャンセル移動』。

 ステップを攻撃スキルでキャンセルして連続でステップを繰り返すのが神速キャンセル移動。
 そして、刹那五月雨斬をステップでキャンセルして効果だけを先に与えてしまうのが真・刹那五月雨斬だが、これを混ぜたのが刹那五月雨キャンセル移動となる。

 移動と同時に攻撃も行う欲張りな技で、目の前にいる敵も、ついでに味方や障害物を全て薙ぎ払って更地にしながら、神速キャンセル移動と同じ速度で突き進む最強にして最凶の技だ。
 俺が仲間たちを遠ざけた大きな理由は、実はここにあったりもする。

 最大の欠点は、ただでさえ難しい刹那五月雨斬のキャンセルを連続で成功させなければいけないため、ステータス的なスタミナは問題なくても、俺の集中力をガリガリと削ること。
 理論上は無限に使える技のはずなのだが、そんなことをすれば俺の神経がもたない。

 最後、触手の海を抜けたあと、俺が追撃をしなかった理由もそこにあった。

「アリ、エナイ。アリ、エナイィィ……!」

 しかし、そんな事情、邪神が知るはずない。
 俺がもう一度余裕ぶってこれみよがしに笑顔を見せると、邪神はうろたえたようにゆらり、ゆらりとよろめいて――



「……は、はぁっ?」



 ――後ろを向いて逃げ出した!!


 あまりのことに、理解が追いつかない。

「く、くそっ!」

 我に返って追いかけた時には、意外な速さで進む邪神は遠くに行ったあとだった。

「まさか、邪神が逃げ出すなんて!!」

 情動を得たことによる、思わぬ弊害という奴か。

「アァ、アアアァァアアア!」

 奇妙なおめきを上げながら、邪神はひたすらに俺から逃げまどう。
 最初の威厳が嘘のような醜態。

 だが、ここで逃がしてしまっては、とんでもないことになる。
 少なくともこの国であいつを仕留められるのは、間違いなく俺だけ。
 あいつが俺の目の届かないところで人を襲ったら、あるいは何かの能力でパワーアップしたらと思うと、ゾッとする。

 邪神は全身の触手と二本の腕で、その巨体に見合わない俊敏さを見せ、沼を渡っていく。
 それでも、神速キャンセル移動を使った俺の速度は、邪神の全速力より速かった。

 少しずつ、だが着実に、距離が縮まって……。

「んなっ!」

 苦し紛れにか、邪神が逃げながら触手を放ってくる。

「こ、のっ!」

 さっきの波状攻撃とは比べ物にならない薄い密度の、散発的な攻撃になるが、それでも一発でも当たればどうなるか分からない。
 俺は切り札を切るしかない。

「――刹那五月雨キャンセル移動!!」

 移動を、通常の神速キャンセル移動から刹那五月雨斬へ、シフトさせる。
 もちろんこれは集中力を必要とするため、長く続くはずもないが、

「しめたっ!」

 邪神の方が先に、ボロを出した。
 触手を俺の迎撃に充ててしまったことで、その数が減り、移動速度が落ちていったのだ。

 邪神には触手を再生する能力があるが、それでもすぐに戻る訳ではない。

「あと、少しっ!!」

 俺は苦し紛れに邪神が繰り出した、最後の触手を刹那五月雨キャンセル移動で斬り散らし……。


「えっ? 止まっ……?」


 とうとう観念したのか、触手の全てを失い、完全に丸裸となって、その場にたたずむ邪神の姿を捉えて――


 ……そこで、異変に気付いた。


 ガクン、と。
 身体から力が抜ける。

「な、んで……?」

 スタミナが切れたのかというと、そうじゃない。
 でも、これは、今まで俺を動かしていた何かが、ごっそりと抜け落ちたような……。


「――フ、フフ、フフフフフフフフフ!」


 大気が、軋む。
 邪神の笑い声に、大地が悲鳴を上げる。

 それだけでは、ない。

「霧、が……」

 何か、よくないことが起こっている。
 そう悟った俺は、とりあえず何が起こってもいいように、崩れた体勢を整えるべく、両足に力を込め……。

「あ……」

 その時ようやく、自分が足に力を込められるだけの場所にいることに。
 すでに足元が沼ではなくなって(・・・・・・・・)いることに、気付いた。

 そして、その一瞬の動揺を、邪神は見逃さなかった。

 最後に残った太くて大きい腕。
 それがおそろしいうなりと共に俺に迫ってくる。

 とっさのことに、迎撃が間に合わない。
 俺は反射的にステップによる回避を選択して――


「や、ばっ! ステップ――えっ?」


 そのまま、大きな手のひらに、吹き飛ばされた。

「ぐ、あっ!」

 痛烈な衝撃が身体の芯を射抜き、俺は何度も地面を転がる。

「く、そ! 何で……」

 俺は何とか体勢を整えると、左手の脇差を探す。
 だが……。


「……サガシモノ、ハ、コレカ?」


 それは、俺の手を離れ、邪神の背後に、余裕のある姿で俺を見下ろす邪神の奥に転がっていた。

 ――最悪、だ。

 俺が内心の焦りを押し隠し、邪神をにらみつけると、邪神は対照的に、心の底から愉快で仕方ない、というようにその巨体を揺らした。


「……ナァ。勝ッタ、ト、思ッタ、ノカ?
 オマエ、ゴトキ、ガ、本当ニ、我ニ?」


 ねっとりと不快な、まとわりつくような喜悦を含んだ声で、邪神が語りかける。

「屈辱、ダッタ。貴様ゴトキ、矮小ナ、モノニ、背ヲ向ケル、トイウノハ。
 ダガ、ソレモモウ、終ワリ、ダ。……見ロ」

 邪神の腕が指し示すのは、薄っすらと霧に囲まれたフィールド。
 ちょうど沼地との境目をさえぎるように、霧のカーテンが俺を取り囲んでいた。

「迂闊、ダッタ、ナァ。ソシテ、残念、ダッタ、ナァ。
 ダガ、モウ戯レハ、終ワリ。
 仲間モ、技、モ、オマエノ、武器ハ、全テ封ジタ」

 邪神の言葉を聞きながら、俺は必死で今の状況を理解しようとしていた。
 確かに、この霧には見覚えがある。


 ――断絶する濃霧(シャッターミスト)



 王都で復活した欠片が使った、フィールドからの出入りを禁じる能力。
 邪神は俺を、街の人々から離れたフィールドにおびき寄せ、バフを無効化した。

 そこまでは、分かる。
 だが、俺がさっきステップに失敗したのはなぜだ?

 王都で使われた時は、この霧に、スキルを封じる効果なんて……。
 そこまで考えて、ハッとした。

「……進化、したのか!」

 俺は、この期におよんで猫耳猫スタッフの底意地の悪さを過小評価していたようだ。

 俺が見落としていたファクター。
 それは、邪神の成長による能力の進化!

 考えてみれば、当然だ。
 こいつが、あいつらの設計したボス、というのなら、単純に「倒した分だけ成長する」なんて生ぬるい存在のはずがない。
 倒した手段に関係なく、強化具合に応じて新しい能力を獲得することだって、考えてしかるべきだったのに!

「理解、シタカ?」

 そして、邪神は俺に近付く。

「オマエハ、我ニハ、勝テナイ」

 頭部を、そして触手を失って、それでも健在な頑強な腕を、大きく、振り上げて――


「――サヨウ、ナラ。オマエ、ハ、マアマアノ、玩具、ダッタヨ」


 別れの言葉と共に、スキルを封じられた俺の頭上に、邪神の巨大な手が落ちて……。


「――ていっ!」


 俺の振り抜いた不知火によって、邪神の腕がスパッと切れて、飛んでいった。

「ナ……ッ!?」

 驚きの声があがるが、知ったことじゃない。

「ほい、っと!」

 軽いかけ声と共に、俺は素早く近付くと、邪神のもう一本の腕も手早く切り落とす。

「ガ、アァアアアアアアアア!!」

 やはり、痛みは感じるようになったのか、両腕をも失った邪神は、痛みの咆哮をあげながら、地面に落ちた。

「ナゼ、ダ! オマエノチカラハ、スベテ封ジタ!
 如何ナ神剣ノチカラガアッテモ、何ノ補助モナク、コンナ……」

 怒りよりも、驚きに満ち溢れた、邪神の声。
 その、言葉に……。



「………………神剣? 何言ってるんだ、お前」



 あまりに驚きすぎた時は、咄嗟に声が出なくなると、初めて知った。

「ナ、ニ……? マタ、謀ロウト、シテモ……」

 なに、と言われても、それはこっちの台詞だ。

「神剣っていうのはアルティヘイトだろ。
 それならほら、お前の後ろに、転がってるじゃないか」

 言われて、邪神は律儀にも後ろを振り向く素振りを見せる。
 その先にあるのは、脇差の『形状』に絶対神剣アルティヘイトの『性能』と『特殊』を埋め込んだ『脇差・終』。

「というかそもそも、アルティヘイトを持ってきたのは遠距離攻撃を防ぐためだし。
 バフをかけてもらったのも、耐久力向上と、HP回復バグを使うためで……」

 猫耳猫にしてはめずらしく、最大HPや最大MPを上げるバフは、使用すると最大値が上昇した分だけHPとMPが回復する有情仕様となっている。
 そしてその使用を悪用……いや、有効利用して、バフをつけ外しをすれば、どんどんHPとMPが回復していくという寸法だ。

 HPやMPを上げるバフは大抵効果時間が長くて上昇量が少ないため、あまり実用的なテクニックとは言い難かったのだが、アルティヘイトのとんでもない上昇量なら話は違う。
 だから、万一の備えのために、街の人々にはご足労願った、という訳だ。

「そもそも、さ。攻撃力999なんて、そんな弱い(・・)武器、メインに据える訳ないだろ」

 その言葉に、邪神は動揺したように叫び声をあげる。

「ワカラナイ! ワカラナイ!! ナニヲ、オマエハ何ヲ、言ッテイル!」
「何を、って言われてもな。……ただの、事実だよ」

 ゲーム知識のない邪神に通じなかったようだが、淡く光るその脇差・終の刀身に、邪神も己の勘違いを悟ったのだろう。
 邪神の身体が、震えるのが分かる。

「バカナ……。バカナ、バカナ、バカナ……!
 デハ、デハ、ナンナノダ、ソレハ……。
 カツテ、神剣ノ一撃スラ、シノイダ、我ガ身体ヲ、容易ニ切リ裂ク。
 ソンナモノガ、アリエル、ハズガ……」

 地面に伏したままの邪神の身体がのたうち、あとじさる。
 まるで自分には全く理解の出来ない怪物に出会ったかのようなその態度に、俺は苦笑する。

「……だから、言ったろ。
 この武器に込められた、情熱も、悲哀も、人の心の分からないお前には、理解出来ない。
 だから、何度、いや、何百、何千回生まれ変わったところで、無駄なんだよ」

 そして、ゆっくりと。

「来ルナ! 来ルナァ!!」

 頭も、触手も、腕も、邪神としての誇り、自信、矜持すらも失った哀れな生き物に、近付き。

「思い知れ! これが、お前の馬鹿にした『人の心』が生んだ奇跡。
 これが、『真・不知火』の、いや――」

 俺は、邪神のコアに向けて、右手の、最弱にして最強の刀を、思い切り振り上げて、



「――指貫グローブ(ちゅうにびょう)の力だ!!」



 推定攻撃力二万オーバーのその刃で、邪神のコアを打ち砕いたのだった。
流石にこの伏線消化するのに四年半もかかるとは当時は夢にも……


次回更新は今日! ……だといいなぁ
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