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この世界がゲームだと俺だけが知っている 作者:ウスバー
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第百六十四章 図書館と秘密の日記

『昼になって、あのハゲがまた予定にない仕事を持ってきた。今度はリドルクエストに使う問題の打ち込みをしろと言う。
 仕事はまだまだ溜まっている。しかもその原因は以前にこのハゲが持ってきた余計な仕事なのだ。その上また別の仕事をしろなんて冗談ではない。
 俺はよっぽど断ろうと思ったのだが、「あのねぇ。ゲーム制作ってのは集団作業、キミ一人に今さらそんな駄々をこねられても困るんだよねぇ。だって問題はもう出来てるんだよ? キミ以外の全員に、何時間、もしかすると何十時間も頭をひねってもらって、さぁ。キミは参加してないんだから、せめてこれをイベントに起こすくらいはやってもらわないと割に合わないと思うんだけど、そういう良心の呵責とかって全然感じない人なのかなぁ、キミは? ほらキミ、オーダーで文字を打てるんだから、こんなのすぐ出来るんじゃないの? みんなが頑張ってここまでこぎつけたのに、まさか自分だけ仕事が増えるのが嫌だから断るとか……」と、整髪料と汗と加齢臭の混じった匂いと唾を俺の方に飛ばしながら、ねちねちねちねちと言ってくるのだ。本当に、たまったもんじゃない。
 確かに、打ち込む内容を考える必要のない単純なタイピング作業に限定すれば、オーダー入力なら変換ミスはほとんど起こらないし、何より速い。そりゃあいまだにキーボードなんて骨董品を使っているこのおっさんよりは数倍か、下手すれば数十倍は早く入力は終わる。
 中身はすでに出来ているなら、作業にもそう時間もかからないはずだ。こいつの思惑に乗るのもしゃくだが、こうやって口論する時間も惜しい。さっさと引き受けて、さっさと終わらせてしまった方が早いだろう。
 ……なんて考えてしまったことが、今思えば失敗だった。

 一度自分のデスクに戻ったハゲが嬉々として持ってきたのは、大きくはないが、やたらと重そうなダンボール箱。中には雑多な紙や雑誌(?)がぐちゃっと入れられていて、その一枚一枚に何やらクイズらしきものが書かれている。
 まさか、これが全部リドルクエストの問題だなんて言わないだろうな、と俺は震えたが、そのまさかだった。
 この時の会話を再現すると、こんな感じだ。
「ちょ、ちょっと待って下さい! 何ですか、この量?」
「みんな、頑張ったからねぇ。うん、ほんとボクはいいスタッフに恵まれたよ」
 頭をテカらせながらにやにやと笑うハゲ。
「いや、それどころの話じゃないですよ! これ、もしかして100問以上あるんじゃないですか?!」
「ちっ、ちっ、ちっ、ちっ! 桁が違うよキミ~。桁がね~」
 小鳥を呼ぶような音を出しながらわざとらしく指を振るハゲ。
「100で桁が違うって……。まさか、1000問あるなんて言わないですよね?」
「いやー惜しい! 実に惜しい! でも残念、さらに倍!」
 俺の狼狽っぷりが楽しすぎて顔が脂ぎってくるハゲ。
「は?」
「だ・か・ら、さらに倍! 倍の2000、2000問だよ、キミィ!」
 激しい動きで腹の肉を振動させるハゲ。
「に、せ……ちょ、ちょっと、そんなの出来るワケ……」
「いやぁ、キミのその顔を見れただけでも頑張ったかいがあったってもんだよ。じゃ、あとは任せたよ、我らがエースプログラマー君! ふひっ!」
 口から変な音を出しながらスキップで去っていくハゲ。
「嘘、だろ……」
「ふんふふんふんふふふーん、ふひっ!」
 ……と、そんな感じだった。
 ああもう、思い出すだけで腹が立ってきた。あのハゲの毛根が残らず死滅すればいいのに!!

 などと悪態をついてみても、引き受けた以上はやるしかないし、進めなければ仕事は減らない。リドルクエスト自体の仕様は決まっていたし、似たクエストから流用させるだけでクエストの枠組は簡単に作れた。だが、肝心の渡されたリドルの内容に不備ばかりが目立つ。
 スタッフ全員に分担させただけあって、その内容は千差万別。明らかにクイズ本をまるまるコピーしただけの物(ページの余白に書名が入っていた。せめてそこくらいは消しとけよ!)、一度データで書いたのをわざわざプリントアウトしたらしい物(わざわざ印刷しないでそのままデータで寄越せよ)、逆に手書きのやけに細かい字でびっしりと書かれている物(すっげえ読みにくい)、そして極めつけとして、手元に紙がなかったのか、なぜかエロ本をメモ帳代わりにして、裸の女の写真の上にサインペンで問題を書いている物まであった。とりあえずお前はアホかと言いたい。これじゃ肝心の所がマジックで見えない……ではなく、紙なんてそこら中に転がっているのだから、わざわざ変な物を使わないで欲しい。
 仕方ないので、エロ本に書かれた問題は観賞がてら手作業で打ち込みをして、そのほかの紙は片っ端からスキャナーに食わせてまず映像データに変え、それを専用ソフトでテキストデータに変換した。……のだが、一部の字が汚すぎてうまく認識されない。そういう物についてはこっちが映像を参考に直接テキストに変えるしかない。また、一部分だけが誤認識された場合が問題で、例えば「パンダ」という答えが「パソダ」になっていたり、「タニシ」が「タ=シ」になっていたりすることもあったようだが、2000問分もいちいち確かめてはいられない。とりあえず要チェック項目としてメモを残して作業を進めた。
 リドルの不備は文字の問題だけではなかった。なぜか問題の横に変な動物のラクガキ(たぶんタヌキ)が描かれていたり、「花子とゆうこが~」のように「言う」を「ゆう」と書いていたり、一行にたった五文字しか書かずに毎回改行していたり、とにかくめちゃくちゃ。もちろん手作業で全部直した。余計な手間をかけさせないで欲しい。
 そうしてようやくテキストデータにした物をコピペしてクエストに張りつけていく。それから作業は順調に進んだが、途中で新たな不備が見つかった。出題された問題の数と比べて、用意された解答の数が一つ足りない。この問題を考えたアホが、どこかで答えを一つ書き忘れたのだ。問題と答えを別々に埋めていたので、同じ進度になるまで気付かなかった。
 ここまでの作業で俺が入力したのは約150問。つまり最悪の場合、最大で150問の解答が一個ずつズレている可能性がある。ただ、今から抜けていた箇所を探すのは面倒だ。こういうミスは後でまとめて修正すればいいだろう。最後の問題の答えを「かいとうズレ」と入力して次に進んだ。

 しばらく作業を進め、さらに大規模な不備を発見する。今度は答えが一個足りないのではなく、問題だけで答えが全く書かれていない紙を見つけてしまったのだ。どこの馬鹿だ、と思って隅を見たら、ある開発スタッフの名前が書かれていた。
 そいつは確かキャラのグラフィックを担当している人間で、俺とはあまり接点がない。しかも女。そう、たとえ「ああん、シェルミアたんシェルミアたん、ハァハァ!」とガチで息を切らしながら自分の作ったキャラの3Dデータを真下からのアングルで眺め続ける変態でも一応は女だ。インナーに隠れて絶対に見えない(というか、見えたら大問題だ)はずの女性キャラの胸を「ここの張りと色艶が……」「理想の乳首とは……」「ダメッ! 弾力! 弾力が足りない!!」とぶつぶつ言いながら10時間もかけてデザインしていた変態でも、一応は女なのだ。高校時代のあだ名が「穴蔵」と「もやしメガネ」だった俺が話しかけるのはハードルが高い。
 とりあえずネットで可能な限りの答えを探し、それでも分からなかったものについては適当にそれっぽい答えを入れておいた。もしかすると間違っているものもあるかもしれないが、何か機会があった時に答えを聞いて、後から修正すれば大丈夫なはずだ。

 そうして全体の半分、1000問が終わった所でこの日記を開く。
 この忙しい時に、と思うかもしれないが、オーダーでの入力なら文章を書くのにそう時間はかからないし、これは俺の大切な息抜きの時間だ。やめられない。

 ――いつかこの日記を公開して、うちの会社がブラック企業だと告発する。

 いつ終わるともしれない修羅場を続けているうちに、そんな妄想をすることだけが、最近の俺の唯一の楽しみになっていた。
 暗い趣味だと笑わば笑え。しかし、妻や子供はもちろん恋人もいない、酒もたばこもやらない、そもそも遊ぼうにもそんな時間も金もない、ないない尽くしのゲームプログラマーにとって、こんな娯楽でも貴重なのだ。
 もちろん、今の俺に本気でこれを公開して、会社を告発するつもりはない。もし万が一そんなことが起こるとしたら、それは俺がこの会社を辞める決心を――』




「――えっ!?」

 そこまで読んだところで、急に視界から本が消えた。
 驚いて顔をあげると、そこには俺が読みかけていた本を手に、冷え切った目でこちらを見下ろすミツキの姿があった。

「全く、貴方という人は。レイラさん達は今も必死で頑張っているのですよ?
 どういう神経をしていれば、この状況の中で平然とこんな物を読んでいられるのですか?」

 表情にも声にもあまり感情は出ていないが、その分猫耳ちゃんが「もおー! いくらわたしでもおこっちゃうよ!」と言うようにパタパタと動き、全力で遺憾の意を表明している。
 怒れるミツキの後ろにはリンゴも控えているが、その哀しげな目を見る限り、俺を弁護してくれる様子はない。
 なら、この誤解は自分で解くほかないだろう。


 ――俺が、あの有名なリドルの誤答を答えてから、数十分。

 しばらくは普通の問題が続き、23問目までは順調に進んだ。
 だが、24問目。
 今度は俺も知らない誤答問題っぽい問題が出て、また攻略は止まってしまった。

 これを突破するのは至難の業だろう。
 そして、よしんばこの問題をクリアしたとしても、また新たな誤答問題が出てくる可能性は高い。
 俺はもうあきらめようかと提案したのだが、レイラは首を振った。

「わ、私、挑戦してみたい!」

 はっきりとそう言って、予想出来る誤答のパターンを考えて、しらみつぶしに入力し始めたのだ。
 そのレイラの姿に触発されたのか、ほかの二人もあきらめるどころかさらにやる気をみなぎらせて『智を知るモノ』の攻略を続けている。

 そんな三人を見て俺はそっとその場を抜け出すと、閲覧用の空間、テーブルやイスが立ち並ぶ場所に来て、この本を読み始めた。
 その行動は一見、『智を知るモノ』に挑む三人を見捨てて読書をしているようにも見えるだろう。
 だが、それは完全な誤解なのだ。

「ち、違うんだって! これは必要なことなんだ!」
「必要? 一体どこからそんな話が……」

 俺は二人の非難の眼差しから逃れるように、勢いよく弁解を始めた。

「この本は『猫耳猫』を作った人の日記で、この『智を知るモノ』のヒントもたくさん書かれてるんだよ!」



 図書館には数え切れないほどの本があるが、そのほとんどはダミー。
 ただ、それでも一部の本はきちんと読めるようにしておかなければ、図書館の意味がない。
 とはいえ、本一冊分の情報量は、一朝一夕にどうにかなるものでもない。
 ゲームの設定や攻略情報が載っている本や、開発スタッフが独自で考えた本もある程度はあったが、わざわざゲームのためだけにまともな本を書きあげるなんて不可能だ。

 本の水増しのための苦肉の策として、著作権の切れた文学作品を完コピして載せていたり、『猫耳猫』スタッフのどうでもいい小話が書いてある本なんてのが出来てしまったのだが、これもその内の一つ。
 この本は、『猫耳猫』のプログラマーが書いた、『猫耳猫』開発中の愚痴が500ページ分ぎっちりと詰まった、『猫耳猫』開発日記なのだ。


 最初から最後までゲーム制作に関わる文句ばかりのこの日記だが、読み進めれば読み進めるほど筆者が追い詰められていき、最後のページにはめちゃくちゃ大きな字で、力強く、

「自由の空へ!!」

 とだけ書かれて終わるという、思わせぶりな終わり方をしている。
 その後の彼の行動はなんとなく想像がつく気もするが、とりあえずこの本はゲームで公開されただけ。
 どうやらネット公開に踏み切るほどの度胸は彼にはなかったようだ。

 彼のその後はどうあれ、この日記にはばっちりと『智を知るモノ』のことも書かれている。
 その影響力は大きく、この本の情報が出回ったことでwikiの内容が充実し、後発のプレイヤーは随分と『智を知るモノ』攻略が楽になったと言われている。
 少なくともこれを読めば、『智を知るモノ』にどんな種類の誤答があるのか見当をつけることが出来る。

 実際、日記から分かる誤答の種類は大体三つ。

1.データ変換でミスがあり、一部の文字が形の似ている文字に変わっている場合。
2.問題と答えがズレており、ひとつ前のリドルの答えが正答となっている場合。
3.プログラマーが当てずっぽうに適当な答えを入れた場合。

 これを知っているか知らないかで誤答を探す効率は随分と変わる。
 それに、日記に書いてあった「かいとうズレ」のように、直接答えが書き込まれていたりもする。
 だから俺はこれを読み込んで、どうしても三人が行き詰まった時、あらためて助言をしてやるつもりなのだ。


 ……と、丁寧に説明したのだが、ミツキはまだ納得していないようだった。
 耳をぴこぴこさせながら、反論する。

「いえ、そんな回りくどい事をしなくても、レイラさん達にこれを見せればそれで事は終わると思うのですが……」

 俺もそれは考えた。
 だけどあえて、それは最後の手段にしようと思ったのだ。

「ミツキも聞いただろ? レイラは自分の意思であのクエストに挑みたいって言ったんだ」
「え? ああ、はい。確かに私も聞きましたが……」

 あの、迷いのない続投宣言。
 レイラは本当に謎解きが好きなのだろう。
 だから、それがどんなにアンフェアな問題であっても、絶対にあきらめない。
 自分の知識と知恵の限りを尽くして、攻略しようとする。

 ――それは、かつての俺たち、『猫耳猫』プレイヤーにも通じる心構えだ。

「あれを聞いて、俺は目が覚めるような気持ちになったんだ。
 レイラたちは、純粋にあのクエストと向き合ってる。
 そんな彼女たちに、最初から攻略情報を教えるようなことは無粋だと思わないか?」

 あの感動を分かち合おうと、俺は熱っぽく語ったのだが、ミツキの反応は思わしくなかった。

「いえ、そういう問題ではなく、そもそもレイラさん達は貴方のために……」

 耳を困ったようにうろうろさせつつミツキは何かを言いかけたが、途中で「はぁ」というため息と共に肩と猫耳を落とし、

「……まあ、いいでしょう。
 これで彼女達も目が覚めるかもしれません」

 何かをあきらめるように、そうこぼした。
 これは、納得してくれた、ということなのだろうか。
 俺が半信半疑でミツキの様子をうかがっていると、

「…いい、の?」

 驚いた様子のリンゴが、ミツキに尋ねた。

「はい。彼がこういう人間だと、早い内に理解させた方がいいと思いますから。
 彼女達にとっては、いい勉強になるでしょう」
「………わかっ、た」

 どうやらリンゴも納得してくれたようで、うなずく。
 その様子を見ていて、ふと気付いた。

「あれ? リンゴ、何だか顔色が悪くないか?」

 前にリンゴの具合が悪くなって以来、俺はリンゴの様子を気にかけるようにしていた。
 図書館が暗いせいかと思ったが、それを差し引いてもリンゴの顔色はよくない。
 俺が尋ねると、リンゴはあわてて両手を後ろに回した。

「…な、なんでも、ない」

 明らかに何かあるタイプの「何でもない」だった。
 俺はさらに追及しようとしたが、ミツキに止められた。

「リンゴさんなら問題ありません。
 彼女は彼女で、貴方のために頑張っているのです」
「俺の、ために?」

 思わぬ言葉に首をかしげると、

「…み、ミツキ!」

 明らかに焦った様子で、リンゴがミツキに不満の声をぶつけた。
 それでも収まらないのか、抗議をしようと手を出しかけて、あわてて背中にもどす。
 どうしようもなくなったリンゴは、今度は身体全体でミツキにぶつかっていった。

 何だかめずらしい光景だ。
 俺が二人の様子を微笑ましく見守っていると、ミツキがさらりとリンゴをいなしながら、俺の隣のイスを引いた。

「それより、図書館であまり騒いだら迷惑でしょう。
 とりあえず座って話しませんか?」
「あ、ああ……」

 そういえば考えなしに騒いでしまったなと思い、今さらながらに辺りを見回した。
 図書館の中にはそれなりの数の利用者がいたが、幸いにもこちらに注目している人はいない。
 というか、総じてみんなぐてーっと机に突っ伏していて、ほかに気を配る感じではなさそうだ。

「私達が最初に来た時には皆、もう少ししゃっきりとしていたように思いますが、時間帯が時間帯ですからね」

 ミツキの言葉に、ああ、と思った。
 なんとなく既視感のある雰囲気だと思ったら、これは日本の学校の、午後の授業の風景と似ているのだ。
 そう思うと、この気だるい雰囲気も悪くはない。

 机に腕を伸ばし、その腕を枕に目をつぶっている者、両腕を机に並べ、そこに顔を隠すようにして寝ている者、机の端にあごを乗せ、だらだらと本に目をやっている者。
 なんとなく懐かしい光景に思えた。

 もちろん、全員がだらけている訳ではなく、例外もいる。
 ただその数は少なく、この近くでは書き物をしている魔法使い風の男や、一心に本を読んでいる僧侶風の女性、それに、

「す、凄い! 凄いぞ! これは暗黒儀式の秘奥を記したとされる、『漆黒魔塞の書』!
 それにもしやこれは、本物よりも本物らしい贋作と呼ばれた、『シ者の書』!
 ああ! これはあまりの文体に、読むとバカになると言われて禁書扱いされた伝説の小説、『零夜の奇妙な転生』!
 それにこっちにあるのは……」

 本棚の前でいちいち大げさなリアクションをする、怪しげな仮面をつけた魔法使い風の男だけだった。
 俺は何も見なかったことにすると、ミツキたちに向き直った。

 ちょうど視線をもどしたミツキと目が合う。
 どうやらミツキも同じ物を見つけ、俺と同じ結論に達していたようだ。
 わざとらしく猫耳を仮面の魔術師と違う方向に向けながら、訪ねてきた。

「そういえば、『ゲーム』だった時には、貴方はあれを全て正解してみせたのですよね?
 一体どうやったのですか?」

 その質問はもっともだ。
 確かに誤答を答えるのは、『猫耳猫』プレイヤーたちにとっても高すぎるハードルだった。
 だが、彼らはこの理不尽すぎるクエストにも敢然と立ち向かった。
 なぜなら……。

「ああ。『猫耳猫』プレイヤーは、普通の人は持っていない、三つの武器を持っていたからな」
「三つの武器、ですか?」
「ああ!」

 そう、彼らは目には見えない、しかし何よりも大切な三つの武器をもって、この『智を知るモノ』という強大な怪物に挑んだのだ。
 その三つの武器とは、すなわち。


 ――何があっても変わらずにゲームを楽しめるほどの、『猫耳猫』への深い愛。
 ――どんな逆境や苦難にも怯まず、何度でもあきらめずにぶつかっていく勇気。
 ――そして、乱数調整である。
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