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この世界がゲームだと俺だけが知っている 作者:ウスバー
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第百四十一章 英雄の息子

 屋敷を出た俺たちは、すぐに街を突っ切って、一路東に向かって歩を進めた。

 レイラは「生涯で一人の男性にしか恋をしない」と公式ページに書かれているキャラクターだ。
 恋の正確な定義は分からないが、レイラの俺への友好度がデレツン状態まで行けば、恋をしているというのは確定的だろう。
 作戦が始まる前にそうなってしまったら、俺の計画は水泡に帰す可能性が高い。
 『自動友好度アップ(カウントオブデス)』の発動が確定的な以上、時間を置けば置くほど危険は増えるということだ。

 そして、時間経過のリスクはそれだけではない。
 レイラは完全ぼっちキャラだから、世間の情報に疎い。
 俺が水没王子と呼ばれている有名な人間だと、おそらくまだ気付いていないはずだ。

 しかし、段階の上昇と共に彼女の社交力は上がる。
 何かの拍子に俺の正体に気付いたら、たとえ『天の眼』がなくても俺を見つけるのは容易になる。
 少なくとも、俺がどこに住んでいるかということは、数人に話を訊くだけですぐに答えを得られるだろう。
 ついでにその時、俺のパーティに女性が多いということを知れば、即座に俺の死亡フラグが立つ。

 もはや、一刻の猶予もない。
 とにかく早く対策を打つことだけが、俺の助かる唯一の道だ。
 幸い、前のアイテムショップ大人買いと、魔王対策の時の買い物で必要なアイテムはそろっている。
 あとは全速で協力者を確保して、即座に作戦に移るのみ。

 そう考え、サザーンをせかして急いでいたのだが、

「ま、待て! 急いてはことを仕損じる!
 ここは慎重の上にも慎重を重ね、一歩一歩着実に……」
「お前、もうバテたのかよ……」

 サザーンが早速不満を言い出した。
 ただ、今回ばかりは我儘を言っているのは俺の方だ。

「……仕方ないな。ほら」
「え…?」

 俺が背中を差し出すと、サザーンは戸惑った声を出した。

「どうしたんだよ、さっさと乗れって」
「う、うん。あ、いや、でも、しかし、だなぁ……」

 この前までは何の躊躇もなく、自ら進んで背負えと要求してきたのに、変な奴だ。
 サザーンはやたらとためらっていたが、やがて覚悟を決めたのか、

「ぼ、僕を背中に乗せられることを光栄に思うんだな!」

 威勢のいい台詞でもごまかせないほど、妙にしゃちほこばった動作で俺の背中におぶさった。
 どういう心境の変化だか知らないが、やけに思い切りが悪い。

 まあ、サザーンの考えなんて分からなくても構わない。
 全力で飛ばしていれば、すぐにそんなことも気にならなくなるだろう。

「じゃ、飛ばすぞ」
「ま、待て、心の準備――」

 俺は何か言いかけるサザーンを抱え直すと、全力で走り出した。

「――わ、ちょっ、貴様、速すぎ……ギャァアアアア!!」



 そして、数十分後。

「いや、泣くなって。俺が悪かったから」
「ぼ、僕は泣いてなどいない!
 ただちょっと、ちびりかけただけ……って何を言わせるんだヘンタイ!!」
「やめろよ。背負いたくなくなるだろ」

 少し調子に乗って飛ばしすぎたせいで、サザーンがダウンした。
 軟弱者とサザーンをののしるべきか、そんなサザーン相手に容赦なく飛ばした自分を戒めるべきか、悩むところだ。

「まあお前が漏らしたかはともかく……」
「漏らしてない!」
「……ともかく、ちょっと休んでろよ。
 なんだったら、眠っててもいいぞ」

 俺は親切心からそう言ったのだが、サザーンの反応はちょっと違った。

「ま、待て! 本当にここで休むのか!?
 凄い数の敵に囲まれてるし、時々魔法が飛んできてるじゃないか!!」

 そう喚き散らすと、モンスターに囲まれている現状を示すように腕を振ってみせる。
 俺はあわててサザーンの頭を押さえた。

「馬鹿、顔を上げるな! 魔法が当たるぞ!」
「う、うぁぁ……!」

 折りしもちょうど魔法が頭上を通過して、妙な声を上げるサザーン。
 ……今度こそ、漏らしたかもしれない。

「心配しなくても、ここはこのフィールドの安地……安全地帯だ。
 一応、ゲームの時はそうだった」

 俺たちがいるのは、フィールドのど真ん中に存在する岩の上だ。
 このフィールドに岩を登れるモンスターはいないし、ここのモンスターが使える遠距離攻撃は、投射型の魔法だけ。
 射程距離が短く、完全に直進するだけなので、角度の問題で下からは絶対当てられない……はずだ。

 実際にはこれと似たような安地だと思っていた木の上で、イーナが死にかけた。
 ゲームでは安全地帯だったが、この世界でも絶対安全、とは言えない。
 ただ、木と違って岩はそう簡単に壊せそうもないし、今のところ何か問題が起こる気配はないから、おそらく大丈夫だろう。

「い、いくら安全だと言われても、こんなモンスターの声と魔法が飛び交う中で、僕に眠れと言うのか!?」
「そんなこと言われてもなぁ……」

 結構奥まで入り込んでしまったし、すぐに休めるような場所はこのほかにない。
 どうせ敵はここまで来れないし、魔法も当たらないのだから、BGMだと割り切って考えるしかないだろう。

「ま、とりあえず腹をくくって横になっとけよ。
 ……寝返り打って下に落ちたりしたら、たぶん死ぬけど」

 俺が冗談めかして事実を告げると、サザーンはいきなり俺にしがみついてきた。

「は、放すなよ! 僕を絶対、放すなよ!」
「やめろ鬱陶しい!」

 男に抱きつかれる趣味はない。
 中身がサザーンだったら女でもごめんだ。
 俺はサザーンを無理矢理引きはがした。

「俺は起きて今後の計画を練ってるから、大丈夫だよ!
 お前が落ちたら、仕方ないから助けてやる!」

 そう言って、ぐずるサザーンを半ば強制的にその場に寝かせた。
 サザーンはしばらくはおとなしく横になっていたものの、俺がメモ帳を取り出してオーダーでそこに書き込みを加え始めた辺りで、顔を上げた。

「それ、何をしてるんだ?」
「ああ、メモ帳に書き込みをしてるんだよ。
 俺の世界の技術でさ。
 このメモ帳に、考えるだけで文字を書けるんだ」

 俺が実際に目の前でやってやると、サザーンは仮面の奥で目を丸くした。

「……貴様は、本当に別の世界の人間なのだな」
「何だよ、信じてなかったのか?」

 俺が冗談めかして訊くと、サザーンは素直にうなずいた。

「ああ。誇大妄想狂の類かと少し思っていた」
「おい……」

 お前にだけは言われたくない、とはこのことだろう。

「……今後の計画って、何だ?」

 さっきより少しだけしおらしく訊いてきたサザーンに、俺も不思議と穏やかな気持ちで答えた。

「簡単に言えば、どうやってレイラと仲良くなるかの計画、だな」

 レイラのデータや、イベントの具体的な内容についてはwikiを見てはいないが、俺にはゲームでの経験がある。
 自慢にはならないが、俺は遺跡探索イベントをクリアするため、何度もレイラに刺され続けた。
 それはつまり、最後にセーブした友好度24の状態から、遺跡探索が可能な50までの友好度上げを、何回も繰り返したということだ。

 初期のツンツン状態において、レイラには会話もプレゼントもほぼ効果がなく、一日に一回会うこと、声をかけることだけをトリガーとして、友好度を上昇させているように感じた。
 ただ、第二段階のツンデレ状態まで上がれば話は別だ。
 一日に何度も友好度を上げられるし、どういう言葉をかけるかで友好度の上がりは変わる。
 彼女の好きなアイテムも、どういう台詞に喜ぶのかも、俺はもうゲームで予習済みだということだ。

 さらに、友好度の仕様についてはゲーム時代のものがあまり参考にならないと分かっている。
 もしかするとツンツン状態でも言葉のチョイスが問題になるかもしれないし、プレゼント攻勢だって効果があるかもしれない。
 ただ、友好度の上がり方、下がり方が変わっていても、キャラの嗜好自体は変わらないだろう。

 だからゲーム時代のデータを基に、出来るだけ友好度の上がりやすそうな対応を模索する。
 今の内に、『偽りの白馬の王子様』の行動や台詞を考えておくことは無駄にはならないはずだ。
 それに、その間女性キャラが近付いてこないようにブロックする係も絶対に必要になる。
 その段取りを、今から少しでも計画しておこうと思ったのだ。

 俺が丁寧にそう説明すると、サザーンはしみじみと言った。

「お前、つくづく最低だな」
「ぐっ!」

 今回ばかりは最低なことをしている自覚はあるので、反論しがたい。
 それでも何か言い返してやろうと俺が頭を回転させ始めた時、サザーンは独りうなずいた。

「決めた! 僕も起きていよう」
「お、おい? 別にお前まで付き合う必要は……」

 俺はあわてて止めたが、サザーンは折れない。
 仮面の奥の意外と澄んだ目と、視線がかち合う。

「不本意だが、貴様だって今は、僕のな、仲間、みたいなものだ。
 仲間が頑張っている横で、この偉大にして高貴なる僕が、呑気に寝ている訳にはいかないさ」
「サザーン……」

 その言葉を聞いた瞬間、一瞬だけ俺の胸は詰まった。

 俺は今まで、この魔法使いにきつく当たりすぎていたのかもしれない。
 確かにこいつはどうしようもない奴だが、悪い奴じゃない。
 なんだかんだ言いながら、こいつは自分の本来のパーティのことよりも優先して、困った俺に手を貸してくれているのだ。

「……サザーン」
「何だ?」

 まだ、俺の中にわだかまりのような物は残っている。
 しかしそれは、こいつに歩み寄っていかなくていい理由にはならない。

 俺は自分の中の色々な物を振り切るように、力強くサザーンに手を差し出した。

「これからも、よろしく頼む」

 サザーンは差し出された手をしばらくぼうっと見ていたが、やがて仮面の下ににやりとした笑みを作った。

「ふ、ふん! そこまで請われては仕方ないな!
 手始めに、その計画とやらに僕の灰色の脳細胞を役立ててやろう!
 偉大なる魔術師サザーンのゆ、友人になれるなんて、貴様は世界一幸運だぞ!!」

 俺が、「いや、友人とかは別に……」と言う暇もなく、俺の手がぎゅうっと握られた。
 その大げさな口上とは対照的に、魔術師であるサザーンの手は、やたらと小さく、華奢な感じがした。

 ……ちなみに。
 その後、サザーンは二分くらいで呑気に寝始めたので、俺は一人で今後の計画を練った。



 そんな小休止を挟んだ後、俺はふたたびサザーンを背負い、行軍を再開した。

「それで、今回の目的の人物はどういう人間なんだ?」
「名前は、ロイク・ファーラース。
 英雄ガイル・ファーラースの息子、だそうだ」

 英雄と呼ばれているものの、ガイル・ファーラースという人間について、ゲームでの情報は少ない。
 ただ漠然と、「凄い冒険者で英雄と呼ばれていた」という情報があるだけだ。
 ガイルなんて名前に似合わず、案外お茶目な人だったんじゃないかと俺は勝手に考えているのだが。
 実際にこの世界の人間であるサザーンなら知っているのではと一応尋ねてみたが、

「ふん! 真の英雄は、俗世に塗れた凡愚共の大将などに興味はないものさ!」

 時間の無駄だった。
 こいつも世間の噂とか詳しくなさそうだし、仕方ないだろう。

「しかし、英雄の息子だか知らないが、もうちょっと別の、手近な奴で済ませる訳にはいかなかったのか?」
「お前……」

 サザーンの今さらな言葉に絶句させられる。
 その辺りは屋敷で散々話したはずだったのだが、ろくに話を聞いていなかったようだ。
 しょうがないので、もう一度説明する。

「ロイクは山の奥で、死んだ父親の技を継ぐために一人で延々と修行してるんだよ。
 その、『山奥に一人で住んでる」って部分が今回の作戦にとっては重要なんだ」
「ふ、ふむぅ?」

 サザーンが分かったような分かってないような声を出す。
 だが、分かってないのは分かっているので、俺は気にせずに言葉を続ける。

「ほら、女の知り合いがいないと作戦中に声をかけられる危険が減るだろ。
 あと、作戦が終わってからもしあいつの家にレイラが押しかけたとしても、周りに女がいなければ問題は起こらない」
「あー、なるほど」

 ロイクは俺の知る限り、レイラにつきまとわれても刃傷沙汰に発展しない、唯一の男性キャラクターだ。
 ついでに言うなら、プレイヤー属性のないロイクなら、万が一にもレイラに刺されても平気……なはず。
 これについてはこの世界の仕様がどうなっているか分からないので、断定は出来ないが。

「性格も、言葉遣いはちょっと乱暴だけど悪い奴じゃないからレイラと付き合うことになってもうまくやりそうだし、それに……あとは、まあ、身体的特徴というか、なんというか」

 俺はそこで言いよどんだ。
 あいつを選んだ理由は主に容姿にあると言っていい。
 だが、それを口にするのは、ちょっとだけ不愉快ではある。

「もったいぶらずに早く言えばいいだろう。
 僕を焦らして何を楽しんでるんだ、ヘンタイめ!」

 しかし、サザーンにさらに不愉快な煽りをされて、黙っているという選択肢はなくなった。
 俺は仕方なく最後の、そして最大の理由を話す。

「あいつ、俺と大して変わらない背格好の癖に、俺より格段に、その、……見た目がカッコイイんだよ!!」

 叫ぶように言った俺の言葉に、サザーンも叫び返してきた。

「それは、僕よりもか!?」
「当たり前だろ! お前、自分がカッコイイとでも思ってたのか?」

 それを軽くかわしてサザーンを撃沈してから、あいつ、ロイク・ファーラースの姿を思い浮かべる。
 背は高くもなく低くもなく、どちらかというと細身の18歳の青年であるロイクは、それだけ言うなら俺と大差ない。
 だが、逆に言うなら似てるのはそこだけ。
 別に俺は自分の見た目にコンプレックスを抱いている訳ではないが、それでも外見のスペックで言うなら俺は足元にもおよばない。

 ロイクは燃えるような赤い髪と強い意志の宿る目をした、熱血系主人公的な容姿をしている。
 細い身体はよく見るときちんと鍛え上げられ、充分に引き締まっていて、頼りがい充分。
 言葉遣いこそ乱暴だが、気遣いが出来ない訳でもなく、時折見せる子供っぽい笑顔が女性プレイヤーに大人気らしい。
 正直、イケメン爆発しろと言いたい。

 そんな訳で、ロイクもアレックズとは別の意味で、もうこいつが主人公でいいんじゃないかというキャラクターだと言える。
 同じ男として若干複雑な思いがなくもないが、今回はそれを利用させてもらう。

「そのために、まずはロイクの家の近くの洞窟に行くぞ」
「え? ふ、二人で?」

 驚いた顔をしてみせるサザーンに、俺は呆れた声を返した。

「そもそも、どうして俺が苦労してお前を連れてきたと思ってるんだよ」
「ええっと……僕の溢れ出す闇のカルマがまるで誘蛾灯のように貴様の――」
「違う! 一人じゃ解けないダンジョンの仕掛けがあるからだよ」

 あのメンバーの中でサザーンを選んだのは当然サザーンが男だからだが、同行者が必要なのはそういう訳だ。

「そ、それって……」

 俺の口ぶりから何かを察したのか、急に震え声になったサザーンに、今までにないさわやかな口調で告げてやる。

「目的のダンジョンは推奨レベル90の敵の弱い場所なんだが、一人がレバーを引いている間に、もう一人が仕掛けを解かないといけない所があってな。
 レバーを引いている間中、壁がどんどん迫ってきたり、周り中から槍が飛んできたりするけど、まあ頑張れ!」
「い、嫌だぁ! そんな所にいられるか! 僕は屋敷に帰るぅ!!」
「だから、あそこはお前の家じゃないって言ってるだろ!」

 そんな風に怒鳴り合いつつ、俺は背中で暴れるサザーン(いけにえ)をがっちりホールドして、目的の物が眠る洞窟へと足を向けたのだった。



 そして、様々な苦難の果てに、俺たちはようやくロイクの家の前についた。
 そこでようやく、サザーンを背中から降ろす。

「ふぅ! まったく、あんな紙切れの一つのために、ひどい目にあった……」
「いや、お前は何もしてないだろ」

 ちょっと脅しが効きすぎたのか、洞窟で仕掛けを前にしても震え上がって俺にすがりつくだけのサザーンを前に困り果てていると、鞄の中からいきなりくまが飛び出してきて、レバーを引く役を担当してくれたのだ。
 安定のくまさんカッコイー、そしてサザーン意味ねーなー、である。

「いいから、しゃんとしろよ。そろそろだぞ」
「わ、分かってるよ!」

 俺の注意に、サザーンもぴっと背筋を伸ばす。
 はるばる東の果てまでやってきたのも、あんな洞窟に足を運んだのも、全てはこの時のためだ。
 夕焼けに染まるその木の家の近くには、夕日に負けないほど真っ赤に燃える髪をした、一人の青年がいた。

「何だ、アンタら? 俺に、何か用か?」

 流石は英雄の息子。
 俺たちが話しかける前に、そいつは振り向いて俺たちを鋭い眼光で見据えた。
 その迫力に一瞬怯みそうになったが、ここで退いてはいられない。

「俺はソーマ。王都の冒険者だ。
 あんたに、手伝ってほしいことがある。
 俺たちと一緒に、王都まで来てくれないか?」

 進み出た俺の言葉を最後まで聞かず、ロイクは即座に首を横に振った。

「悪いが俺は、そういうことには興味ないんだ。
 父の技を完全に受け継ぐまで、ここを離れる気は……」
「これを見ても、同じことを言うのか?」

 しかし、そこまでは織り込み済み。
 俺は早速切り札を出してみせた。

「それ、は……」

 反応あり。
 やはり、ロイクのイベントで手に入るアイテムを、先回りして取ってきたかいがあった。
 動揺するロイクに、俺はたたみかけるように問いかける。

「あんたの父親が書いた、奥義書だ。
 俺に協力してくれたら、依頼の成否にかかわらず、こいつを報酬として渡す。
 ……さぁ、どうする?」

 もちろん、それから赤髪の小英雄が首を縦に振るまで、数秒もかからなかった。




 そして翌日、王都リヒテル。

「――レイラさん、ですね。あなたを、ずっと待っていました」

 大聖堂の前で、金髪の女性に花束を差し出す赤髪の青年の姿が、そこにはあった。

 ――『偽りの白馬の王子様』作戦。

 命懸けのナンパ作戦が今、とうとう実行に移されたのだった。




ロイクに言いたい一言

「…本当に引き受けてしまったのか?」
+注意+
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