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幻想再帰のアリュージョニスト 作者:最近

第4章 傷つけるのはハートだけ、口づけるのは頬にだけ

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4-18 ガイノイドの魔女

 いくつかのことが立て続けに起こった。
 まずクレイの手刀が俺にかけられた精神支配の糸を断ち切る。我に返った俺は【弾道予報】を即座に起動、迫り来る手裏剣をぎりぎりの所で掴み取った。軌道を微調整しながら背後に投擲。頭上から襲いかかってきた敵に手裏剣が突き刺さる。【Doppler】が側面から迫るもう一体の敵を感知。奇襲を避けきれない。だがその時、通路の奥から躍り出た新たな人影が鋭い貫手を放つ。敵が汚水の塊となって形状を崩壊させ、床に水たまりを作った。

「不穏な気配を感じてついてきてみれば、案の定か。君もよくよく厄介事を抱え込む男だ、シナモリアキラ」

「悪い、助かった!」

 ロウ・カーインがそこにいた。
 クレイが手裏剣を脳天に受けて倒れていた刺客に止めを刺して、構えを解かないまま通路の反対側を睨みつける。

「まだ来るぞ、貴様ら馴れ合いはその辺にしておけ」

 それらは、空中を、天井を、床を、壁を、まるで水中を泳ぐかのように移動していく。あらゆる固体を液体であると見なしているかのように、壁や床に波紋を広げながら出現と消失を繰り返している。まるで魚の群だ。ちびシューラが解説してくれる。

(海の民が得意とする物質透過呪術、【潜行(スーロイド)】だよ! 欠点は攻撃の瞬間に解除しなきゃならないこと。ただし相手の体内で解除すれば防御を無視して攻撃できるから気をつけて!)

 要するにニンジャの量子透過みたいなものだ。厄介な。数が多いために一つ一つの制御に気を回せないのか、それほど動きが良くないのが救いといえば救いだが、手に生み出した水流の刃は必殺の威力を有している。

「確か、イアテムとかいったな。まだこんなに残ってたのか」

「本体を倒さねばどうにもならないのだろう。ち、やはりセキュリティが強化されている。同じ手は通用しないか」

 カーインが次なるイアテムに貫手を放ちながらぼやく。効果が無いとわかると蹴り技に切り替えるが、際限なく現れるイアテムは押し寄せる波のようでどうしようもない。無尽蔵のイアテムは全てが分身。使い捨ての暗殺者にして鉄砲玉。放てば戻ってこない矢のようなものだ。

「クズが――この期に及んで悪足掻きか」

 クレイが縦横無尽に通路を駆け巡り、イアテムたちと切り結んでいく。水流の刃を片手で受け止め、回転しながらもう片方の手刀で別のイアテムを切断する。流れるような剣舞が呪力を生み出し、『飛ぶ斬撃』となってイアテムを滅多切りにしていった。

「ほう、華麗なものだな」

 カーインがクレイに襲いかかろうとしていたイアテムを蹴り飛ばしながらクレイに声をかけると、クレイは露骨に舌打ちしながらカーインに迫っていたイアテムを両断する。即席のコンビネーションが成立していた。

「黙れジャッフハリム人。貴様と馴れ合うつもりはない」

「それは残念だ。私は君の剣舞に興味をかき立てられているのだが」

 この二人、確か一度戦っていたな。カーインが一撃でクレイを下していた記憶がある。クレイが険悪なのはそのせいもあるだろうが、そもそも第五階層の住人に対して敵意を持っていることや、カーインの出自に反感を持っていること、本人の性格なども大きいだろう。

 とはいえ、一時的に共闘することくらいはできそうだ。
 大量のイアテムを次々と撃破していく姿は頼もしい。

「カーイン、しばらく背後を任せていいか」

「心得た。彼女の点穴ポートを狙うのは骨が折れそうだ。君の外功の方が相性がいいだろう」

「助かる」

 これで背後のイアテムはカーインに任せられる。何も言わないがクレイも同じように対処することにしたようだ。
 さて、問題は俺の方だ。
 反対側には別の敵が立ちふさがっている。
 先ほどまで俺がラクルラールだと錯覚していた相手。
 その姿は、トリシューラの資料で見たばかりだった。

「ミヒトネッセ、ってのはお前か」

「気安く呼ばないで、屑」

 どこかで聞いたような罵倒。激しい口調だが、はっとするほどクリアで柔らかい声質で驚かされる。声に滲む強烈な悪意から可愛らしさめいたものが感じ取れてしまい、どう対応したらいいのかわからなくなる。
 少女はツーサイドアップの長い髪を揺らして、気の強そうな目がこちらを睨みつけてきた。美術品のような人工的美貌はトリシューラと共通しているが、こちらの方はアーモンド形で吊り上がり気味の猫目がややキツイ印象を与えている。右手には短剣のような刃――というかどう見ても苦無(くない)――が握られ、細い手首が見えていた。

 フリル過多な侍女服の袖口から覗く手首関節とスカートの裾から覗く膝関節は、明らかに人のものでは無い。可動域だけ露出した球体は、このタイプの人形に特有の機構であり、ラフディが誇る文化の精髄。そしてこの場面では、ラクルラールの関係者という状況証拠でもある。

「シナモリアキラ。穢らわしい悪魔」

(アキラくん、話とか聞かなくていいよ。殺して)

 ちびシューラにしては珍しく、ひどくシンプルな殺害命令。単純な排除以外のあらゆる関わり合いを拒絶する全否定。それほどまでに、この相手はトリシューラにとって受け入れがたい相手なのか。どういう相手なのか気にならないと言えば嘘になるが、トリシューラが嫌がっているのに訊ねることはできない。それに悠長に考えてる暇は無い。

 素早く赤黒いカプセルを口に放り込む。
 途端、体内に取り込まれた圧縮呪文が俺の存在そのものと呪的に同化したカッサリオ因子を活性化させていく。肉体内部で呪力圧が高まりつつあるのを感じた。体温が急激に上昇しており、全身が熱くなっていく。
 戦闘用に切り替わった身体が意識を駆動。ちびシューラの制御によって左腕が起動シークエンスに移行する。

「悪いが、予定外の来客なもんで皿が足りない。間に合わせでよければこいつを使ってくれ――換装・六十四番!」

 言うが早いか【ウィッチオーダー】が瞬時に構築した漆黒の円盤を投擲。低次の知性を持ち、自律的に未来を予測しながら敵を狙う浮遊円盤だ。
 高速で飛来する黒い刃に対して、侍女姿の刺客は身を沈め後退するような気配を見せた。回避行動の先触れだと判断したその時、相手の口が動いていることに気付く。読み取れた唇の動きはこう告げていた。

「『彼はお前の頭を砕き、お前は彼のかかとを砕く』」

 ミヒトネッセの二つの髪房が砂茶色の軌跡を描きながらぐるりと旋回していく。豪快な後ろ回し蹴りバックスピンキック、サイバーカラテ的には転身脚。背後を見せるリスクはあるが、長い脚に身体全体の回転が乗って凄まじい威力となる大技だ。その上、ミヒトネッセの蹴りは異常な速度で衝撃破を発生させていた。外見から判断できる筋肉量では絶対に不可能な勢いだ。

(身体能力のスペックだけならシューラより上! 気をつけて!)

 ちびシューラの忠告は事前に目を通した資料の再確認でしかなかったが、実際に目の前でその威力を見せられた後では感じ方がまるで違った。
 上段へ伸びた球体関節の脚が風を切り、踵が円盤に直撃する。
 命中したのは脆い面にではなかった。絶えず角度を修正し続ける漆黒の円盤にそのような手落ちはあり得ない。

 革靴の踵は刃の部分に激突していた。金属加工された踵部位は切断されずに正面から刃を打ち砕く。回転運動を終えたミヒトネッセは深く息を吐いた。調息に見えるが恐らく排熱だろう。武術家というより、性能に任せて標的を粉砕する兵器の雰囲気を感じる。
 要するに、カーインやゾーイなんかより俺に近い。
 ミヒトネッセは整った眉を吊り上げた。

「今、何かとても不快な事を思考された気がする」

「大した第六感だな。ラクルラールお姉様とやらに付けてもらった機能か?」

 ミヒトネッセはこちらの言葉を無視した。
 小さな鼻でせせら笑って、挑発的な視線を向けてくる。

「蛇は聖なる童貞の踵を噛み砕き、処女は悪魔の頭を踏み砕く――けれど私はこのゼオーティアにおける『てつのかかと』。私は蛇に踵を噛み砕かれない。ゆえに私は悪魔の頭を一方的に踏み砕く」

「はあ?」

 意味が分からない。
 魔女がこちらを煙に巻くような言動で惑わしてくるのはいつものことだが、ここまでコミュニケーションをとる気が無い相手は初めてではないだろうか。

「あんたと私、どちらが真にアダム・カドモンに相応しいか――ここではっきりさせてあげる」

 その上、何故かよくわからない敵意――というより対抗心じみたものを向けられている気がする。アダムなんちゃらって何だっけ。トリシューラがたまにやる、俺の前世からの引用っぽい雰囲気だが。

「私が奪う未来の座は、四魔女じゃなくてその使い魔ってことよ、悪魔!」

 勢い良く踏み出してくるミヒトネッセが右手に握った苦無を振るい、恐るべき速度の蹴りを放ってくる。カーインやマラコーダ、そしてゾーイといった蹴り技の達人たちとの交戦データが無ければ予測と回避は間に合わなかっただろう。流石にゾーイほどの重さと速さは無いが、カーインとマラコーダを軽く超える殺傷力だ。つまりまともに受けると死ぬ。
 神速の蹴り、逆手に持った苦無による斬撃と刺突、左手から放たれる手裏剣といった連続攻撃を捌きながら打開策を考える。

 サイバーカラテ道場が提示する蹴り技への対処は二つ。
 距離を取って飛び道具を使うか間合いを詰めて近接戦闘に持ち込むか。
 大技を連発するミヒトネッセ相手に接近は有効に見えるが、手に持った短めの刃と、回転中に抜け目なく構えられたままの肘が危険だ。ブーツに飛び出し式の暗器でも仕込まれていたら不意の一撃を貰いかねない。飛び道具は先程あっさりと無効化されたばかり。とすれば取る道は――

「換装、五十七番!」

(了解だよ! 【リーエルノーレス】・エミュレート!)

 両方の選択肢、どちらもだ。
 左腕に光の粒子が収束し、その姿を変えていく。
 現れたのは漆黒のチェーンソー。
 前に一度キロン相手に使用して破壊されたが、この度トリシューラによる再構築が完了した兵装だ。そして、サイバーカラテ道場の公募企画『みんなで作ろうウィッチオーダー』の月間最優秀作品でもある。

 左腕の形状は、集合知によってアップデートされていく。手首から三枚のチェーンソーが平行に伸び、それぞれ刃の回転速度が異なっている。普通に考えれば樹木の伐採にはとても使えないこの形状には呪術的な意味があった。

(メインデザイナーは【伐採大好き】さんだよ! それに【彫刻師】さんと【手段が目的】さん、それに二人の【言理の妖精(ななし)】さんが細かい調整をしてくれました。みんなありがとねー! ポイントと豪華プレゼントをお楽しみに!)

「そんな鈍重な武器っ」

 ミヒトネッセの踵に呪力の輝きが収束していく。何かの呪術を発動しようとしているようだが、させるものか。換装の為に距離を離したが、ここからでもできることはある。脳内でちびシューラが叫んだ。

(呪術行使支援アプリ【幻肢の力】起動! 空の民アタックいくよ!)

 邪視系統の制御に優れた氷の右腕から幻肢のみが遊離していく。
 消費呪力と動作の隙が大きいコルセスカの【氷鏡】による増殖は行わない。単純な俺自身の感覚に頼った一撃が勢い良く飛んでいく。この攻撃の利点は、普通に突きを放つような動き出しの速さ、そして長射程にある。

 幻の拳は急降下したかと思うと床を滑るように進み、ミヒトネッセの脚を払う。回避に意識が向けられて生じた隙につけ込んで、俺の本体が左腕の呪動鋸を高速回転させながら躍りかかった。唸りを上げる三枚の刃が頂点で三文字を連ねて呪文を発動させる。刃が淡黄色の頭に吸い込まれていく、寸前。

「球神よ!」

 超常の存在に呼びかけて加護を得る簡易呪文が発動した。
 ミヒトネッセの周囲に球形の呪文障壁が展開される。光り輝く半透明の壁に激突したチェーンソーは一瞬跳ね返されそうになる、しかし。

(ここからがバージョンアップしたリーエルノーレスの本領発揮!)

 三重刃の呪動鎖鋸リーエルノーレスは、各パーツに刻印されたそれぞれ異なる三つの文字を揃えることで一つの呪文を発動させる仕組みだ。
 速度差によって生じる文字のずれを利用し、多種多様な呪文の組み合わせを高速で展開していく。三つのチェーンソーの回転速度は絶えず変化しており、組み合わせの配列を見極める事は極めて困難だ。

 絶えずその呪文配列を組み替える呪動鎖鋸はドルネスタンルフの加護を打ち破る最適な配列に辿り着き、粉々に破壊する。
 今度こそ必殺の一撃が命中し、ミヒトネッセの頭部を引き裂き、胴体を上から下へと滅茶苦茶に破砕して股間に抜ける。一刀両断だ。

 勝利の確信を得たが、理性と脳に刻み込まれた習慣が残心を戒める。
 正解だった。
 目の前で、敵の残骸が破れた呪符に変化する。
 身代わりだ。本体は既に逃れている。

(アキラくん、上っ)

 警告されるが、左腕を振り下ろした体勢では即座に真上への防御に移行できない。一か八か全力で前に飛び込んだ。背後に何かが落下してくる音。前転しながら受け身を取って急速に反転、右手から幻肢の一撃を放って牽制しつつ左腕を構え直す。

王権守護者サテライトオーブ――【スキリシア】」

 やはりミヒトネッセには傷一つ無い。真上から強襲をかけて陥没した床面から僅かに横にずれて幻肢を軽々と回避し、右足を僅かに浮かせると奇妙な呪文を唱える。一見すると何の変化も無いようだが、影を見ると奇妙な現象が起きていた。彼女の影、その足の周囲を球形の影が規則正しく回っているのだ。その上の空間には何も無いというのに。

(束縛系の呪いに注意して。幻肢なら影に触れるよ!)

 警告の直後、再びミヒトネッセの蹴りが放たれる。だが間合いは遠く離れたままだ。今度は影だけが鋭く伸びて来ているのだ。
 影の衛星がその大きさを増しながら床を滑り、こちらの影に襲いかかってくる。対抗して幻肢を伸ばし、平面の蹴りに拳を叩きつけた。存在しないはずの重さが激しい衝撃を伝えてくる。

 弾かれた足を引いたミヒトネッセは、しかし既に本命の攻撃を終えていた。
 投擲された苦無が、いつの間にかこちらの影に突き刺さっていたのだ。
 身体が影ごと大地に縫い止められたかのように動かなくなっている。
 伸ばした幻肢の右腕すら伸びきって硬直していた。この状況はまずい。
 投擲された手裏剣を回避すべくモードを切り替える。幻肢制御系のアプリを全て強制終了させ、杖寄りの状態に。

 存在していた霊体が消滅し、杖の理に支配された物質となって呪縛を逃れる。
 すぐ傍を回転する刃が抜けていき、息を吐く暇も無くミヒトネッセ本体が迫ってきた。手数が多く、呪具を使って物量で攻める典型的な杖使い。それも体術を主体に素早い連撃を加えていくというスタイル。

 厄介だと感じるが、同時に分かり易いとも感じた。
 攻防を重ねていく度、その感覚は強くなるばかり。
 というのもこのミヒトネッセという女、どうも戦い方の癖が俺と近い気がする。
 不意を突く、急所への投擲による牽制、機械人体の性能に任せた力任せの打撃、言葉による撹乱――恐らく機先を制する為に聴覚も活用している。

 どうにもやりづらい。
 いや、それともやりやすいのか。
 互いに致命打を与えられないまま時間が過ぎていく。イアテムの群と戦い続けるカーインとクレイの方も暫くは手が空きそうにない。

 互いに決め手を欠いたままの膠着状態を打破したのは、前触れ無く鳴り響いた銃声だった。正確無比な射撃が次々とイアテムの群を撃ち抜いていく。辛うじて無事だったイアテムが床の中に沈み込もうとした所を、鋭く伸びた蠍の尾が刺し貫く。藍色の輝きが尾の尖端部からイアテムに注ぎ込まれ、絶叫と共に全てのイアテムが消滅していった。

「お待たせアキラくん。マラコーダのフルチャージした【呪毒】でイアテムは戦闘不能だよ。というわけであとはアレだけ」

 駆けつけてきたトリシューラが樹脂性の自動式拳銃を構えながら微笑む。すぐ隣には蠍の尾を生やしたマラコーダもいた。ちびシューラ経由でこちらの状況は伝わっていたのですぐにくると思っていたが、意外なほど遅い。

「他の連中は?」

「そっちの襲撃が囮の可能性を考えて、他のマレブランケは周囲の警戒にあたらせてる。案の定アストラルフィッシュの群が襲ってきたみたい。まあ、大した脅威じゃないけどね」

 アストラルフィッシュとやらが何かは知らないが、恐らく敵の使い魔あたりだろう。大規模な襲撃ではあったが、援軍が来た以上これで終わりだ。

「【変異の三手】の残党と組んで、今更何の目的で出てきたのか知らないけど――ここで始末してあげる」

 トリシューラが銃口をミヒトネッセに向けた。
 躊躇無く発砲するが、侍女服の刺客は軽く身体を傾けただけで回避。
 その瞬間を狙い、俺は身を低くしながら走り出した。

 疾走するカーインと跳躍して上から襲いかかるクレイ、そして反対側から俺がチェーンソーによる攻撃を仕掛ける。ミヒトネッセに逃げ道は無い。
 今度こそやれると思ったその時、

「廻れ」

 ミヒトネッセが片足立ちの状態のまま急速な回転を開始した。竜巻のような激しさで旋回し、周囲に呪力を撒き散らして衝撃で俺たちを弾き飛ばしていく。先程感じたのと同じ、球神の加護だ。

(資料に書いておいたでしょ! ドルネスタンルフの加護で回転運動を強化するのがミヒトネッセの得意技なんだよ。円運動のパンチとかキックとかスピンとか回転して飛んでく手裏剣とかの威力が軒並み強化されるの!)

 一応知ってはいたが、まさか独楽みたいに回転するとは思わないだろう。
 驚きながらちびシューラに言い訳をしていると、回転を止めたミヒトネッセがこちらに背を向けて、トリシューラやカーインたちがいる方に向き直った。周囲に巨大な球形の呪術障壁を展開して警戒はしているようだが、様子がおかしい。

 背後から見ても分かるくらいに呼吸が乱れている上、なにやら恥じらうかのようにもじもじしたりしきりに服の裾を摘んだりしている。気持ち悪い。
 ちびシューラ経由でトリシューラの視界を表示すると、ミヒトネッセの顔が紅潮していた。というかなんだあれ、発情してる――? いやまさか。
 ギリギリ、と音を立てて頭に斜めの角度で突き刺さったぜんまいばねが回転していた。何なんだろう一体。ミヒトネッセは急に胸を反らしたかと思うと、居丈高になってトリシューラに言い放った。

「ふん! 相変わらずのぽんこつっぷりね、このがらくた!」

 いきなり地雷を踏みに行くとは、勇者かあいつ。
 案の定、トリシューラは表情一つ変えないまま激怒している。
 朗らかな笑顔を顔に貼り付けた、透徹とした無表情。殺意が漲っていた。

「私がいない間、散々失敗ばかりだったみたいじゃない? 存在消滅寸前まで追い込まれるとか、全く惨めよね。今回だってちょっとつついただけであのていたらく。ほんっとにしょうがないクズなんだから」

「死ね」

 問答無用とばかりに発砲するが、銃弾は球形障壁に阻まれて明後日の方向に跳ねていく。舌打ちするトリシューラを蔑みの目で見るミヒトネッセの表情は、何故かとても上機嫌だった。

「あんたは幼なじみの私が手助けしてあげないと何もできないがらくたなんだから、身の程を弁えなきゃダメじゃない。ちっちゃな箱庭で女王気取りとか、何それ笑える。その歳になっておままごとに夢中って、かなり恥ずかしいわよ?」

 ああ、幼なじみなのか。星見の塔出身なら納得だが、それにしても何か自信満々というか、その立ち位置に誇りを持っているかのような口調だった。どうもトリシューラに対して優位に立ちたいらしい。

「世界を変えるとか、神話の再生とか、妄想はほどほどにして現実見なさい。いいこと? 周囲はあんたのことを親切に待ってくれたりしないの。誰もあんたのやることに興味なんて無いし、本当の意味であんたを見つけてくれる人なんていないんだから。あんたの周りに人がいるのはただ杖の魔女として力があるから。それはあんた自身の存在を承認してくれるものじゃない」

 球形の障壁は先程より強固になっている。チェーンソーで突破できないように障壁自体が高速回転して攻撃を受け流す仕組みになっているようだ。とすれば真上からの攻撃が有効と推測できるが、先程さりげない動きで足下に落とした呪符が気になる。見間違えでなければあれは閃光符だ。影を真上に投射する狙いがあるとすれば、先程の影による攻撃を食らいかねない。無駄話をしているように見えるが、ミヒトネッセは警戒態勢を解いていないのだった。

「あんたが自分で作ったと思い込んでる繋がりは、ぜんぶ偽りよ。だからね、その、本当の意味でトリシューラのことを考えてるのが誰かってことをね、ちゃんと考えてみた方がいいんじゃないっていうか」

 取るに足らない精神攻撃でも、ここまで長々と捲し立てられれば流石に苛立たしくなってくる――そう思っていたら、何やら雲行きが怪しくなってきた。
 またしても『もじもじ』が再発していて、凄まじく気持ち悪い。
 トリシューラと俺の気持ちが完全に一致した瞬間だった。

「キモイ」

 と声に出して言い放つトリシューラ。

「何、照れてるの? 今更じゃない、私たちの間で」

 しかし全くめげずに両手を後ろで組み合わせて爪先で地面をぐりぐりしているミヒトネッセ。二人は全く噛み合っていない。
 ていうか、あいつは何を言っているんだ。

「一度は愛を交わして結ばれた仲なのに」

「は?」

 思わず口に出してしまった。凝視すると、トリシューラが血相を変えてミヒトネッセの爆弾発言を訂正する。

「違うよっ、こいつが勝手に言ってるだけっ」

「本当よ。トリシューラの硬くて太いもので貫かれて、中で熱いのを一杯出されて滅茶苦茶にされたの。責任、とってもらわないと」

「呪槍銃ぶちこんで内部からバラバラにしてやっただけっ!!」

「槍って男根のメタファーだから、事実上セックスよ。呪力射撃だってトリシューラの中にある情報を弾丸にして解放したんだから、これも情報を相手に注ぎ込む射精のメタファー。つまり呪的セックスよね。幼なじみを無理矢理レイプしておいて、言い訳するの? 私じゃなかったら許されないことだからね?」

 一瞬真っ白になった頭に理解がすとんと落ちてきた。
 ああ、つまりこいつはアレか。
 トリシューラが嫌がるのも無理は無い。これは何というか、アレだ。

「大好きよトリシューラ。トリシューラはどう? ううんわかってる、私たちの気持ちは同じなんだってこと。でも過去や立場がそれを許さない。かつての私みたいに、素直になれないだけ。けれど、私たちが両思いだって、本当は誰よりも深く想い合っているんだって、知ってるから。だから平気よトリシューラ。何も言わないで、私はトリシューラの愛を疑ったりしない。トリシューラが私を信じてくれているように」

 見ると、カーインとクレイがどん引きしていた。マラコーダですら顔を引きつらせている。トリシューラは完璧な無表情だ。つまりとても楽しそうに笑っている。あれはヤバイ、ちびシューラが怒髪天を衝く勢いで真っ赤になっていた。

「あのね、私ずっと会えなかったから寂しくて――自作したトリシューラ人形を常に持ち歩いているの。ね、どう。嬉しいでしょう」

「キモ。死ね」

「照れないでよ。それは、昔の私もそういう態度とってたけど――もう私もあんたもそういう時期は通り越したでしょ?」

「アキラくん、射撃して追い込むから側面から回り込んで仕留めて」

 相手、なんか喋ってるけどいいのか。
 それに球形障壁が突破できそうにない。何か新しい義肢に換装するべきだが、上位義肢の使用は日中の戦いで消耗した今は無謀だ。手詰まりな状況に迷っていると、ミヒトネッセは夢見るような口調で続ける。

「それに、忘れもしない、あの十二月騒乱。あんたとクレアノーズお姉様がいなかったら、私は今頃どうなっていたことか」

「――私は今、助けなきゃよかったって後悔してる」

「とってもとっても嬉しかった――だから決めたの。私が生涯(つく)す相手は、この人にしようって」

「やめて。いらない。付きまとわないで」

「でもね、私たちの尊敬するクレアノーズお姉様は、『トリシューラを助けるように』って言って下さったわ。ラクルラールお姉様だって『貴方を正しい道に引き戻してあげなさい』って」

 舌打ち。ついに笑顔が崩れる。トリシューラはひどく不快そうだ。

「だから私は、トリシューラをトライデントの左腕にして『使い魔と杖の座』にしてあげるの。細胞の一部となった杖の魔女が勝利すれば、それは使い魔の魔女の勝利なんだから。私たちみんな、幸せになれるでしょう?」

「どの口でっ! さんざん人のことをがらくたって言っておいて! 今回も邪魔してっ! 私は、それを口にした相手の事は絶対忘れないんだから! 心から悔い改めるまで許さないっ」

「がらくたなのは事実じゃない? 未だに下らない妄想遊びを止められないみたいだし、使い魔を見る目も無いし、やっぱりあんたは私がいないと何をやってもダメね。それにちょっとくらい痛い目を見て身の程を知るのも大事よ。ラクルラールお姉様の言う事を聞くのが一番だって、本心ではわかってるくせに。反抗なんて無駄なんだから」

 段々と、トリシューラがこの相手を忌避する理由が分かってきた。
 異様な押しつけがましさ。自己完結性。トリシューラに対する見下しを前提とした好意。その上、トリシューラに近しい相手にまで悪意を向け、否定する。
 あー、ちょっと同族嫌悪が入ってるか?

(アキラくん? 殺すよ?)

 怒らせてしまったようだが、言っておくとお前わりと性格悪いからな?
 それはそれで好ましいとは思うが。
 何か視界隅でちびシューラが照れている。こっちも恥ずかしくなってくるが、そんな脳内のやり取りを余所にミヒトネッセの口は止まらない。

「本来ならこの王国はラクルラールお姉様のもので、トリシューラは傀儡の女王でしかないはずなのに、勝手な暴走を続けたら怒られるのは当たり前よね? これ以上ひどいことになる前に、ちゃんと王権をラクルラールお姉様に返還しましょう? ラッダイト運動男に滅茶苦茶にされて自分の限界がわかったんじゃない? 『ほら、女は皆、男に従属するのが自然な在り方なんだから』」

(アキラくん、こいつ今)

 ちびシューラが警戒を呼びかけてくる。
 言われるまでも無く理解していた。グレンデルヒの時と同じだ。
 何らかの呪術を発動させようとしている――そんな流れを感じる。
 文脈とでも言うのだろうか。呪術的闘争に身を置く中で、こうした勘が少しずつ働くようになってきた。経験則から来る予測なのでまだ精度は不充分だが、明らかにミヒトネッセの言葉には飛躍があった。論理を飛躍させたということは、それは呪術を行使していると言う事だ。

「『女は本能的に屈伏させられることを望んでいる生き物なの。どんなに女王を気取っても、それは自分を男性側になぞらえて虐げられている側に自己を投影するという被虐願望の発露でしか無いわけ』」

 トリシューラがそれに対して言葉を投げ返す。
 舌戦という呪文の応酬は既に始まっていたのだ。

「貴方って、ピュクシスみたいに『女は災いの種』なんて論理を内面化した挙げ句、男の名前や言動を身に纏っちゃうタイプだっけ」

「ラーゼフ・ピュクシスなんかと一緒にしないで。あんな奴、『白』の未来測定能力が無かったら殺してしまいたいくらいなんだから。でも、そうね。『女が男に劣ることは事実。優れた女とされているのは、男性の影響下にあるか、男性性を有している者だけ。優れているのは男性性なのよ。優れた女は男性性を併せ持つ――だから私はトリシューラに男性性を宿して欲しい』」

 ミヒトネッセは侍女服のスカートを持ち上げて、その裏地から何かを取り出そうとしている。暗器でも持ち出すのかと警戒していた俺たちは、その全貌が明らかになるにつれて唖然とするほかなかった。ぎょっとした、と言ってもいい。

 首飾りのように、男根が数珠つなぎになって並んでいる。
 根本から切除された、剥き出しの男性器。
 無数の陰茎は、針と髪の毛で縫い合わされていた。加工されているのか、雄々しく屹立した状態を維持しており、表面は何かでコーティングされているかのように光沢を持っている。ぞっとした。俺だけではなく、カーインとクレイも面食らった様子で一歩退いている。

「頑張って集めたの――けど聞いて! これは浮気じゃないわ。だって全てトリシューラの追加パーツとして用意したものだから。あのね、トリシューラ。これを付けて私を抱いて? それで二人は一つになるの」

「死ね、今すぐ死ね」

 目を剥いて言い放つトリシューラの表情は、いつになく虚勢じみている。ミヒトネッセの熱烈な求愛は余りにも異様な迫力があった。

「シナモリアキラ? やっぱりそいつがトリシューラを惑わせてるの? あ、そうか。アレの男根を切断してトリシューラのパーツにしてしまえばいいんだ」

「目障り、気持ち悪い、死んで、消えて、視界に入らないで」

「うーん、トリシューラが嫌ならやめるわ。『本当は男女のあるべき関係性をきちんとあんたに理解して欲しかったんだけど』」

 この二人、本気で一切会話が成立していないのが怖すぎる。
 ミヒトネッセはまっすぐな瞳で数珠つなぎの男根を放り出した。回転する球状障壁に巻き込まれ、肉片となって周囲にばらまかれていく男根だったもの。恐ろしい光景に男性陣が一歩後ずさりする。

 ミヒトネッセは片足を上げて、ゆっくりと回転する。
 その様子を嘲笑するように、俺たちを順番に見ていく。
 独楽のような――あるいは踊り子のような。
 滑稽な道化にも見える、意味不明の行動。
 そして魔女は宣名を行う。

「号は足蹴の砂茶色、性は淫乱メイドロボ、卑しい起源はガイノイド」

「相変わらず、サイッテーな宣名」

 苦々しげに吐き捨てるトリシューラの反応を楽しむように、ミヒトネッセが艶然と笑った。その宣名には感情が溢れている。

「トリシルシリーズ八号機、TSX-8ミヒトネッセ――狂おしいほど愛しているわ、私のトリシューラ」

 資料には、確かこうあった。
 万能(マルチパーパス)性玩具セクサロイド
 それがミヒトネッセの基本コンセプトなのだと。
 あらゆる事を可能にするハイスペックな人形でありながら、創造主ラクルラールはその主機能を性行為であると定めた。

 それがどのような意味を持つのかは不明だ。
 しかし、そうした来歴を持つミヒトネッセがこのようなパーソナリティを持つに至ったことを、果たしてどう捉えたら良いのだろう。

 全員がミヒトネッセの狂態に顔をしかめている中、ひとり痛ましげな表情を浮かべているマラコーダに気が付く。あちらもこちらに気付いたようだ。
 敵を挟んで、俺たちは無言で意思を交わす。
 宣名によって高まった呪力を練り上げたミヒトネッセは、そのまま次なる攻撃に繋げていく。何にせよ、一度こいつを倒す必要があった。  
 だが、そう簡単な相手ではない。激しい接近戦の後だが、この相手は魔女――呪術の使い手でもあるのだ。

摂取イントロジェクション

 ミヒトネッセがその呪文を唱えた途端、少女の在りようが一変する。
 カーインが、クレイが、マラコーダが次々と呻いて胸を押さえ、うずくまり、無力化されていった。
 もちろん、俺も例外ではない。
 いつの間にか、その美貌から目が離せなくなっている。

 それは――俺の運命だった。
 ようやく俺は『ミヒトネッセ』と出会った。
 俺は見た。頭部を貫くぜんまいばねを、人形の容貌を、淡黄色の髪を、しなやかな手足を、その身を包むエプロンドレスを、可愛らしい球体関節の膝を――とそこまで考えた所で視界隅のちびシューラが立ち上がり、主観視点のこちらに向かって拳を振り抜いた。架空の衝撃。脳が揺れるような感覚。

(ちょっとぉっ! もう、めんどくさいっ! 今回は責めないけどむかつくー! アキラくん気をしっかり持って! 相手がやらしかったり可愛かったりしても簡単に好きになっちゃだめ! それはシューラに感じてる魅力であってアレに感じてる魅力じゃないでしょ!)

 ちびシューラの対抗呪文ではっと目が醒める。魅了系統の呪術をかけられたのはこれが初めてではない――が、今のは異常だ。
 かつては【E-E】を応用し、今はコルセスカの感情吸収で回避してきたが、これはそうしたこちら側に干渉してくるタイプではない。

 単純に、あちらが異常なまでに魅力的になっただけだ。それも、感情制御が対応できないほど完璧な全世界的事実として。言うならば『魅力』の増幅呪術。
 しかも、今しがた俺が感じていた魅力は――トリシューラに感じていたものと全く同質ではなかったか? そればかりか、カーインやクレイ、マラコーダまで臣下の礼をとっている。

(それがあいつの特性なんだよ! 他者の感情や価値観を自分のものとして『取り入れ』てしまう能力! 極限まで達すると『同一視』に達して、変装技術と変身呪術を複合させて完璧に本人同然になってしまうの!)

 とちびシューラが説明してくれる。要するに外部から必要な感情や欲望を持ってくるという、俺と逆のやり方をしているようだ。

(そういうコンセプトの人形ってこと。他者が投影した欲望を吸収して、他者から感情を摂取して複写する。そうすることで人形の身でありながら、自我や意識、感情や欲望などを育んでいる。誰かを欲望し、誰かに欲望されることがアレの魂のかたちを作っている)

 外部の感情を参照して自己を維持する、それゆえに従属を示す侍女の格好をしているということだろうか。
 正直、俺にはそんなに悪いあり方とは思えない。多かれ少なかれ、人は他者に影響を受けるものだからだ。ある意味では人工知能が学習する過程もそれに隣接しているのではないだろうか。

(だから嫌い! 大っきらい!)

 『だから嫌い』――なるほど、理解した。
 とにかく、今動けるのは俺とトリシューラだけだ。
 これ以上の呪文戦闘は危険だ。ミヒトネッセは相手の話を聞かないタイプ。
 物理的に制圧しなければ黙らせることはできないだろう。

 ちびシューラと示し合わせて、二人で挟撃を行う。
 正面から鉄壁を誇る呪術障壁に挑むことはしない。トリシューラはミヒトネッセの頭上に向かって照明弾を投擲した。強烈な閃光が敵の影をこちらに移動させ、俺は足下の影に向かってチェーンソーを突き込む。影の衛星が引き裂かれ、ミヒトネッセが舌打ちをする。

 トリシューラはマラコーダを踏み台にして高々と跳躍。ミヒトネッセの真上から銃弾を叩き込んでいった。回転の軸を狙われた球体は粉々に砕け散って行く。こちら側に着地したトリシューラと入れ違いに駆け抜けて、チェーンソーを振りかぶって襲いかかる。

禁忌林檎サテライトオーブ――【イルディアンサ】!!」

 ミヒトネッセも黙ってはいない。ブーツの踵から別の呪具を飛び出させた。
 今度の衛星は実体を持っている。灰色の球体が踵の周囲を回転し始めた。

(やばい、質量操作! 回避してアキラくんっ!)

 ゾーイ・アキラが蹴り技の初動に入った時のような凄まじい悪寒。
 あの圧倒的パワーと体格にはとても及ばない筈のミヒトネッセの足、踵の一点から力士に匹敵するほどの圧力が発生する。
 回避しなければ死ぬ。その予測に従って全力で飛び退った。

 直後、ガイノイドの魔女は目にも留まらぬ速度で全身をスピンさせる。
 光すら歪曲するほどの凄まじい呪力が荒れ狂い、衝撃破が発生。壁が轟音と共に崩れていく。解放されたエネルギーは一箇所を砕くだけに留まらず、壁一面を丸ごと吹き飛ばしていった。

 接近し過ぎていた為、回避が完全に間に合わない。余波でチェーンソーが粉々になってしまう。ミヒトネッセが放った力士級の蹴りで床がめくり上がり、天井の照明が破裂し、壁面が粉々に破壊されてしまっていた。たしかこの奥は医務室で、クレイが入り口に立っていたということはルウテトがいるはずだ。無事かどうかを確かめようとルウテトの名を呼ぼうとして、粉塵の向こうに蜂蜜色の髪を見つけた。怪我は無いようで安心する。

 しかし、直後に俺は絶句させられてしまう。
 ルウテトに、とても看過できない異常が発生していたのだ。
 震える声で問いかける。

「ルウテト。それは、どうしたんだ――?」

 すると彼女は頬を膨らませて不満そうに答えた。
 丸くて大きな鼻を、ぶひっと鳴らして。

「ぶうぶう。今の私はルウテトではありません。アキラ様のでりかしーの無い発言にぷんすこしてるブウテトです。ぷぎー」

 それは戯画化された豚の物真似によるブーイングだった。
 コルセスカではあり得ない幼さに唖然とする。
 異常はそれだけに留まらない。
 真似は演技であり、演技は呪術に通じる。得意の変身能力を使って、彼女は鼻を豚のものに変貌させていた。

 圧倒的な美貌に不思議と調和したコミカルにデフォルメされた豚鼻。ふごっふごっと憤慨し、拗ねたように突き出された唇がぶうぶうと音を立てる。可愛らしく鼻を鳴らしてみせる様子は、さしずめ再生者オルクスの豚の女王といったところか。ブウテトが何を考えているのかよくわからない。

(ブウテトってば変身能力を無駄に使いすぎ)

 ちびシューラも呆れている。
 一方、ミヒトネッセは馬鹿にされたと感じたのか眉根を吊り上げてブウテトに襲いかかった。

「覚悟なさい、死人の森の女王ブウテト!」

「ふごっ」

 ブウテトが鼻を鳴らすと、ぶひーっと鼻息が吹き荒れる。
 荒れ狂う暴風がミヒトネッセを吹き飛ばした。

(あ、あれは鼻息じゃないよ! 初歩呪術の【空圧】を鼻から出したんだ!)

 ちびシューラが驚愕するほどの凄まじさ。初歩の呪術だけで強敵を吹き飛ばすブウテトの強大な呪力は未だ底知れない。
 ぶうぶう鳴いていても、現代に甦った女神の一柱なのだ。
 続けて、ブウテトは自らの軍勢の一部を下腹部から呼び集める。

「大いなる神格バチルス・サブティリスよ、ねばねばであの娘を捕らえるぶひ」

 途端、荒れ狂う臭いの奔流。
 誰もが鼻を押さえる中、俺は何故か懐かしさを感じていた。
 無数の豆が粘性の糸で繋がったかのような冒涜的でおぞましい異形の群。
 その色彩は黒ずんだ茶色。意思を持つかのように粘性の音を立てながら蠢く異形の群体――軍隊と言うべきか。
 茶色の豆が凄まじい勢いで伸び上がり、粘り糸は投網となってミヒトネッセを襲う。逃げることも敵わずにねばねばに捕らわれる魔女。

「何よこれっ、ねばねばして取れないっ」

 淡黄色の美しい髪を、白い肌を、華やかな侍女服を、おぞましい粘液が穢し、捕縛していく。粘液はしつこく、逃れようとしてもがけばもがくほどに余計に絡みついていく。その上、自ら意思を持って蠢きミヒトネッセの口の中へと侵入しようとするのだ。

「やっ、ちょっ、なにこれ気持ち悪いっ――うっ」

 先陣を切った粘液まみれの豆がミヒトネッセの薄い色の唇を汚しながら口腔内に強引に侵入していき、そこから雪崩を打ってどろどろと豆と粘液が注ぎ込まれる。声に鳴らない悲鳴が響き渡った。

「捕縛に特化した神格ですぶう。その粘り気からは神話級の呪術でも使わない限り逃げられないぷぎゅ」

 神を従えてるとか凄いけど、その口調のせいで台無しだよ。
 ブウテトの語尾のひどさはともかく、ミヒトネッセは粘液によって壁に貼り付けられて無力化されていた。粘液は不思議な強靱さを見せ、引っ張ろうが切断しようが何度でも絡みついてくる。

「ううっ、臭いっ気持ち悪いっそんなに味が悪くないのがむかつくっ」

 涙目になりながら異形の神々を咀嚼するミヒトネッセはいっそ哀れですらあった。ブウテトとの格の違いを見せつけられた上に辱められるように敗北し、晒し者にされてしまっている。

「上手く警備の網を潜り抜けてきたのに残念だったね。ここで終わりだよ」

 トリシューラが拳銃の弾倉を入れ替えながら酷薄に言い放つ。
 ブウテトと違い、捕縛してから尋問するつもりなど全く無さそうだ。
 ぶうぶうという制止も聞かずに発砲するトリシューラ。
 二度、三度と銃声が鳴り響き、銃弾は確かにミヒトネッセの胸と頭部に吸い込まれていった。断末魔の声が低く響いたが、ふと疑問が浮かぶ。

「質問があるんだが」

「何?」

「星見の塔の魔女ってこのくらいで死ぬのか?」

「ううん」

 トリシューラは引き金を引き続ける。十数発を撃ち尽くすと弾倉を交換してさらに連射。動きを封じられた球体関節人形を穴だらけにしていく。人形なのに肉体の反射でびくりと痙攣し、口から微かな呼気を漏らす。しかし、なんといえばいいのか、違和感があった。あまりにも『それらしい』反応すぎやしないだろうか。

「トリシューラ、さっきそいつにチェーンソー振り下ろした時、確かに倒したと思ったら身代わりだったんだけど」

「知ってるっ!」

 イライラした口調でやけくそのように発砲を続ける。
 どうやら、無駄だとわかっていて八つ当たりをしていたらしい。
 衆人環視の中でどうやって入れ替わったのか、ミヒトネッセの姿がかき消えて呪符になる。先程と同じだ。

「最悪っ! 前に戦った時と比べて逃走の技術が段違いに上がってる!」

 敵を取り逃がした悔しさに歯噛みするトリシューラはマラコーダを始めとした部下たちに周囲の捜索を命じるが、俺はブウテトが妙な顔をしているのが気になった。いや、豚鼻が妙だということではなく。

「ぷぎゅう?」

 小首を傾げて、何やら誰かと会話するかのように相槌を打ったりふむふむと頷いたりしている。しばらくしてこちらを向くとこんな事を言ってきた。

「アキラ様、もう一人の私――コルセスカが言っているぶう。『ミヒトネッセが使用した神話級呪術は、もしかしたらアキラの故郷に伝わる【三枚のお札】なのではないでしょうか』だそうですぶひ?」

 ああ、なんかそんな昔話の知識があったような気がする。
 それを聞いて、トリシューラが顔色を変えた。

「それ、呪的逃走? 護符を三枚使う話なの? だとすると、三枚目がある――全員、周囲を警戒して! まだ近くに潜んで――」

 警戒を呼びかけるよりも僅かに早く、敵は真下から現れた。
 ミヒトネッセは平面の影と一体化し、三次元の黒い立体となって奇襲を仕掛けて来たのだ。腕を組み、逆手に苦無を持ったミヒトネッセの出現位置は――

「ぶひ?」

 ブウテトの背後。
 鋭く突き出された苦無。それは円形の柄に淡黄色の毛髪を編んだ縄が括り付けられており、それはミヒトネッセの頭頂部で結ばれた髪房と繋がっていた。

「【髪盗人】」

「ぷぎゅーっ!!」

 致命的な一撃が放たれ、ブウテトの命が鋭い呪力を纏った刃によって断ち切られてしまう。悲痛な豚の鳴き声が響き渡った。
 蜂蜜色の命が儚く散らばっていく。
 ミヒトネッセはその手に奪い取った呪力の塊を握りしめていた。
 豊かなブウテトの髪の毛を。
 それがこの呪術の世界でどれほど危険な事なのか、わからない俺ではない。

「絶対に逃がさないでっ!」

 トリシューラが銃を連射すると同時に俺たちも動いていた。
 マラコーダとサイバーカラテ道場を同期させながら左右から迫る。両腕に呪力を纏わせながらクレイが跳躍したのを確認しつつ、まず俺からチェーンソーで襲いかかる。ミヒトネッセはそれを軽々と回避すると、手裏剣で牽制しながら続くマラコーダの蹴りを受け止め、脚の影から襲いかかった毒針の一撃を苦無で弾いた。【呪毒】が解放されるが、チャージが間に合っておらず簡単に霧散してしまう。真上から振り下ろされたクレイの手刀は必殺のタイミングだったが頭部を切断したと思われた瞬間、人形は三枚目の札に変わる。

「早い話が夜の民の真似事だ――ならば道は影にある」

 カーインが影に貫手を突き入れると、暗闇の中に注ぎ込まれた呪力が足下を伝わっていった。カーインが練り上げていた呪力が瓦礫の影に潜んでいたミヒトネッセを地上に弾き出す。
 そこに、髪を切られて涙目になったブウテト怒りの鼻息が襲いかかった。

「ひどいですぶひーっ!」

 先程の【空圧】に数倍する威力だ。既に初級の呪術などではなくブウテトオリジナルの呪術【ぶう圧】とでも呼ぶべき暴風、いやぶう風がミヒトネッセの身体に直撃。圧縮された大気と高密度の呪力。今度こそ回避不能の攻撃を、あろうことかミヒトネッセは手に持った苦無で真正面から受け止めた。

「風遁・【嵐の運び手エアリエル】」

「ぶうぃっ?!」

 驚きに目を見開くブウテト。
 ミヒトネッセは荒れ狂う風の呪術を真っ向から切り裂いている。
 つまり、死人の森の女王と伍する呪力を発揮しているということだ。
 信じがたいが、現実に目の前で起きている。

(三枚目が使われちゃったから――あれは逃げる度に自分が強化される能力だよ! 呪的逃走の神話を参照することで、荒ぶる神に対抗できるようになったんだ!)

 ちびシューラの言う呪的逃走というのは知らないが、意味は何となくわかる。
 要するに恐るべき超常の存在に対抗する手段としての護符があり、それを使えば逃げ切れるという伝承を参照しているのだ。そしてそれはブウテトという冥府の女神相手にも有効ということなのだろう。

「目的は達した。名残惜しいけど、またねトリシューラ」

「逃がさないっ」

 だがその後の追跡も虚しく、ミヒトネッセは軽々と追撃を振り切って姿を眩ませてしまう。辺りには破壊されたドローンの残骸と、負傷したマラコーダたち、それから拳を地面に叩きつけるクレイとひどい状況だ。

 ブウテトの危機に駆けつけた六王もミヒトネッセの追撃に加わったが同じだった。どうやら三枚目の呪符を発動させたミヒトネッセは、『冥府からの追っ手』である再生者からの追撃を問答無用で無効化する能力を得ていたらしい。
 トリシューラが持ち出した重機関銃すら躱しきってしまうのだから、もう手の打ちようが無い。逃げに徹した時、あの魔女は凄まじい能力を発揮するようだった。ブウテトの髪の毛は奪われ、この後どのように使われるかわからない。

「ごめんなさい、これは私たちガロアンディアン側の手落ち。すぐに呪詛対策をするから、とりあえず巡槍艦に移動してもらっていい?」

 トリシューラの責任が問われる極めて重大な事件だった。ミヒトネッセの狙いはむしろそこにあったのではないかと思わされるくらいに。
 クレイや六王が何かを言おうとしたのをブウテトは手で制止した。
 ぶひっと鼻を鳴らしつつ、トリシューラの頭をよしよしと撫でる。

「いいんですぶう。幸い被害はさほど大きくないようですし、失敗は次に生かしましょうふごふご。それより、ここで私たちがいがみ合えばそれこそラクルラールの思うつぼですぷぎゅ。ここは結束して敵の捜索にあたるべきですぶひ」

 素晴らしく寛大な言葉に、クレイたちと一緒に敬服したい気持ちで一杯だったがとりあえずその語尾なんとかならないだろうか。トリシューラはしばらく自分より背の低い豚の女王に頭を撫でられるがままになっていた。背伸びをするブウテトが少し疲れ始め、ぶひぶひと鼻で息をするのを見て、唐突に吹き出す。無理も無いが、ブウテトは憤慨して鼻をぶひーっと鳴らしてしまい、それが一層の笑いを呼んだ。いつの間にか周囲の空気も和らいでいる。もしかしたら、ブウテトはこれを狙ってまだあんな姿でいるのかもしれない。

「へ、陛下。そろそろ、お戯れは、その」

「ぶーひ?」

 クレイがもの言いたげにしているが、ブウテトはどこ吹く風だった。
 髪の毛を奪われて髪型が乱れてしまったのを気にしたマラードがショートにして整えようと言い出して場が更に和やかになっていく中、ふとブウテトが妙な声を出した。いや、ぶうぶう言ってる時点で妙なのだが。

「ぶ、ぶう?! どうしましょうアキラ様、ぶひ」

「どうしたブウテト」

 ブウテトは何故か涙目になっていた。
 これ以上、何があるというのか。
 まさかコルセスカに心の中を汚されたりしたのか。ジャンクフードとかで。
 だが、ブウテトの告白は俺の予想を遙かに超えていた。

「も、戻れなくなっちゃいました、ぶうぶう」





 余談スペース

 五十七番義肢【リーエルノーレス】。
 ロマン武器チェーンソー! しかもトリプルでお得だよやったね!!
 デザインに協力してくれた人には一杯謝礼が出ます。皆様ぜひご参加下さい。

 ちなみに私が管理する物質創造能力は規模も精度も第五階層最大だからこういうことができるのであって、他の人が再現しようとしても難しいんじゃないかな。私と同じ第九階梯かその下の第八階梯相当の杖使い、工学士か鍛冶師職の人がこれ限定で再現するのは可能だと思うけどね。

 実際、【伐採大好き】さんとかは自分で再現して実験データ集めてくれたし。
 とっても助かりました。でも街路樹を伐採するのはやめてね。その才能と意欲を別方向に活かせるように今度林業とかのお仕事を斡旋してあげるからそれまで更正施設で大人しくしててね。


【ミヒトネッセ】
 えーと、嫌い。
 嫌なことばっかり言うし、嫌な奴だし、とにかく嫌い嫌い嫌いもう生理的に無理絶対に好きになれない気持ち悪い!

 一応、簡単に紹介するけど。
 星見の塔に集い、キュトスの姉妹たちに弟子入りした末妹選定の参加者たちはみな四つの座を奪い合っているけど、ちょっとした変わり種として有名、かな。なにしろ四魔女を目指してないんだもの。

 四魔女が決まった後も、上位者を追い落とすべく奮闘しているメートリアンとかがいる中で、ミヒトネッセは四魔女を目指さないままだったよ。
 っていうのも、ミヒトネッセは四魔女の使い魔になることを望んでいる珍しい候補者だったから。従属を望む傾向が昔からあって、侍女服はその表れっぽい。

 ていうか、ラクルラールお姉様に『そうなるように』作られてるんだけど。
 ――ああいう言動も、そういう機能で、そういう仕様だから。
 ほんと、腹立つったら!


【遁行術】
 さっきの、初見だったけど私なりに分析してみたよ。
 逃げることに特化したヒットアンドアウェイ戦法。
 別名は呪的逃走。三枚のお札とかそっちでは言うみたいだね?
 逃げる行為が自身の強化であり攻撃手段でもあるんだ。

 潜入や暗殺を得意としながらもわざと発見されることで自らを追い込み、絶体絶命の文脈に身を置いてから逃走するといった戦い方が想定されるかな。
 むしろ逃走こそが最大の攻撃で、逃げざるを得ない状況に追い込まれる事がミヒトネッセにとっての有利な状況っていう転倒があるのかも。
 その特性のせいで、じわじわ何度も襲撃して相手を消耗させたりするのがすっごく得意っぽいよ。めんどくさい!

 追い詰めないと殺せない。ヌルく攻撃しても結局逃げられる。
 どっちにしろ逃げちゃうから、『手傷を負わせつつも逃がす』っていうパターンに持ってくのが一番現実的かな。とにかくひたすら攻撃しまくって試行回数を増やす必要があるわけ。やっぱめんどくさい!



摂取イントロジェクション
 アレの特性だね。
 で、それを応用して術に昇華したのが口寄せとか変化へんげ
 伝承や霊魂を憑依させる降霊術の一種とかもできるらしいよ。
 それに変装技術、妖精の変身術が複合して『変化』とかいう独自の能力に昇華させてるみたい。

 ラクルラールお姉様と同じ第六位候補であるイツノ姫に巫女スキルを習ってるみたいで、何かこういうの得意なんだよね。巫女って自分の身体を寄り代にする霊媒だから、そういう点ではアキラくんに近いのかも。

 あいつの人形としてのあり方、自己という存在を維持する手法については、そこそこ評価できると思う。
 でも、節操が無さ過ぎるし、それにあれはなんかヤだよ。だってあれ、あいつの意思に関係無く自動で発動するんだもん。サイバーカラテ道場みたいに私が完璧に取捨選択して判断して洗練させていくプロセスが存在しない。

 見ててなんかむかつくの。本当にイライラする。
 あんな風に、誰かの欲望にいいようにされて、それを受け入れてて、そういう風に作られてるからそう言う風にしかできないっていうことが、なんか、すごく、ううんと、とにかくヤなの! あいつキライ! 以上、この話終わり!


【ブウテト】
 ちなみにブウテトが今回使った権能は妖精の神、気紛れのアエルガ=ミクニーの変身術。名前を自在に変更できる気紛れの権能だよ。
 今後あのメスブタは地の文でブウテトと表記されるからそう言うことでお願いね。っていうか世界設定レベルで『変身』してるせいで前の名前が使えなくなってるんだ。下らない割に滅茶苦茶強力な権能だよ。しょうもないなあ。


 えっと、それで【バチルス・サブティリス】だけど。
 納豆の神だよ。うん、トントロポロロンズと何か関係がありそう。

 納豆神群はブウテトが何かのついでに殺して従属させた神群だよ。
 死人の森の軍勢に内包された再生者の一部だね。自慢してた軍団の中には納豆も含まれてたんだ。馬鹿みたいだね。
 冥府の穢れによって再生者となった納豆たちは、堕納豆と呼ばれて清浄な納豆たちから蔑まれているよ。

 あとは地上で弾圧されていた納豆神を崇める教団が第五階層に来て納豆神群を従えるブウテトを納豆の女神として信仰し始めてるけど、もう何かめんどくさい。こんな悔しさ初めてだよ。

 ちなみにこの団体は、環境保護系の新興宗教団体と合流して色々な活動をしているよ。有用微生物群すなわち納豆を利用して、水の浄化や砂漠の緑化などを行おうとしているみたい。地上ではティリビナの民を保護しようという主張をずっとしていて、ティール――つまりプリエステラと知り合いだとか何とか。

 土壌改良をする食物神の一種で、真性細菌バクテリアドメインに属する生き物でもあるね。枯草菌の一種納豆菌はその有用性から信仰を集めるようになり、やがて神にまでなったんだ。

 大地の神格であるため、大地母神や死と再生の神などの眷族でもあるよ。重力波を増幅して空間の粘度を上げたり、波動エネルギーの物質化を行ったり、鳥を退ける結界を構築したり、その能力は多岐に渡る――って馬鹿じゃないの。
+注意+
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