第61話 いたずらっ子
「おかえりデス、ご主人様☆」
午後5時半、ずぶ濡れ&ぼろぼろの制服姿で学校から帰ってきたら、玄関にはパティがいた。
「ご主人様、お風呂にしますカ? ご飯にしますカ? それとも……私といいことでもしちゃいますカ…?」
「………」
なんでいつ帰ってくるかわからない俺をパティが待っているんだ…?
「…? どうかしたんですカ?」
「……もしかしてずっと待っててくれた?」
「あ、違いマス。ずっとじゃなくて5時からデス」
5時から…。つまりパティは30分も俺なんかを待っていてくれたということだ。
「そっか……ありがと」
なんだかんだでやっぱりこいつらはいいやつらだ…。
さっき梨原にこいつらのことを“厄介な奴ら”と言ってしまったことは言わないでおこう。
「ところでなんでパティがウチにいる?」
「あ、そっちにツッコミするんデスカ。
ん〜とデスネ〜、暇だったから遊びに来たマシタ♪」
「へー、とりあえず俺ちょっと風呂入ってくるからパティはゆっくりしていってよ」
「わかりました♪」
俺は上の制服を脱ぎながら風呂場へと行く。
パティが密かに微笑むのも知らぬまま……。
「……“こちらパティ、今椿君がソッチの風呂場に行きマシタ”」
「……“こちらこなた、了解した”」
「ん? こなたいるの? どうかした?」
「いやべつにー、かがみはそのまま風呂に入ってたらいいよー☆」
「くしゅんっ! うー…」
大雨のせいですっかり冷えちまった。
また風邪をひくまえに風呂で温まろっと。
身につけている服を全部脱ぎ捨てて風呂場のドアを開ける。
「へ?」
「………え?」
あれれ、おかしいな…。
視界にかがみさんらしき人がいるのは気のせいだろうか、瞬きをして目を擦りもう一度よく見る。
「な、なな、なっ…!?」
やっぱかがみさんだ。
「……ってなんでかがみさんがいるんだ!?」
「それは……!
こっちのセリフよ!バカァァァァァァァァッ!!!!」
「へぶっ!?」
かがみさんが投げた洗面器が顎に当たる。
うん、アウト。
「かがみさんのせいで傷ができるのってこれで何回目なんだろ…」
顎を抑えながら俺は落ち込む。
「さ、さっさのは仕方ないじゃない!だいたいこなた!あんたが教えてくれないから!」
「いやー、椿君が帰ってきてたなんて知らなかったよー☆」
「私もデス☆」
ホントかよ…。なんかこいつらニヤニヤしてて怪しいんだよな。
「でも椿君結局お風呂に入れなかったんだね」
ゆたかが捨て犬を見るかのように俺を眺める。
だが“お風呂”という単語を聞いて風呂場のかがみさんの姿を思い出す。
「〜〜〜っ!」
ボンッ!
「つ、椿先輩の顔が真っ赤になって爆発した!?」
「どうせ柊の裸を思い出して興奮してるんだろー」
「ーーっ!」
ボンッ!
「お、お姉ちゃんの顔も爆発しちゃった!」
頼むから俺に少しは安らぎを与えてくれよ……。
『もう二度と失さない もう離さないように この夏のむこうの 秋、冬、春にもーー♪』
そんななか携帯の着うたが流れる。
「誰かの携帯鳴ってるよ」
「平和を望む俺だよ……」
ちょっと悲しそうに言う。
「椿君“こころむすび”を着うたにしてるんだ」
「ああ、そうだけどこなた知ってるんだ?」
「だってその曲はひぐらしの曲じゃん♪ 実は私もけっこう気に入っててさ」
「まあ気持ちはわかるよ。俺が一番好きな歌だからね」
「あ、いい曲といえば“もってけ!セーラーふく”と“どんだけファンファーレって曲もいい感じだから今度聞いてみてねー」
「聞いたことない題名だな……。わかった、誰が歌ってるか知らないけど今度聞いてみるよ」
俺は携帯を取り出してメールを見る。
するとそこには来るはずのない人からメールが届いていた。
その内容がこれだ↓
「貴様たちが心から愛するアニメ店長こと兄沢命斗だ!ふっふっふっ、なぜメアドを教えていないのにメールが来るんだよ!?って思っているだろう?
それは置いといてだ!
椿!そして伝説の少女Aとその友達を含む者達!
明日ちょっときてほしいとこがある!だから明日午前9時に私のところに来い!絶対だぞ!つうかもう断れないからな!このメールを呼んだ時点で断ったらいけないルールが採用されたから断れんぞ!つうわけで明日楽しみにしている!ちなみに由佳様にも貴様にメールするように言っといてやったからな!フハハハハハッ!!!」
「………」
ウ、ウザい……。果てしなくウザいと思うのは俺だけなんだろうか…。
しかも断ったらいけないルールってこっちに選択権ぐらいよこせよ…。
まあとにかくこの事をみんなに言わないと。
『〜〜〜♪』
またメールが届く。
おそらく由佳だろう。
『ヤッホー☆椿っち
元気してるー?
お願いがあるんだけどいいかな?
もう店長に聞いてると思うけど明日午前9時に店長の店に来てね♪
言っとくけどこのメールを見た時点で断ったらいけないルールが採用されたからよろしくねー(^o^)』
……だからなんなんだよ、見た時点で断ったらいけないルールってのは!
まずわかることは絶対いいことじゃないな。
俺は携帯を置いてみんなに伝えることを言う。
……これが最悪の出来事に繋がるということを、
神様は
知っていたのだろうか……
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