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第6話 桜色を奏でる者




昼休み、泉さんとつかささん、かがみさん達と学食をご一緒させてもらっていたのだが…。
「お姉ちゃーん」
「……どうも」
桃色の髪を二つのリボンで結んだ小さい女の子と、
緑髪のショートヘアでカッコイイ感じを漂わせる背の高い女の子が挨拶してきた。
「おお、ゆうちゃん達も学食?」
「うん、今日は少し寝坊しちゃってパン買い忘れたんだ〜」
てへへっと柔らかい笑顔を見せる。……この子可愛いな。
「……私も」
……お、この子はクールな雰囲気だな。
「ところでお姉ちゃん、この人は?」
「私達のクラスメートの桃原椿君だよ」
泉さんが軽く紹介すると
女の子二人はこっちを向く。
「小早川ゆたかです。こんななりですがよろしくお願いします!」
「…岩崎みなみです、…よろしくお願いします…」
ぺこりとお辞儀する。
「改めまして桃原椿です。よろしくお願いします…」…あれー?なんかつられて俺まで敬語になっちゃってる気が…。
まあいっか。
それにしてもこの二人は見れば見るほど対象的だなぁ。
「ねぇ、小早川さん」
「はい、なんですか?」
「どういうきっかけで岩崎さんと仲良くなったの?」すると照れながら過去の出会いを話す。
「実は、受験の日にみなみちゃんがハンカチを貸してくれたんです。それで少し知り合いになって。
そしたら同じクラスで話していくうちに仲良くなったんですよ。でもみなみちゃんホントはいい人なのに、クラスの人はそれにあんまり気付いてないみたいで…」
小早川さんが少し俯く。
「…大丈夫だよ、ゆたか。ゆたかが私のことを大切に思ってくれてるだけで十分だから…」
「みなみちゃん…」
「ゆたか…」
……なんか、あの二人の周りに花が咲いているように見えるのは気のせいだろうか…?
「ねえ、泉さん」
「なにー?」
「あの二人…」
「あー、気にしない気にしない☆」
…気になる。
「あっ、そういえばお姉ちゃんって今桃原君の家に泊まってるの?」
「ゆ、ゆたかちゃん、どこでそれを!?」
かがみさんが身を乗り出す。俺を含め泉さん達も、そして岩崎も驚いた。
「えっ?だって私とお姉ちゃん一緒に住んでた時、お姉ちゃん自分から言ってたけど…」
「こ〜な〜た〜!!!!」
かがみさんは牙を泉さんに向ける。
「いや、秘密事は良くないって漫画で影響を…」
言い訳をする泉さんにつかささんと岩崎さんが乱入してくる。
「わかるなぁそれ。私も漫画に影響受けて、ツイストサーブとか三刀流とか練習したことあるもん」
「…実は私も」
………実は俺も。
そんな甘い足跡を一瞬でぶち壊す。
「そういう問題じゃないでしょ!全くあんた達は〜!」
「…でもお姉ちゃんも手を合わせて錬金術〜ってやってた気が…」
「こ、こらつかさ!!」
つかささんが思わぬ伏兵を連れ出して来て、かがみさんの顔を真っ赤にする。
……しかし、
ツイストサーブとかなら
わかるけど錬金術って…。つかささんより現実から離れてるよな。
「ヘ〜、かがみも子供っぽいところあるんだね〜☆」当たり前のように泉さんがからかう。
「う、うるさい!!今はそんなことはどうでもいいから!
で、ゆたかちゃん、それがどうかしたの?」
ニッコリと作り笑顔で話題を無理矢理原点にもどす。
「あ、はい。実はお姉ちゃんがいなくなって家事やらなんやらで忙しくて。それで大変で…」
「ジーーーッ………」
全員が泉さんを白い目で見る。
「えっ、なにその私のせいでゆうちゃんが苦労しているっていう目は」
「まんまあんたのせいだろうが」
一足先にかがみさんがツッコむ。
「い、いやさ、それもゆうちゃんが成長するために…」
「…それでゆたか、一時間目から元気がなかったんだね…」
岩崎さんが小早川さんを優しさに包む。
この二人はホントに仲いいなぁ。
これが自然体の二人に俺は少々感動した。
「…むぅ、これじゃ私が悪者みたいじゃん」
「みたいじゃない!悪者なの!ゆたかちゃんにまで迷惑かけて!あんたはもう帰りなさい。これ以上ゆたかちゃんに心配かけないためにも…」
「いえ、違うんです!」
説得しようするかがみさんを、何故か小早川さんが止める。
「どういうこと?小早川さん」
俺はその行動の意図が読めず、真意を小早川さんに聞く。
「お姉ちゃんに戻ってきてほしいんじゃなくて…」
さっきまでの空気とは
がらんと変わった。
そして次の言葉に
全員が耳を疑う。
「私が桃原君の家に泊まります!」
……………。
「「「「えええぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」」」」
今なんて言った!?
泊まる!?
いつ!?
誰が!?
何故!?
混乱する頭を処理しようとするが、完全にパニックに陥って理解不能の状態に。
「…ゆたか、それは…」
「そうよ、ゆたかちゃん」岩崎さんとかがみさんが止めにかかるが、
「大丈夫だよ、みなみちゃん。お姉ちゃんもいるし、家族からも許可は出てるし。それにみんなと早く仲良くなりたいんだ」
笑顔で岩崎さんと向き合う。
「……」
岩崎さんは何も言わず俯いた。それを見たかがみさんも黙って引く。
「でも、ゆたかちゃんって体弱いんでしょ?
風邪とか引いちゃったらどうするのぉ?」つかささんが盲点をつく。
「あー、そっか。ゆうちゃんそれがあったかー」
泉さんが残念そうに腕を組む。
そうなのか…。小早川さんって病弱だったんだ…。
確かに端から見ると、か弱い感じが…じゃない!
何を観察しているんだ俺は!!
それより今は小早川さんを何とかしないと!
これ以上増えたら俺の夢の高校生活が!
俺は岩崎さんに近づき助けを求める。
「岩崎さん、何とか止めてよ。このままじゃ小早川さんが…」
しかし、岩崎さんは俯いたままだ。
「岩崎…さん?」
もう一度声をかけると、何かを決心したのか、小早川さんに想いを伝える。
「…大丈夫、私も一緒に桃原君家に泊まるから。…風邪を引いても私がゆたかを護るから」
「い、岩崎さん!?」
「あ、それいいね、それならゆうちゃんも楽しく生活できるし」
いや泉さん止めてよ。
「うん、そうしよそうしよぉ」
「確かにそれならゆたかちゃんが風邪を引いても大丈夫ね」
ーーいや、ちょっと待ってよ、そこの姉妹…。
みんなを止める気持ちは
ありありなんだが、
この状況で泊まっちゃ駄目って言ったら、
俺は世界の敵となるような気が……。
「「よろしくお願いします」」
一年二人が頭を下げ、
「「「いいよね?桃原君☆」」」
同級生が脅しをかけるように声を揃える。
こうなったら出る言葉は一つ。

「いらっしゃいませぇ…」





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