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第13話 伝説の少女A



「金曜日ってだる〜い…」泉さんが机にへばりつきながら金曜日にケチをつける。
「あはは…、でも後あと一時間で昼食だからがんばろうよぉ」
つかささんはそんな泉さんを見て元気づけようと笑顔。
「うー…なんかもう存在する全てがだる〜…、動くのもだるいよ…。五月病で早退しますって黒井先生に言ってみよっかなぁ…」
「五月病で休む奴っているのか?」
「それにこなちゃん、前にそれで無理矢理来させられたしねぇ」
やったことあるんだ…。
まあ俺もしたことあるけど。
そんなこんなで話していると、
「あ、メールだ」
つかささんがブーッブーッとマナーの音と同時に携帯を手に取る。
「つかささん携帯持ってたんだ。使ってるところを全く見てなかったからないのかと思ってたよ」
「えへへ…。でもまだみんなみたいに上手に使えないんだー」
「そっか。あ、メアド教えてよ、俺も教えるから」
「うん!」
俺も携帯を手に取り、
つかささんのメアドを受信する。
そしてつかささんにメールを送った。
その様子を端から見ていた泉さんが
「そういえばつかさって昔は自分でメアド送れなかったのにいつのまにかできるようになったんだ…」
残念そうになる。
「そりゃああんだけ使ってたらわかるよぉ」
「あかん!ドジッ娘はできへんことがあるから萌えるんやー!これじゃただのつかさだよー!」
泉さんが必死に嘆き吠えて崩れる。
「まあまあ泉さん。
あ、泉さんもメアド教えてー」
「そんなんで私の心は癒えないよ…」
…じゃあどうしろと?
「ま、別にいいけどねー、つかさには他の天然ボケとかがあるし」
立ち直り早っ!
開き直りながら泉さんは俺に赤外線で送信する。
「結局やるんだな…って、うおっ!?」
メアドを見た瞬間俺は凍りつく。
そのメアドとはローマ字で『眼鏡っ子激LOVE』と表示されていた。





授業が終わり放課後、俺と泉さんは漫画を買いに行き、なぜか他のみんなは泉さんが先に帰えるよう促す。
「…ねぇ泉さん、なんでみんなを先に帰らしたの?みんなで来たらいいのに…」
「いいからいいから」
「………」
俺は泉さんの返答に納得いかないまま本屋に入る。
その時、レジから光る眼球に俺達は気付かなかった。

「ふっふっふっ……。やっときたな、伝説の少女A。さあ今日は何が目当てだ………。いいか諸君、動きがあるまで下手な真似はするなよ…」
「「「ラジャッ!」」」
店員達はなにやらこちらを睨みつける。
「あの…」
他の客が話し掛けると
「うるさい!!今は仕事中だ!!愚民どもはミジンコかアメーバとでも遊んでろ!!」お前など眼中にないんだよという勢いでキレる。
「す、すみませんでしたー」
客は慌てて店を出ていった。
「この店大丈夫なのか?」
「いつもあんな感じだしいいんじなゃない?」
あくまでマイペースに本を探す。
そして立ち止まり本を見つめると
『ドクンッ』
なにか変な音が聞こえる気がした。
さらに少し前屈みになると『ドクンッ!』
さらに強い音が聞こえた。周りを見回しても特に変な物はない。
強いて言うなら店員達が
本棚の上やトイレ、遥か遠くからカメラや望遠鏡で目を光らせながら見ているぐらいだ。
泉さんが手を伸ばすと『ドクンッ!!』
前よりもはっきり聞こえてきた。
そしてついに本を手にしたとき周りの店員が動いた!
「いぃぃぃぃぃらっっっっしゃいぃぃませぇぇぇぇ!!本日入荷したぁこちらはいかがですかぁぁぁー!!」
「限定版ー!通常版もぉぉあちらにびっっっしり揃って配置してまぁぁす!!!」
「その他大人気の漫画ぁ!DVDなども続々入ってぇぇおりぃぃまぁぁぁぁぁす!!!!」
「…そうだ!もっとアピールを続け大量に買わせるんだ!彼女ならあるだけ買ってくれる!」
店員達の熱い交渉が泉さんに寄ってたかり、更にその熱い店員達を越える一人の男がレジから覗く。
これは熱い…!
ここまでされたらさすがの泉さんでも…!
「あー、全部持ってるんでいりません☆」
「「「「なにーっ!?」」」」
あーあ、店員達泣いてるよ…。そりゃあんなに宣伝したのに他の店で買ったなんて言われたら傷つくよなぁ。それにしても凄い。ここまで流れに乗ってる人は初めて見た。
人気コミック、DVDを全て手にしてるなんて!
泉こなた、彼女はホンモノだ…。
「うーんと……あった!
じゃあこれくださーい」
泉さんは一冊の本を手にしレジへ向かう。
「まぢで!?この店で買ってくれるの…!? かぁぁしこまりましたぁぁぁー!!」
さっきとは打って変わり特急でレジ打ちをする。
「540円になりまーす」
店員は満面の笑みで迎える。
しかし……
「あ、12円足りない…」
「「「「マジかよぉぉぉ!!」」」」
また泣き崩れちゃった。
可哀相に。
「桃原君12円貸してー」
「えっ?12円?」
すると店員は目を燃やし俺に食ってかかる。
「おいっ!12円ぐらい貸してやれよ!!てめーまさか12円持ってないとでも言うんじゃないだろな!?持ってんなら少女Aにさっさと貸せ!つうかあげろ!!やっちまえ!!
やるよな!?やるよな!?やるよなぁ!?ハイはっ!?ハイはっ!?ハイはぁぁ!?」
「ハ、ハイ……」
そうして俺は泉さんに12円あげ本は売られた。
「ふ…ふふふ…ふふふふ………。いぃぃぃやっったぁぁぁ!!!!俺は勝ち組だぁぁぁ!!」
大きく両手を掲げ吠える。たった一冊でそんな大袈裟な…。
「店長やりましたね!」
「伝説の少女Aが買ってくれましたよ!」
「やっと目標が達成されましたね!さすがです店長!!」
店員達が一人の男を胴上げする。
…あの人店員じゃなくて店長だったんだ…。どおりで必死なわけだ。
胴上げが終わり四人が俺のところに来る。
「ありがとう…。君がいてくれたおかげだ」
一同が礼をし、頭を下げる。
「まぁ…別にいいですけど…」
金はあなたが無理矢理出させたしね…。
「…お前」
店長は顔を上げ、涙目になる。
「お前はいいやつだ…。さっきはすまないな。伝説の少女Aを見るとつい…」
店長は申し訳なさそうに俯く。
「そのさっきから泉さんのことを伝説の少女Aって言ってますけど、それってなんなんですか?」
「伝説の少女A…、それは彼女が買ったものは全て売れるというジンクスがあるんだ。そしてその少女の噂は各地に広がり幻の存在とまで言われたほどに…。だから我々は伝説的な彼女に伝説の少女『A』の名をつけたのだ…」…つまり泉さんは有名人で、
それもここだけでなく各地に伝説は伝わっているってわけか。
「そして…我々は少女Aを知るきっかけができた…」
「は?」
「俺は今から、少女Aの家に行く!!」







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