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第129話 我が家崩壊






「そちらにツバキはいましたカ?」
「こっちはダメだったよ…。 こなちゃんの方角は?」
「見つかんなかった…」
どこへ消えたのか、不安でしょうがなかった。
その時にやまとから電話がかかってくる。
「もしもし?」
「あ、泉先輩。 桃原先輩たぶんいました」
たぶん…?
ってことはまだハッキリわからないのかな…。
「それでどこに?」
「家です。 明かりが付いているので恐らくは…」
「わかった。 今から行くね」
携帯を閉まってみんなにこの事を伝える。






全員は椿の家の前へと集合した。
「確かに消したはずの明かりが付いてるね」
「ホントだ…」
リビングの電気が窓から漏れていた。
かがみとこなたは顔を合わせる。
最後に家の明かりを消したのはこの二人、そしてやまとだからだ。
ということは…。
「やっぱり椿君かなぁ…?」
つかさは首を傾げた。
「とりあえず入ってみましょ。 私達は他人じゃないんだし」
かがみを先頭としてドアを開ける。
靴を脱いでゆっくりとリビングに近づきノブに手をかける。
息を殺しながら入るとそこにいたのは……。






「はぁ…」
なにやってんだ俺は…。
雨が止んで公園の隅でずっとボーッとしていた。
由佳は今戦ってるっていうのに…。
なにもできない…。
そばにいても恐らく邪魔になるだけだ…。
由佳にはゲーム世界の時とかいっぱい世話かけたのに…。
「くそったれが…」
なにもできない自分に腹が立つ…。
由佳のためにといろいろ考えたが、まず由佳が今日無事に生きることができるのかが心配で仕方がなかった。
「由佳……生きてくれ……」
その一言を残して俺は渋々と家へと帰ることにした……。






「ヤミちゃんがなんでここに…」
家のリビングにいたのは黒猫のヤミだった。
「すまん…、ここにいたらダメなのはわかってるんだが……」
「わっ!!! 猫が喋った!?」
「う、うそ…」
つかさたち四人組は目の前の非現実的な出来事に驚く。
「そういえばユタカたちはまだナニもシらなかったネ」
「信じられないかもしんないけど今までのことを教えなきゃなんないわね。 ヤミちゃん、お願い…」
「………」
静かに頷いたヤミは知っている全てを話す。
何も隠さず自分が生まれた時から今に到るまでを…。






適当にふらつきながら我が家へ着く。
「……ん?」
明かりが付いてる…。
こなたたちが帰ってきてるのか…。
ドアを開けて靴を見ると全員分があった。
やはりみんな帰ってきているようだ。
俺はギシギシと床の軋む音を感じつつリビングに入った。
「あ、やっと椿君帰ってきた」
「遅くて心配しました…」
ゆたか、みなみ、みんなの顔が揃っている…。
だがその奥には……。
「ほらヤミちゃんも来て」
この家を出ていったはずの小さな猫がいた…。
視界に入った直後、俺は猫に殴りかかった。
「…っ!!! お前えぇぇぇぇぇっ!!!」
「なっ!?」
「椿君!?」
永森さんとつかさが目を見開く。
そしてこなたとかがみ、みなみ、みさおが俺と猫を引き剥がそうと必死に間に割って入る。
「椿君なにするの!?」
こなたが俺に訴えかける。
「こいつが由佳をあんなめにしたんだよ!!!」
「それは違うんだってヴァッ!!」
「何が違うんだよ!! こいつは最初からこうなることを予測して来たんだ!! 俺達を不幸にするために!! こいつは人が不幸になるのを笑ってやがるんだ!!!」
「それは誤解なのよ! ヤミちゃんは謎の光を探そうと──」
かがみさんも何かを伝えようとするがそんなもの信じられなかった。
「そんなのに騙されるかよ!!」
「椿君!!!」
みなみちゃんが俺の名を呼ぶがもう何も聞こえなかった。
「おいこら! そんなに人の困った顔を見物するのが楽しいか!!!」
「………」
猫は動かずにじっと下ばかり見ていた。
「なんとか言ったらどうだ!!!」
「………」
「くそがぁっ!!! 由佳を返しやがれ!!! この疫病神があぁっ!!!」
「……っ!!」
猫は玄関に走り出す。
勢いよく体当たりをしてドアを開けた後、東に向かって姿をくらましていった…。





「ハァハァ…やっとどっかに消えたか…」
俺は心底安心した。
これで不幸の原因はなくなった。
由佳は帰ってくるんだ…。
あいつがいなくなったから……。
「椿君…」
かがみさんが俺の目の前に立つ。
「なんだ…。悪いが今は疲れ──」
パーンッ!!!
「痛っ!?」
かがみさんがいきなりはたいてきて俺は声を荒げる。
「な、なにすんだよ!!」
「それはこっちのセリフよ!!」
激しい口調と形相で俺は身動きがとれなくなる。
「あんた今自分が何言ったのかわかってるの!?」
「な、なにって…」
「一番言ったらいけないことを言ったの!! ヤミちゃんのせいで由佳ちゃんがああなった!? ふざけないで!!!」
「ふ、ふざけてなんかねえよ! 俺は本気で…!」

「じゃあなんで私達の話を聞かないの!!!」
「は、話ってなんだよ!」
「ヤミちゃんは困らせるのを楽しんでるんじゃない! 別の目的があったの!!」
「け、けど! 所詮あの猫から教えてもらったんだろ!! じ、じゃあそれが嘘の目的かもしんないだろうが!! お前等はあの猫に騙されてるんだよ!!! あいつは人間の不幸を楽しんでんだよ!!」
かがみさんは激しい口調から落ち着いた口調に変わる。
「……椿君……、それ…本心で言ってるの?」
「あ、ああ」
「そう…」
かがみさんは踵を反す。
そして……。
「私、椿君のこと見損なった」
かがみさんは二階に行って荷物を整理しだす。
準備が整い、一階に降りてきて最後に言う……。
「私、出ていく。 この家にはもう泊まらないから」
「……えっ?」
「お、お姉ちゃん!?」
「椿君、あんたとは絶交よ。 もう二度と話したくない」
状況についていけていない俺をほっといてかがみさんは家から出ていった…。















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