妨害者
「今日は天気がいいな」
「そうだね」
陽射しの暖かい道を、智と那々絵が並んで歩いている。
「買い物するにはいい日和ね」
「屋内だっつうの」
都心に近いショップを目指して、2人は駅に入っていく。
陽射しがさえぎられる代わりに、構内の店からの空調で温度はさほど変わらない。
「お前も男ぐらいつくれよな。荷物持ちも楽じゃないんだから」
「それは女をつくってから言えるセリフね。
それにそういうのはつくるものじゃないのよ、できるものなの」
苦笑しながら那々絵の少し後を追う。
どの店に行くのかも、智は知らされていなかった。
切符を買うときに那々絵が2枚分を買い、
智がその切符の値段を見て返そうとする。
一応、那々絵はいらないと拒むが、結局は受け取った。
智は値段から逆算し、大体の目的の場所を想定した。
「あ、じゃあ今日は――」
那々絵に話しかけた言葉は、改札機の閉まる音で途切れた。
切符の受け取り口に手を差し出す那々絵だが、
閉じた改札機に阻まれた上、切符は出てきていない。
しばらくすると改札機が開き切符が出てくる。
誤作動や切符の間違いじゃなく、
改札機の反応が遅かっただけみたいだ。
那々絵はいきなり横を向き、
駅員のいる個室を睨みつける。
だが駅員は改札機に阻まれた人間がいることにも気づかず、
ただ下を向いている。
顔をしかめたまま那々絵は振り返り、
智を押しのけて、足踏み強くずかずかと歩いていく。
「お、おい那々絵!」
慌てて追いかける智は
那々絵をなだめないといけないことに少しうんざりしたが、
彼女の気持ちもわかってしまっただけに同情もしてしまうのだった。
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