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前に続く

   (4) 

 ホテルの喫茶室で光子は東浜明美検事に電話した。
 だが、なかなか繋がらない。
 北芝は北芝で本母警部に報告している。
 イライラしながら光子はマグカップのコーヒーを一口飲んでから立ち上がった。
 見上げる北芝に両手を擦り合わせてお手洗いの仕草をして、喫茶室から出た。
「どこへ行く」
 と今村警視に呼び止められた。
「お手洗いです」
 胡散臭そうに見る今村警視を尻目にお手洗いに向かう。
 エレベーターの前を通る時、チラッと、二基あるエレベーターの片方が、五階で止まっているのを確かめた。今村警視はまだこっちを見ている。
 お手洗いから出て、なにくわぬ顔で警視の前を通って喫茶室に戻ると、北芝がいった。
「仕方ないから連中が出て来るまで待てとよ。同盟国の大使館公使だ、滅多なことはできまいと、自分を納得させている」
「シバちゃん、もしかしたら五階かも知れない。片方のエレベーターが五階で止まってた。もう一方は六階」
「驚いたやつだなあ。でもどうしょうもないだろう、警視が見張ってるんだから」
「外付きの非常階段から入れないかなあ」
「内鍵が掛ってるさ」
 と、テーブルの上に置いた光子のポーチの中で携帯が震えた。
 東浜検事からだった。
 光子は事のあらましを伝えた。
「仕方ないわね。小堀検事には頭ごなしの、大使館と上層部との交渉によるものだと思うわ。でも、そう心配することないんじゃない。アメリカを代表する公使なんだから」
「そうかなあ……」
 ダニエルだけなら心配はしない。得体の知れない男が一緒なのが気になるのだ。荒っぽいことはできないにしても。
「それより今どこにいると思う?」
「大分にはもう帰っているんだよねえ」
「ええ、そう。そして今佐伯(さいき)蒲江(かまえ)にいるの」
「て、もしかしてメグのーー」
「正解。代わろうか?」
「いいよ、今は昔を懐かしんでいる気分じゃないもん」
「は~い!」と塩辛声が割り込んで来た。
 佐藤メグミだ。
「昔って、何年も経ってないじゃないですかあ」
「そうかなあ、随分昔のような気がする。クジラ漁始めたの?」
「クジラ漁じゃないですう~、黒マグロ漁です~う」
「今日は何?」
「うん、裁判の打合せ。今度東浜検事さんと、検察側証人として出廷することになったんだ。根岸先生の裁判。東京に行くから、その時会おう? 秋葉原とか案内してよ」
 全く能天気なやつだ。
 携帯を奪い取ったのか、「そういうことだから、気持ちはわかるけど、事態を見守ったほうがーームチャしないでね」と東浜検事にいわれた。
「わかった。もう一度、メぐに代わって」
 海辺なのか、風の音がする。
「何?」
「あんたを突き飛ばしたネイティブってさあ、ラジコンヘリから国宗らを守るためではなく、SATスナイパーの銃撃から、あんたを守ったと思わない?」
「どうして?」
「なんかそんな気がするんだよね、思い当たることない?」
「……」
「そいつらと一戦交えることになるかも知れない」
「……」風のような吐く息の音がする。
「でも容赦しないからね。負けるわけにはいかないんだ」
「……今そこにいるの?」
「いる」
「……」
「――ふふふ。でもあたし、射撃には自信ないからね。拳銃は投げつけたほうが早い。コブができるかも。カレシによろしく」といって携帯を切った。
 北芝が待ち構えていていう。
「今警部から電話があった。外事からの情報では、そんな風体の男は、もしかしてカペラではないかというんだ」
「カペラ? 何者?」
「洗脳されたテロリストを解凍する、国際的な洗脳のスペシャリストだそうだ」
「……」
 今度は光子が息をのむ番だった。
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