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205/250

前に続く

 
 三人がコーヒーを飲みながら待っていると、今村警視がやって来ていう。
「篠原議員は、君のことはよく存じているそうだ。面会の必要はないといっている」
「そうですか……」
 さすがに光子は意気消沈した。
「ま、仕方ねえな。こうなったら氷室宇平がボロを出すまで待つしかねえ。篠原議員は今のところ悪意はなさそうだし」
「それじゃあ、本母さん、わたしはこれでーー」
 といって立ち去ろうとする今村警視を本母警部は呼び止めた。
「ところで警視」といって彼に近づき、肩を抱くように手を置いて、声を落としていう。「その面会者リストだが、どういった者たちがリストに?」
「それは申し上げられません」
「随分ガードが堅いんだな。その中に国宗八州議員、もしくはその関係者が入ってるなんてことは――それぐらい教えてくれたっていいだろう」
「厳密な意味では入っておりません」
「厳密な意味とは、意味深だなあ。みんな身元の確かな者たちなんだろうね」
「勿論です」
「家族にも秘密にしているぐらいだから家族以外だな」
「そうです」
「篠原議員本人にも了解を取っている、といっていいのかな?」
「勿論です」
「小堀検事もリストに?」光子が口を差し挟んだ。
「そりゃあ、当然だわな。主任検事なんだから」
「ええ、まあ……、これぐらいにしてくれませんか」
 今村警視はギロリと光子を睨んでから立ち去って行った。

 三人はあきらめきれない面持でホテルから退散。
 車の所まで来て警部はいった。
「お前らこのままホテルを見張れ。今村警視の手前、あんなことをいったが、氷室宇平なんかに係わっている場合じゃねえ。
 篠原耕太は国宗八州のこれまでの悪業のすべてを知る生き証人だ。自殺した菅沼卓司と違って、人質とする家族ーーといっても別れた女房の連れ子と、住み込み家政婦と、飼い犬しかいねえからな。きっと消しに来る」
「でも警部、国宗は篠原耕太をそれほど信頼していたということでしよう。実の子や、方々の愛人に産ませた子供よりも可愛がっていたという話です」と北芝。
「実の親子よりも強い(きずな)で結ばれている、ヤクザの擬似親子のようなものだ。本当の愛情じゃあねえ。国宗は人たらしーー役に立つ人間を育て、とことん利用する」
「でも篠原耕太議員は、受けた恩義をアダで返すような人物じゃない。だから自ら目を突いて、何も見なかったことにしたり、口を閉ざすために、死のうとしたんじゃないの?」
 光子にはそう思えた。だからきっと、最後は国宗を守ろうとするに違いない。
「かも知れんな」
「どっちにしても国宗にとっちゃあ、もはやこれ以上生かしておけない存在ーー警部のいう通りだよな」
「そういうことだ」といって警部は、「不審人物を見つけたら構わん、任意同行を求めろ。抵抗するやつには例の手を使え。拳銃の使用も許可する」
 光子はそっと胸を押さえた。自衛のための拳銃であるが、場合によっては攻撃のために使えと警部はいっているのだ。彼ら公安は常時拳銃を肩に吊るしている。
 なんとしても篠原耕太は守らなければならない。そのために根岸先生は彼を生かしたのだ。

 警部が去った後、北芝と光子は車の中からホテル『用賀』を見張った。
 ホテル『用賀』は、東急電鉄の二子玉川駅近く、多摩川に面した六階建の古いホテルである。検察がどうしてこんなさびれたホテルを、保護監禁の場所に選んだのか、わかるような気がした。
 川に面しているので片面の警戒でいいし、客の出入りも少なくて、警備がしやすい。それでいて新宿・渋谷・品川などの都心に近いのである。
 ホテルの玄関付近に私服が立って警戒しているから、迂闊なことはできない。
 だがそんなことはいっておれない事態が生じた。
 黒いアメ車がホテル玄関の車まわしに滑り込んで来て、車の両側からソフト帽を被った長身の外人が現れた。
 それを見て光子は、アッと息を呑んだ。
 ――あの、FBIの白黒コンビだ!
 その後から降りた背の低い男は、ダニエル・中西公使だ。
永らく中断しておりましたが、これからはコンスタントに更新できると思います。
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