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ダークマター 作者:なしか 空
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前に続く

 根岸ともみ弁護士は人が変わってしまった。
 目的のためには手段を選ばなくなった。罪もない善良な人間まで犠牲にするようになった。
 ダニエル・中西公使の切断した両脚を遺棄する際の目撃者の少年を拉致し、もう一人の目撃者である認知症の老人は海に投げ込んで殺した。
 少年は後に解放したものの、盗んで利用した車の持ち主を殺して車ごと崖から落としたりして、罪もない者を次々に殺害した。
 不審を抱いてやって来た女性刑事も拉致してーーしかし、どういうわけか根岸ともみは、女と子供は殺さなかったーー女性刑事は後に解放された。
 一般市民の顔をした根岸一味は、次第に数を増やしながらこれらの残虐行為を、何のためらいもなく実行した。
 密かに大分入りしていた竜平は、何度か根岸ともみ弁護士の説得を試みたようだけど、もう以前のような〈優しい姉のような〉根岸ともみではなかった。
 根岸ともみ弁護士が乗った一味の車をタクシーで尾行したことがありーーそのために竜平は根岸一味の主犯格にされてしまった。Nシステムの画像には、一味の車と同行しているように写っていたからである。
 本母警部が兄の行方を捜し、博多の叔母の所で稼業を手伝っている竜平を掴まえた。
 根岸ともみの暴走を止めさせるにはもはや逮捕しかないと、兄は根岸の所業を供述した。
 ところが、供述調書を書く前に、天門屋一家の本部が何者かに襲撃された。銃弾が撃ち込まれ、火炎瓶が投げ込まれて火事になり、竜平は危うく焼死するところだった。
 幸い二階に寝ていたので、銃弾の難は逃れたものの、煙を吸い込んで一酸化炭素中毒、二階から飛び降りた際に、事故で骨折したところをまた骨折して全治三ヶ月の重症。
 本庄英志と竜子叔母は軽症だったけど、若い衆が一人銃弾を受けて死亡した。この時小雪は稼業に出ていて助かっている。

 その一方で根岸ともみ弁護士も何者かに襲われた。
 それは影武者だったけど〈一味の一人が射殺される〉、一味も次々に襲われた。
 空から。
 空の王者と根岸一味の戦いが始まったのだ。テロリストハンターが本格的に乗り出して来たのだと、芝ちゃんはいう。
 一部の間では根岸一味はテロリストと呼ばれており、何か途方もないことを目論んでいると。
 外事あたりから仕入れたネタだと光子は思う。

 そのようなことが九州で起きているのに、光子は東京から一歩も出られない。
 だが、根岸一味の目的がようやくわかりかけた時、野島警視監に呼ばれた。
「菅沼卓司にもう一度会ってみたまえ。君なら説得できるかも知れない。説得できたら、機会をみて、大分にーー」といわれた。
 菅沼には厳重な警護が付いている。ばかりか、根岸一味と思われる連中まで遠巻きに警護しているフシがある。
 だのに菅沼自身は怯えきっている。遺棄された両腕の身元が篠原耕太議員のものであることがわかってからは、飲み屋にも出歩かず、マンションに閉じこもっている。
「大分にーーですか?」
「そうだ。まもなく大分国体が始まる。それに国宗八州議員が来賓として出席することになっている。舞台としては最高の舞台ではないかね」
「えっ?」
「君の父君は、勝利に酔い痴れている大野木大臣を、その支援者や、大勢の仲間の議員たちが見守る壇上で、逮捕執行した。
 今回はフダは取れないけど、任意でーーどうだね」
「く、国宗をですか?」
「そうだ」
 光子はまた穴の開くほど警視監の顔を見つめた。


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