挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ダークマター 作者:なしか 空
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

154/250

前に続く

 ヘリは上空から獲物を狙うトンビのように、何度も急降下してその脚で引っ掛けようとした。
 だが、その度に間一髪のところでかわされた。

 暗い上空のどこかで、パタパタと耳障りな音が始終していたけど、今その正体を現した。
 ーーヘリだ。
 芦ノ湖で見かけたヘリが、熱海の上空にもいて、ずっと監視されていたのか。
 こんな芸当ができるのはーー想定していなかったわけではないが、早くも本格的なのがーー藪蛇だったかも知れない。
 だがもう後には引けない。
 世界の空を支配する、世界最強の盟主を敵にまわしたからには、あの二人が生き残る道は真実を明らかにする以外にない。

 忌々しいことに、バイクは鯨に張り付いたコバンザメのように、大型貨物車の後ろにぴったり張り付いてしまった。
 おまけに前方にトンネルが見えて来た。
ブ ラックは頭を振り、操縦士に顎で熱海の町に戻るよう指示した。

 道路脇にバイクを止めて(またが)ったまま、フルフェイスのヘルメットを脱いで髪を振り、根岸ともみは夜空を見上げた。
 そして熱海の町の灯をーー。
 オスカルモードだった。
 第三者名義の、俗に言う“飛ばしの携帯”を海に投げ捨て、ヘルメット被って、再び東京方面に向けて疾駆した。

  ♤

 根岸一味と思われる男女二十五名を公務執行妨害で逮捕して、本母警部らは撤収した。
 一味の一人は刺客の銃弾三発を(あつ)めてほぼ即死。
 榊原光子と菅沼卓司に怪我はなかったけど、撃たれた外事課員一人は心肺停止状態、もう一人も重傷を負った。
 ほかに一味ともみ合った際に刑事三人が軽傷を負い、一味からも七人の重軽傷者を出した。
 白人の刺客は姿をくらまし、その行方は(よう)として知れなかった。
 菅沼卓也の言質(げんち)は得たが、録音には失敗して今回のミッションは失敗したかに見えたけど、野島警視監はいった。
「どうせ伝聞証拠排除の原則から、そんなのは法廷では証拠にならない。菅沼が法廷で証言しない限り」
 そういって光子の肩を叩いた。
「よくやった。少々やり過ぎだったけど、まあ、結果オーライだ」
「菅沼のやつは、早速ビビって前言を翻しておりますがなあ」
 本母警部は忌々しそうにいう。
「そりゃあ、そうだ。誰も口にできない者の名を口にしたんだから」
「警視監、雑音を除去して何とか聞き取れる程度にはなるかも知れないって本当ですか?」
 山田警部補が口を出した。
 三人は警視監のデスクの前に立っている。
「科捜研の技官が試みてはいるが……まだ何ともいえないね」
「それにしても解せないのは根岸一味だ。ごく一般的な市民がどうして? 根岸ともみのことは一切口にしないけど、君のことをーー」
 といって野島警視監は光子を見上げた。
「姫君だといっている。姫君のためなら命は惜しくないと」
 本母警部も光子を見ていう。
「何か、そんな雰囲気ありますなあ……」
「根岸ともみは素知らぬ顔で弁護士業務をしております。引っ張ってみますか?」と山田警部補。
「何の容疑でだね? 連中との関係を示す証拠は何もない。相手は法律の専門家だよ、君」
 そういわれて山田警部補も光子を見た。
 三人の視線を集めた光子は、「根岸弁護士に会ってみたいのですが、大分出張の許可をいただけませんか?」という。
 警視監と警部はチラッと目を合わせ、「いや、君にはまだこっちでやってもらいたいことがある」と警視監は言下に断った。
 榊原光子が根岸ともみと係わり合いになることを恐れたのだ。
 後日、本母警部が大分に向かうことになった。

+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ