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前に続く

   ♤

「根岸一味と思われる一人を確保しました」北芝はコードレスイヤホンを耳に挿し、シャツのポケットに向けて、いった。
「何? 本当か」
 本母警部の太い声。
「でもまだ、少なくとも三人はいます。帳場で部屋を確認しましたから応援をお願いします」
「よしわかった」

 旅館の前に路上駐車してある乗用車三台から、九人の捜査員が飛び出て、旅館に駆け込む。
 一階フロアーで一般客に混じってソファーに座っていた北芝が、後ろ手錠を掛けた赤木智子を引き立てーー手錠は温泉タオルで隠しているーー安藤警部を先頭に入って来た刑事の一人に引き渡して、ほかの刑事を連れて地下に降りて行く。
 地下三階の「風花の間」にはしかし誰もいなかった。赤木智子の部屋にも勿論いない。
「感づかれたようです」
 安藤警部が本母警部に報告した。

 ーーB班は二階への階段を固めろ。誰も上に上げるな。C班とA班はそのまま捜索を続けろ。二階の二人、油断するな!

「了解!」

 A班の北芝は、ちらりとでも連中を見ている。班長ともう一人の同僚とで捜索を始めた。
 C班は階下を、北芝たちA班は三階から上をーーと二手に分かれて。

 本母警部にいわれて、二階を警戒する外事課員二人も警戒態勢に入った。
 彼らは向かいの旅館に宿泊したのであるが、白人客の後を追ってやって来ていた。
 帳場で手帳を垣間見せ、白人客の部屋を訊くと二階の鶴の間だという。予約かと訊くと、番頭風のハッピを着た受付は、夕方電話があって、ご予約になりましたといった。二階を希望されて。
 ーー二階を?
 ちなみにその少し前に菅沼卓司から予約確認の電話が入っていた。受付は、いつもの二階、松の間を用意しておりますので、と答えている。
 別の任務を帯びている外事課員らは、そのまま二階を警戒する役にまわったのだ。
 白人はきっと、拉致されたダニエル・中西公使の行方を血眼になって探しているエージェントの一人に違いない。
 菅沼卓司に張り付いて、根岸一味が現れるのを待っているのだ。
 それともう一つーーこれだけは何としても阻止しなければならない。

   ♤

 ーー二階の部屋の一つ、東側奥の部屋の電気が減灯された。もう待てない、各自一斉に蜂起せよ!

 という一斉メールが放たれて、地階や一階の部屋から浴衣姿に異様な仮面を被った連中が飛び出した。
 捜索の刑事らの横を駆け抜けて行く。
「何だ? あいつらーーもしかして?」
 北芝もその後を追った。

 二階への階段に向けて奇怪な南部けっちゃ面を被った連中が殺到した。
「何んだ?」
「何んだ、お前らは」
 無言の集団は二階への階段を封鎖している刑事らに向かって行き、乱闘になった。
 意外と数が多く、駆けつけた北芝らを含めてもその数は上回った。それに拳銃で威嚇されても(ひる)まない。殴られ蹴られ投げ飛ばされても、執拗にまとわり付いて、二階に這い上がろうとする。
 宿泊客が悲鳴を上げ、観葉植物が倒れ、みやげ物売り場はメチャクチャに壊された。
 班長の一人が警部に所轄の応援を頼もうとした時ーー。

 ーー突入だ! 突入しろ!

 という一斉指令が出た。

 これを受けて、二階廊下の長椅子で憩い客を装っていた浴衣姿の外事課員二人は、松の間に向かって突進した。
 が、どこからか空気を切り裂くような音がして、二人ともバタバタ倒れた。

 
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