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前に続く

 光子はまだ公安警察の実情を知らない。
 だけど、昔のスパイのように、闇から闇に消されても文句をいえない、危険な任務を帯びた部署もあるとは聞いていた。
 どうやらそんな部署へ、まだ警備や刑事部にも在籍したことのない、警察官としては全く新米の自分がーー。
 これも野島教授の差し金だろうか。
 野島警視監は最後にこういった。
「あくまでも自衛であって、攻撃であってはならないけど、法の範囲内であればどんなことでも目を瞑る」

 法の範囲内であればどんなことでも目を瞑るーーとはどういうことか。
 光子は部長室を出てから警部に訊いた。
「なあに、お行儀よくしろということだ。お行儀よくしてたら、命は幾つあっても足りん。そんなこといってられない場面に遭遇するだろう。
 そういう時に思い出すんだ、これは法の範囲内だと。どこまでが自衛でどこからが攻撃なのか、そんなこたあ後で考えりゃあいい、一瞬のためらいが命取りになる。
 警視監のいうのは、あくまでも法の範囲内で“お灸”をすえてやれということだ。わかるな」
 と警部は意味ありげな顔を向けて笑った。
 それですべてが飲み込めた。
 野島教授の思惑と、それに呼応する人達の思いがーー。

 そして父の盟友がもう一人いた。
 係長室で本母警部に紹介された人物は、かつて捜査一課では警部の部下だった人で、公安調査庁に出向になり、再び警視庁に舞い戻ってからは公安部にいた。
 今回再び、公安三課に移動になった警部の配下となった。
「山田警部補です」
 山田警部補もまた父と叔母の事件の捜査員の一人だった。
「驚きましたな。まさか城島検事の娘さんと一緒に仕事することになろうとは。城島検事とは一緒に仕事をしたかったんだ。あんなことになって、残念で無念でならなかった」
 といって細身の山田警部補は光子の手を取って揺すった。
 この人が相棒かと思ったら違った。
 後からもう一人、「晩くなりました」といって部屋に入って来た。
 ヤクザ風の(なり)をした三十代に見える男。
 男は「北芝です」といって警部に挨拶した。
「ほう、君が公安きっての無頼派だった、あの北芝の息子か」と警部はいった。
「はい。刑事の暴れん坊の警部さんのことは、かねがね父から聞いております」
「ははは。そうか、もう二世の時代か。残念なことに、わしには跡継ぎがいない」
「榊原光子君、あの城島検事の娘さんだ」と山田警部補が光子を紹介した。
「榊原光子です。よろしくお願いします」
 と頭を下げる光子を、北芝巡査部長は無遠慮に見て、「おれより目線の高い女は初めてだな」といった。

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