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ダークマター 作者:なしか 空
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前に続く

 午後の二時には本母警部と光子は公安部長の部屋にいた。
 大きなデスクの前に並び立つ大柄な二人を、夏用制服姿の野島警視監は交互に仰ぎ見て、いった。
「ようこそ、我が公安部へ」
 光子はここで初めて本母警部も一緒に移動になったことを知り、警部の顔を見た。
「寄り道していて遅くなりました、これが城島ーーいや、榊原光子巡査です」
 光子は向き直って野島警視監に敬礼した。
「榊原光子と申します!」
「ほう……なるほどね。でももっとごつい顔してるのかと思った。父親似だと聞いていたからーー案外可愛いんだね」
 野島警視監はやや首を傾げて光子を見て、渋い顔で笑った。
 可愛いーーなんていわれたのは初めてだ。
 警視監は渋い中年。四十五歳だと聞いている。長い顔の輪郭は野島のジイ様に似てるけど、顔は似ても似つかぬ精悍(せいかん)な顔だった。
 同年代の男性には一向に興味は湧かないけど、中年の渋い顔はいいなあと思う。
 無遠慮に警視監を見詰める光子に警部のほうが恐縮して、ひとつ咳払いしてから、「例の件ですが、警視監」といった。「やはり、篠原議員は出国しておりませんでした」
「なに、本当ですか!」
「これでもし篠原議員もとなれば、よもやーー」
「まあ」といって野島警視監は立ち上がり、ソファーのほうへ二人を(うな)がした。

「失礼します」といって女性職員が入って来て、二人の前のテーブルに麦茶が入っているコップを並べる。
 警視監は腕を組んで唸った。「これは大変なことになりましたねえ」
 刑務官の最上七男と仲良くゴミ袋に入れられて遺棄されていた遺体が、西塔万里であることは、DNA型判定の結果明らかとなっていた。
 残る二人分の遺棄遺体〈の一部〉の身元がーー篠原耕太議員のものであり、ダニエル・中西公使のものであれば、昭和の妖怪・国宗八州と父を巡る因縁の人脈が揃う。
 もっとも、残る二人分の遺体といっても、臼杵市の海岸で発見された両脚と、大分市の上野墓地公園で発見された両腕であるがーー。
 国宗八州が差し向けたと思われる刺客・(てい)民部(かきべ)を含めて、それらの遺体の中心に根岸ともみ弁護士がいる。
 そして兄・竜平もそうなのか?
 いよいよ暗雲が光子を取り巻いた。

 気がついたら、野島警視監と本母警部に見詰められていた。
 ボーとしている光子に野島警視監はいった。
「これから君の上司はこちらの本母警部だ。君にはベテランの相棒を一人つける。その者と一緒に行動する。
 必要な時以外、出社しなくてよい。住まいはその者と同じ民間アパートで、名前も経歴もこちらが用意したものになってもらう。
 常時拳銃を所持し、身に危険が及ぶか、あるいは他者の場合であっても、自己判断で使用してもよい。ただし、使用経緯と使用実包の数は報告しなければならない。薬莢の回収は必要ない。
 家族や、知人との連絡及び接触は極力避けて、特殊任務に従事してもらいたい。
 相手が外国のエージェントということもあり得るが、身の危険を排除することをためらってはならない」
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