博士なロボット
ようやく完成した。
私を造った博士が亡くなって幾星霜、残された資料と次々に発表される論文を文字通り頭がショートするほど読み込んで作り出した最新型アンドロイド。
私は胸を熱くしながらもアンドロイドを起動した。
「テスラ、気分はどう?」
私の呼びかけにテスラが反応を示す。私の博士と同じ顔、同じ体格。インプットしておいた性格あらゆるものをテストしなければ。
あぁ、もうすぐ会える。この日をどれだけ待ったことか。
「問題ないわ。ネスト」
博士の声だ。記録にある通りの凛々しい声。なんて懐かしいのか。
「さぁ、私達はずっと一緒よ」
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とある不可思議なロボットが俺の研究所に運び込まれた。
何でも製作者が分からない実に精巧な代物だそうで、分解するように上からの命令がきた。
「違法ロボットですね」
助手が嫌な顔をする。それも致し方ない、俺だってここまでおぞましい物は初めて見た。
「全く、分解する身にもなれってんですよ。こんな精巧に人に似せやがって」
助手が見えない制作者に毒吐く。俺としても制作者の妄執が見て取れる違法ロボットは気持ち悪くなる。
聞いたところによると、普通のロボットがもう一体あったそうだがーー
「これ通信機が入ってますね」
助手が違法ロボットの分解に取りかかっていた。嫌なことを早く終わらせたいのだろう。
「これ何でしょうね?」
助手が投げて寄越した通信機を受け取る。
「もう一体のロボットにもあったらしい」
先に分解されていた普通のロボットに関する資料を読むと後付けの通信機について記述があった。
「片方が壊れるとその信号を受けとったもう片方もデータがすっ飛ぶように細工されていたそうだ」
「残された方が寂しくないように、ですか?」
助手がうんざりしたように嘆息した。