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神級回復呪文使いが転生したら……こうなった。~調子に乗ったランディの、神罰転生~ 作者:鹿鳴館
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【66話】ランディ争奪戦

「ランディ・ダーナス…… 俺はテスター・バスターだ。 お前になら本気を出して、いいんだよな?」

 テスターの言葉に、アーサーやリッツ教官と同じ匂いを感じた。


 言っておきますが、僕は彼らとは違いますからね? 時と場合を選んで戦闘を楽しみますから。

「5戦目……決闘開始!」

「肉体強化『5』」

 速い! が、まだまだあまい。
 彼が、振り上げ攻撃をしてきたハンマーに合わせるように攻撃をいなそうとした。
 
 ガキィィィィン!!

 なっ!?

 ハンマーは僕の手から離れ、遠く後方に落下した。

 な、なんなんだこのパワーは……
 たしか、テスター・バスターって、名前だったよな? よし覚えた。

 テスターの攻撃は速い振り下ろし。
 あの大型ハンマーを枝と勘違いしてるのかってほどだ。


 半身をずらして、テスターの腕に手刀を叩き込む。
 しかし、固いゴムでも叩いたみたいに、手刀は跳ね返る。

 僕は見た、手刀を叩き込む直前にテスターの腕が動いたのを。

 腕をたった数センチ動かしただけで、手刀を弾くなんて……化物め。

 急所に当たれば、一撃で試合が傾くような攻撃が来る。(普通の人間なら死にます)

 この力の差は、生前で戦ったモンスターで表すと…………オーガ……いやオーガジェネラルってところか。

 そう想定できれば、無理な戦いじゃない。
 でも、武器や防具がないと、やっぱ厳しいかも。

 バスターの振り下ろしを狙って、身体をずらして
 手刀を叩き込むふりをした。

 予想通り腕で迎撃してきたので、手刀をやめて手のひらで受け止め、上段回し蹴りをぶちかました。

「ぐっ」

 やっとまともなダメージを与えた。
 驚いた顔をしている、少なくともこの国は多彩な蹴り技がないのかも知れないな。
 うちの学院での喧嘩も、前蹴りしか見たことないからね。

 テスターは驚きはするけど、怯む事なく攻撃を繰り返す。
 分かってやがる……あんな破壊力のある攻撃を一発まともに貰ったら、どれだけのダメージになるのやら。

 避けながら回し蹴りを5回ほど、喰らわせた時、回避不可能な攻撃が来た。

 とっさに、テスターのハンマーに片足を乗せて、衝撃をやわらげた。

 でも、数メートル吹き飛ぶことになった。
 着地点は、狙い通り僕のハンマーが転がっていた所。
 ちょっと足首を痛めたけど、武器を取り戻した。

「なんだと!? ランディィィィ!!」

 喜んでいるのか怒ってるのか判らない形相で、猛然と突っ込むテスター。
 まるで細かい動きが出来る重機の様だ。

「この化物め……」

「なっ? お前が言うなっ!」

 まともに打ち合うと、どうしても不利になる。
 だけど楽しくて止めれない、だってうちの一番の腕力を誇る教官よりも、ちょっと上回るなんて……嬉しすぎる!

 ああ……腕が痺れる。
「ヒーリング。ふう、戦闘中に回復魔法を使わせるなんて、化物じゃないか」

「俺の攻撃中に、回復魔法を使う方が化物だろ?」

四年生(よねん)で、これだけ丁寧に、攻撃出来るお前の方が化物だ」

三年生(さんねん)で、この攻撃を全部捌いてるお前の方が化物だ!」

 あっ、そうでしたね。

 しばらく『化物』の擦り付け合いが続いた。

 テスターは力だけじゃなく、肉体強化のせいで動きも速い。
 しかも、堅実な攻撃を繰り返してくる。

 はっきり言って、簡単に攻略できる術は今の僕にはない。

 ならば、出来ることは1つ……ランデイヤの記憶の引き出しを開けて、持久戦に持ち込む。

 圧倒的パワーの前に、できる防御は限られてくる。

 痛い、腕がジンジンする。
 この化物相手ならシールドが欲しいところだ。

「肉体強化『5』」

 テスターは自分の肉体強化魔法が切れる前に、重ねがけして戦う。

 この時、自分で1つルールを決めた。
 テスターの魔力切れを待ちたくない。

「第2レベル呪文……オグルパワー」

「むっ? 肉体強化の無詠唱? いや違う さっき何か呟いたな、その時か! だが、身体は持つのか? 無茶して倒れるなんで興ざめだぞ?」

 僕の呪文を肉体強化魔法と勘違いしてくれた。
「心配すんな、これは10分間維持できる」

 正直に答えてみた。

 僕のチート系呪文は概ね10分単位だ。
 この時間内で、けりをつける。

 狙いは相打ち。
 テスターの攻撃に合わせて、攻撃をする。
 今は、テスター同様にハンマーの持ち方を変えた。

 ドン! ドムッ!
 
 相打ちは成功したが、軽く吹き飛ぶ。
 効くなぁ……ドラゴンの尾を喰らった遥か昔を思い出す。

 もちろんテスターに、そんな攻撃力はないけど、今の僕がそれだけ弱いって事だ。

 相打ちを繰り返す……むう、血の味のがするよ。
 テスターはHPも高いのか、早くくたばれ。

「この化物! 早く倒れろ!」
「この化物! 早く倒れて!」

  テスターもギリギリみたいだ。

 そして、もう一度叩き合う。
 だが、それは最後の相打ちとなった。

 最後に立っていたのは、僕だった。

「勝者、ウエストコート高等学院……ランディ・ダーナス。 この決闘、ウエストコート高等学院の勝利です!」

 大歓声の中、殼に被われたテスターを見つめる。
 そして、殻に触れてテスターを回復させる。

「グランヒーリング……」
 まさか、こんなに苦戦するとは……僕はまだまだ未熟だった。

「敵に回復魔法なんでバカなのか?」

 手を伸ばして答える。

「手を繋ぎたかったんだ。 テスター・バスターさん、名前覚えましたよ。 来年またやりましょう」

「ああ、こんな気持ちの良い戦いは、初めてだ……もっと強くなってやるから、調子にのるなよ」


 男同士の友情が芽生えた瞬間だった。
 が、自陣の方がなんかうるさい、僕を誉めてくるのかな?

 振り向くとリッツ教官が、大勢に取り押さえられていた。

「次は、俺の番だろ? あんな戦いを見て、おとなしく帰れるか! なぁ、やらせろよ? 出来れば二人ともやりたい。 なっ? 放せぇぇぇ!!」


「……ランディんとこの監督、面白いな?」

「ええ、迷惑なくらいに……」

 僕の八武祭3日目は、楽しくすごす事が出来た。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇

 ある大きな部屋に、真剣な表情をした集団がいた。

 その者達の名は、国王ウィルソン、第2王子サンジェルマン、王宮騎士(ロイヤルナイツ)ハーモニア、王宮騎士ナイツトン、王宮騎士ジョーシン、ウエストコート公爵、学院長ハベンスキーだ。

 学院長のハベンスキーは明らかに浮いていた。

「さて、ハベンスキー学院長よ……教えて貰おうか? ランディ・ダーナスの正体を」

「正体ですか? いったい何を知りたいので」
(マキナス先輩、助けてぇぇ)

「貴様はそんな事も分からんのか? ランディの強さの秘密だ」
 王宮騎士のナイツトンは、少し厳しめに話す。


「ふう……ハーモニア」

「はっ、今日のランディ・ダーナスの戦いで、分かった事がありました。 未熟とは言え、高等学院最強クラスの『人神の加護』持ちをスピードであしらい『竜神の加護』持ちをパワーでねじ伏せる。 しかも、グランヒーリングを30回近く使える魔力総量を持っている……だから彼を知るはずの貴方に聞きたいのだ。ランディ・ダーナスはいったい何のギフトを持っているのだ?」


 ハベンスキーも、この場で嘘や誤魔化しなど出来るはずもないと理解している。

「2年前の判別器の結果でよろしいでしょうか?」
(知ってる事、全部喋っちゃお)

「ああ、それでいい」

 深呼吸をしてから、意を決して話す。

「ランディ・ダーナスの魔法の素養は回復魔法、使える魔法は、ヒーリング、エクスヒーリング、グランヒーリング。 げ、解毒魔法は全種類と……」
「ちょっと待て! 全種類ってなんだ? デトックス6種類を1人で使えるのか? おかしいだろ!」

 ハベンスキーの話を途中で遮るサンジェルマン。

「サンジェルマン、今は話の途中だ。 終わるまで聞こう」

「分かったよ、親父」
 サンジェルマンはハベンスキーに続きを話せと、手振りで伝える。


「彼は解毒魔法全種類と、新魔法ニュートラライズポイズン」

「ちょっとまったぁ! なんだその魔法は?」
「親父、後で聞くんじゃなかったのか?」

「うっ……すまん、学院長続きを話せ」

「あとは、正体不明の回復魔法ライトキュアです。魔力総量は3800ですが、2年前の測定値なので、今はおそらく、4000に近いかと思います」

 優秀な魔法使い10人分を超える、ランディの魔力総量に、この場の全員が驚愕した。
 事前に知識を得ていた、ウィルソンや、ウエストコートの情報を上回っていたのだから仕方ない。

 だが、この場の全員は詰問などはしない。
 次に口を開く情報は、間違いなく『ギフト』についてだからだ。

「持っているギフトは……あ、暗黒女神の愛でした」

 ハベンスキーの言葉を聞いた者に、衝撃が走り抜ける。

「暗黒女神など、聞いた事がない。 いったいどんな能力を秘めているんだ?」

「く、口の悪さ3倍かな?」

「なるほど……」

「ジョーシン、何を納得してるんだ、気をしっかり持て!」
 
 同期のハーモニアに怒られる。

「近年発覚した、第四の加護は『冥王の加護』だった。 他国ではかなりの者達が、この加護を授かっているそうだ」

「なぜ、最近になるまで分からなかったのだ?」

「噂ではその加護は農民出身者に、多く見られる」

「そんな事より、ランディの加護はいったい何なのだ?」

「あのぅ、ランディ・ダーナスにはギフトを持っていると伝えてないので、どうしましょ?」

 話し合いは、混迷を極めた。

 ……
 …………

「国王様、解らないことは深く考えず、彼を王宮騎士にしてみては、いかがでしょう?」

「親父、アイツはオレが所属する特務隊が良いんじゃないのか?」

「私は、ランディをロベルトの家庭教師に、したいのだがな」

「ウィルソン王、サンジェルマン王子、待って下さい。基本的に高等学院の卒業生は、我がウエストコート領の管轄下に置かれます」


 相手が国王といえ、ウエストコート公爵も黙ってはいない。
 当初はそこそこ出来る程度の才能なら辺境または他国にでも送って、娘から離してしまおうと思っていたのだが、自分の衛兵より強く、座学でも学院トップクラスの成績を誇っているのだ。

 ランディを手放すのは、愚手だと理解している。

 話は、ランディの正体を知ることより、卒業後のランディを中央かウエストコートにするかどうかの議論になっていた。

「あっ、言い忘れていましたが、新魔法ライトニングを開発したのもランディです」

「ランディは王宮騎士が貰う」
「ランディは私が雇う」
「ランディは我が領の物だ!」
「ランディをオレにくれ!」



 そして日をまたぎ、八武祭最終日になる。
リッツ教官「俺の出番はまだ?」


八武祭で、たくさんのザコキャラが出演してくれましたが、テスター・バスターさん以外は忘れちゃっても、問題ないです。
+注意+
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