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ルシ伝 作者:キルナ

第2章 

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アオローラ追い掛ける

すみません、アオローラの事を忘れていました……
  話は少し遡り、軍義がはじまる前日。

 ルシに置いて行かれたアオローラは、すぐにルシの後を追う旅に出ることにした。
 皆が、色々心配してくれる中、ヴァルザードだけは視線をちらちら胸に移しながら、引き止める様なセリフを吐いていた。
 それに気付いたシェラが、戦乙女騎士隊の面子が居るにも関わらず、無礼講を通り越した毒舌を浴びせた。
「こらぁ、そこの変態おやじっ! いやらしい目で見てないで、さっさと仕事にもどれっ!」
 騎士隊の面々は驚愕の表情でシェラを見ている。
 当然のことである。上官に対する暴言、通常なら懲罰房行き、下手すれば監獄行きの上死罪もありうることだった。まぁこの2人に限ってそれは有り得ないことだが、騎士達はそんなことを知る由も無い。
 しかしヴァルザードも仲間内だけなら、その言にも我慢するのだが、皆の前で言われたのでは面子があったものではない。更には士気にも影響しかねないのも事実である。
「シェラ君、騎士団長の私に向かって、その様な暴言が許されると思っているのかね?」
 いつもに増して厳しい口調だった。
 しかしシェラも負けていない。目を吊上げ悪鬼の如く吼えた。
「はぁ? 変態に変態って言って何が悪いのよ。だいたいねぇ、いつもいつも、職権を笠に着て私の隊員にちょっかい出してるわよねぇ……。言っとくけど彼女たちは私の部下よ。いくら騎士団長だからと言っても、彼女たちに限って言えば命令権限は私の方が上なのよ? 私が「団長と会話するな、3メートル以内に近寄るな、目を見るな、同じ空気を吸うな」そう命令したら、どうなると思ってるの? えぇっ!」
 終始、吼えるような物言いだったが、最後の「えぇっ!」だけは更に強烈な迫力があった。

 ヴァルザードは忘れていた。今日のシェラはいつものシェラと違う。ルシと再会を果たすも、たった1日で別れたのだ。その心の内は想像を絶するだろう。
 さらに言えばシェラはやると言ったらやるのだ……

「君子危うきに近寄らず。だね…… はっ、ははっははっ」
 言下にルシの神速を思わせる速度で、ヴァルザードはその場から消えていた。

 アオローラはそんな光景を見て、ルシという少年はつくづく罪作りな男だと思うのだった。
 そして私の旅を心配する暇があるなら自分の心配をしなさい。と言いたくなった。
「えっと、それじゃそろそろ出発するけど、なにか伝言とか有るかしら? 一言で済まないなら手紙を預かってもいいわよ?」
 3人は躊躇うような仕草を見せた。
 3人が3人とも伝えたい事は山ほどあるだろう。本当は3人とも付いて行きたかったのだから、それでも自分の置かれた立場がそれを許さなかった。まだ10代の女の子にその決断は非常に辛いものだったはずだ。躊躇っている彼女達にアオローラは優しく諭す。
「私の出発が遅れるとか気にしてるのかしら? そんなことは全然気にしなくていいのよ。なんなら数日ここでお世話になってもいいんだしね。だから私に遠慮してるなら、やめて頂戴。そんなことより、……思いの丈を伝えないと、ね?」
 軽くウィンクしてにっこり微笑むアオローラ。
 その想いが伝わったのか、3人は、「では1時間だけお待ち願いますか?」と言って、自室にペンと執りに向かった。

 しかし1時間後には辺りはすっかり夜の帳が降りきっていた。
「さすがにこれだけ暗いと街道を行くのは辛いわね…… 今日は泊めて貰えるかしら?」
 苦笑いが4人の顔に浮かんでいる。

 結局翌朝早くに、アオローラは城を出ることになった。
 辺りはまだ薄暗いものの、馬で走れない暗さではない。
 馬はなかなかに夜目が効く動物なのだ。さらにアオローラは海の中で暮らしている、人間より夜目はよく効くのだ。

 シェラと戦乙女騎士隊に守られ、両王女が街門まで見送りに出向いてくれた。
 アオローラは3人と「必ずまた合いましょうね」と固く握手を交わす。
 目に薄っすら涙を浮かべる3人に手を振り、アオローラは街門を南に馬を走らせ、地平線へと消えていった。
 もちろん行き先は分かっていない。しかし街門の門番が言うには街道を南に向かったということだ。
 ルシ達が出たのは夕刻、たぶん一番近くの宿場で宿を取っているだろう。
 アオローラはそう考え、一番近くの宿場でルシの情報を得ることにした。

 2時間ほど走ると宿場が見つかった。数軒の宿屋と茶屋がある程度の小さな宿場だった。
 まだ王都から近い事もあり。客足が少ない場所なのかもしれない。

 適当に宿屋の門を潜り、ルシ達の情報を聞いて回ることにした。
 さすがに、ルシ達は目立ちすぎていた。当然かもしれない、15,6の少年と12の少女。純白の子狼の組み合わせである。簡単に情報を得ることが出来た。
 聞いた情報によると、つい半時ほど前に街道を南に向かったという事だ。その先ははっきりとは決めていなかったらしいが、ネーベル湖の事を聞いていたので、そちらに向かったかも知れないと言う。
 そう言えば、門番もネーベル湖への古道か廃道を聞かれたとか言っていたが、街道を通っていることからネーベル湖は候補から消していたのだが、向かった可能性が出てきた。
 一応ネーベル湖への道を宿屋で確認し、出発する事にした。 
 急げばモリリスとビズルトラに分かれる丁字路までに追いつくかも知れない……

 …………アオローラが宿場を出て半時、ルシ達をあっさり見つけることが出来た。
 後ろから見る彼らの姿は、ルシは普通に歩いているものの、クーとリンは飛び跳ねるように歩き、まるでハイキングかピクニックにでも行くの? と聞きたくなるはしゃぎようだった。
 どうやら、今日はのんびり歩き旅という感じだろうか…………

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