がんばれ豚谷縦書き表示RDF


がんばれ豚谷
作:一球入魂


「はぁーーー」
いつものように俺の席まで来る男がいる
決まって溜息をしながらだ

「今日はどうした?」
いつものように返答する俺
そいつはやはりいつもと同じ言葉を言った

「一キロ太った・・・」




俺の名前は植野正成うえのまさしげ
こいつの名前は豚谷国生とんたにくにお
俺のは普通だとしても、こいつのはひどすぎる
豚谷は名前が原因でいつもからかわれている
体型も豚みたいだしな

言っておくが、俺は特に何の特徴も無い普通の中学二年生だ



キーンコーンカーンコーン
学校の授業が終わる合図の鐘が鳴った
あー、やっと終わったー
次は部活だー

俺と豚谷はソフトテニス部だ
この学校は部活に入らなくてはいけないことになっているので俺たちは楽そうなソフトテニス部に入ったわけだ
最初は適当にやるつもりだったのだが、やってみると意外に面白く、俺は次第にテニスにのめりこんでいた

俺はどんどん実力を上げていき、一年生で先輩とペアを組み試合に出させてもらうことができた
豚谷も、太ってる割に意外と上手で二年生の中では上手なほうだ


・・・まあそんな感じで、俺たちは部活をやっている
俺達の部活はまず駅伝の練習をやることから始まる
なんでソフトテニス部が駅伝の練習をやるのかと言うと、先生が悪いのだ
先生は、俺達の学校には去年きたばかりで、小柄で、ちり毛の男性の先生で、前は陸上部の顧問をやっていたそうだ

駅伝の練習というのはかなりきつい
毎日五キロから十キロぐらい走らされる
豚谷は太っていたので、駅伝を一週間程やると、ひざを痛めた
非常に俺や他の部員にとってはうらやましい

駅伝をやり、初めて俺たちは部活をできるのだ
俺達の部活はまずストロークに始まり、前衛と後衛に分かれての練習で平日は終わる
休日はもっといろいろやるのだが

ついでにいっておくと俺は後衛で、豚谷は前衛だ





部活もそろそろ終わりの時間に近づいてきたころ
「集合!」
部長の声で部員が先生のところに集まる
「お願いします!」
「お願いします!」
部長の声に続いて俺たちも言う
「よーし、今日は、大会に向けてのペアを発表する」
先生の無意味にでかい声が耳障りだ
先生は次々とペアを発表していく
俺はたぶん今まで組んでいた先輩と組むんだろうなぁ、と思っていた
が、それは違かった
「植野、豚谷」
「はい!」
びっくりして返事をするのが遅れてしまった
あーあ、なんで豚谷となんだろう
だが、先生に何を言っても聞かないのは分かっているので何も言わない

そのあと先生の話が終わり、俺たちは帰った
いつもは豚谷と一緒に帰るのだが、今日はそんな気分になれなかった
正直、豚谷と組むのが嫌だからだ



自宅に帰って、携帯を開くと、メールが一通来ていた
それは豚谷からのメールだった
「これからよろしく!」
という内容だったので、適当に
「こちらこそよろしく」
と返しておく




次の日は、休日で、部活も無かったため、家で寝てようと思っていた
が、豚谷にテニスに誘われてしまったので俺の計画は崩れた



テニスコートで豚谷と打っていると、豚谷はミスをしてばかりだ
しかも、少し手前にボールを打つと取れなくなってしまう
これだから豚谷と組むのは嫌だったんだ
凡ミスばかり
足が遅くてボールが取れない


二時間程テニスをした後、休憩をしていると、急に豚谷が
「俺、お前の足引っ張んないようにがんばるから」
と、言い出した
「まあ、せいぜいがんばれ」
と、少し皮肉をこめて返してやった


日がたつにつれ、豚谷は上手くなっていった
俺と同等の実力ぐらいに
体型は全然かわらないが・・・
確実にボールを打てるようになってきたし、ボールに追いつけるようになってきた


そして、大会の日がやってきた
俺の体調は万全だった
豚谷は、緊張しているが大丈夫だろう
無駄に長い開会式が終わり、試合が始まった

俺と豚谷の試合はまだ先だ
「俺、足引っ張っちゃったりしたらごめん・・・」
豚谷が今になっていきなり弱気になった
「大丈夫だって 自信持てよ」
「だって、俺デブだし・・・」
「太ってたって大丈夫!」
なぜか、こんな言葉が出てしまった
「お前は、今まで精一杯やってきたんだからきっと大丈夫だ!」
「本当?」
俯いていた顔を上げて俺に聞いてくる
「本当だ」
なんだか子供をあやしている父親のようだ
「よーし、なんだか自信出てきたぞー」
そんなわけ無いだろうが、まあ元気が出てきたならいいだろう
「よし、その意気だ!がんばれ!」

そのあと、すぐに俺達の試合が来た
相手は、強豪中の一番手だ
豚谷は未だに緊張しているが、きっと大丈夫だ
いまの豚谷なら・・・

「ファイブゲーム ザ マッチ 第一ゲームプレイ!」
審判の声で試合が始まった
最初は俺のサーブだ
ボールを上げ、思いっきり打つ
見事にサーブは入り、相手は返すのが精一杯のようだった
帰ってきたボールは豚谷のほうに上がっていた
ボールは豚谷の苦手だった浅いボールだった
だが、苦手だったのは昔の話だ
豚谷はボールに追いつき、思いっきり打った
豚谷の打ったボールは相手も取れず、こっちのポイントになった

「よっしゃーーーーー!!!!」
叫びながら豚谷は走ってくる
俺は手を少し上げ


パチーン


と、豚谷の手を叩いた
俺は、このとき、やっと気づいた


俺は、豚谷を認めているということに


その後も、俺と豚谷は得点を重ねていき
勝った
俺と豚谷は抱き合って喜び合った



俺と豚谷はこれからも最高のペアでいられるだろう





どこの学年にも太った人はいると思います
でも、その人は何かの才能を持っているのかもしれません
評価、感想宜しくお願いします













ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




◆BACK
小説家になろう