カタカタカタカタ・・・・・
パソコンの画面に文字が浮かぶ。
《幻空帖・木野子館》
幻空帖・木野子館では、皆様の御相談をお待ちしております。
・怪奇現象の調査。
・御自身の事(私ってヒトじゃないかも・・・等)
なお、メールだと時間のかかる場合があります。電話番号は、
○●△-■◇◆-×▽▼◎-▲□×○
私はすぐに、その番号へ電話をかけた。
トゥルルルルルル・・・・・・ガチャッ
たっぷり15秒で電話はかかった。
「はい 色相談室 木野子屋です―――――」
若い女性の声だ。留守録だろうか。でもウチの留守録のような無機質な感じはしない。むしろわくわくしたような、弾んだ声だ。
「―――相談をどぅ―――はい 依頼ですね」
驚いた。
急に少女の声になった。やはり留守録だったようだ。
それにしてもずいぶん若い。私とそう変わらない年だろう。さっきの留守録と同じように、冷静だけどどこかわくわくした様な声。
もっと年のいった人が出てくると思っていたので、少しほっとした。
―――――私は意を決して言った。
「実は、私は吸血鬼かもしれないんです 」
事の始まりは、私が生まれたことで、いや、それより数百年以上前から始まっていたのかもしれない。
私の家では朝御飯のたびに、赤い【Blood】という液体を飲んでいました。Bloodの意味が【血】だと知ったのはごく最近。
―――はい。それが血だったんです。動物のですけど。我が親ながら、安易ですよね。
そこで、冗談めかして、両親に言ったんです。
「Bloodって、血の意味なんだね」って。
そしたら、
「これ血だよ」って母が。
―――ナニ言ってんだ。と思いましたね。
ええ。その日の夜、父に聞きました。
『ウチは代々続く吸血鬼の一族で、曾お祖父ちゃんは魔女狩りのころ、ヨーロッパから日本に逃げて来たんだよ』
「―――――という訳です 」
私は一気に話していた。ほかに言える人がいない。これでも悩んだ末、学校で噂のHPにアクセスしたのだ。
「なるほど 分かりました――――」
次の一言で、私は凍りついた。
「明日、朝七時半ぴったりに校門前でお待ちしております 大西アリサさん 」
なんで私の名前を知っていたんだろう。
【大西 アリサ】
確かにそれが、私の名前だ。
幻空帖・木野子館というHPを知ったのは、クラスメイトから伝わってきた、いわゆる、都市伝説というものだ。
幻空帖というのは、数年前からブログとして存在していたらしい。
管理人の咲希という自分を蝶々と呼ぶ少女が、不思議な【仕事】について書いていたブログだったという。
それがいつからか、【幻空帖・木野子館】というオカルトまがいの相談を受けるHPになった、ということだ。
【幻空帖】というブログは今でもあるらしいが、【木野子館】の管理人は【色】という組織に移ったらしい。
昨日はあまり眠れなかった。
私は誰も居ない駅までの道を歩いている。
今は AM:6:53
家から学校までは電車通学のため、早めに出ないといけない。
考え事をしながら歩いていると、いつもよりとても早く学校に着いた気がした。
校門を見てみると―――――――
いた。
小柄な女の子。昨日の電話の女の子だ。時計を見ると、AM:7:21
昨日の電話の時のように、意を決して校門まで小走りで行った。
「お早う 大西さん 」
また吃驚だ。
この子、すごい美人。
私はこんな美少女見たこと無い。
私の名前を知っていたから、知り合いかと思ったけど―――――――
こんな美少女、忘れるはずがない。
まずポニーテールにした髪は若干癖毛だけど、すごく綺麗だし、目鼻立ちは日本人離れしている。
服装は―――――
まぁウチの学校の制服なんだけど・・・・・
着崩しすぎ。
白のブラウスは黒いのにかえてるし、ネクタイも赤×黒のしましまで違う。スカートは赤いヤツでそのままだけど、短め。靴は短いブーツで七分丈のスパッツ。
お洒落だけど、すでに制服じゃない。このまま新宿とかに行けそう。
訂正。
この格好のこの人を忘れられる人はいない。
「じゃあ 行こうか 」
女の子はニッコリ笑うと、ずんずん歩いていく。
「えっ・・・・ちょ !!」
女の子は、閉まっている校門の前で止まると、それをヒョイと(!)飛び越えた。そのまま門を開ける機械を操作して、門を開ける。
ちなみに、この機械は教職員しか触ってはいけない。
私は女の子の手馴れた手つきを目を丸くして見ながら、門を通った。門は私の後ろで閉まる。
やばいんじゃないのかコレ。
もう一度言うが、この機械は教職員しか触ってはいけない。生徒なんて、もってのほかである。
どこをどう通ってきたのか分からない。
ちなみに今は地下。(たぶん)
だいぶ深く潜ったから。
あれ?上がったのか?
「はい いらっしゃい」
息をのんだ。
学校のどこにこんな部屋があるんだろう。
なんかSFの研究所っぽい。
そういえば、ここまでの道もそれっぽかった。
宇宙船?
「サキさん 連れてきました 」
サキ?
誰だっけ。
現れたのは、白衣の、眼鏡と切りそろえた前髪が清楚な女性。美人。
「始めまして 蝶々の咲希です 」
ここで思い出した。
元祖幻空帖ブログの蝶々咲希。あと、留守録の声の人。
「このたびは、【幻空帖・木野子館】をご利用いただき、ありがとうございます 大西アリサさん 」
しばらくして。
私は都市伝説の人が、こんなところで出てくると思わなかったので吃驚だ。
はぁあぁあああぁぁ・・・・・
思わず溜息が出る。それも特大。
「ほんとはね、ここに依頼者呼んじゃだめなのよ でもココの生徒だってことでねぇ 」
咲希さんは紅茶をすすりながら、ニコニコと言った。
「私ね、ここの理事長の弟子なのよ〜 」
「へぇ・・・・理事長って弟子なんかいたんだ 」
これも吃驚。理事長はかつて、この学校付属大学のエライ教授だったと聞いたことがあったけど。ていうか、今の時代に弟子なんて取るんだ。
「弟子だから、学校を使わせて貰えるんですね 」
「違うって それはあの子が――――」
咲希さんは、自分の分の紅茶を淹れている、女の子をさした。
「―――理事長の孫だからよ 」
思わず、カップをを落としそうになる。
そんなマンガみたいのあり?
同時に笑いがこみ上げてきた。それをかみ殺して聞く。
「なんでこんな相談を?」
大事なことならいい。そう付け足した。が、案外あっさり答えてくれる。
「それは、私が【色】の下っ端から昇進したから 」
納得。まったく分からないけど、納得。そんな感じ。
「それよりも、大西さん 吸血鬼なんだって?」
グサリ
なにかが突き刺さった感じ。そんなサラリと言わないでほしい。ヘタしたら、私の人生が変わるかもしれないんだ。
「大丈夫よ なんとかなるモンだし 」
現在進行形で大丈夫じゃない。
今度は視界が揺らいできた。
「私らもなんとかなったし」
なんとかって――――――はぁ?
「私もね、自分が蝶々の妖って知ったのは丁度大西さんと同い年なのよ」
アヤカシ ?
「あ、見たい?羽 」
キラキラした目で咲希さんは立ち上がると、クルッと一回転した。
まただ。吃驚。
咲希さんの髪と瞳は黒から、オパールの様な七色になった。そして背中には大きな蝶々の羽。
綺麗。
その一言に尽きる。
見とれていると、いつのまにか咲希さんの姿はもとに戻っていた。
「どう?綺麗でしょ」
その後、私はいつもどうり登校した。冷静になってみると、あれは夢だったんじゃないかと思えてくる。
今日はほとんど上の空だった。
「あ、アリサ 不登校生今日は来てるよ めずらし〜 」
親友のその言葉で、不登校生に目を向けた。
今日はいったい幾つ吃驚したんだろう。
幻空帖・木野子館では、皆様の御相談をお待ちしております・・・・by蝶々と不登校少女。
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