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天本博士の怪奇な生活
作:坂田火魯志



第四十四話


                第四十四話  汚物は消毒だ!
「ははは、よいぞよいぞ」
 モンスター達を放った博士は実に上機嫌であった。
「汚物は消毒できるしモンスターは強くなる」
「餌ですか」
「その通りじゃ」
 小田切君に満面の笑みで答える。
「丁度よいではないか。無駄な人口は増えん方がいい」
「無駄な人口って」
「屑は一匹残らず消しても構わんじゃろう」
「うわああああーーーーーーっ!」
 目の前でカツアゲをしようとしていた不良達が逆にコオロギのモンスターに食われていた。
「た、助けてくれーーーーーっ!」
「し、死ぬーーーーーーーーっ!」
「いい響きじゃ」
 コオロギが生身のまま不良達を食べ咀嚼音や骨や腱が切れて砕ける音を聞いて博士は至って満足な顔を見せていた。
「見よ、ゴミが今処分されておる」
「あの、生きたまま食べられていますよ」
「うわああああああーーーーーっ!」
「これでコオロギがパワーアップできる」
 断末魔の叫びなぞ何処吹く風であった。
「これを改造してな」
「はあ」
 どうやら結局改造するつもりらしい。
「メカコオロギにするのじゃ」
「つまりあれですね」
 小田切君はそれを聞いて博士の考えを察してきた。
「サイボーグモンスターにすると」
「うむ」
 博士もその言葉に頷いてきた。
「どうじゃ、それで」
「そのサイボーグは人食うんですか」
「いや」
 その問いには首を横に振ってきた。
「そんなものがなくともずっと動けるようにするぞ」
「そうなんですか」
「核エンジン、いやブラックホールをエンジンとしてな。頭脳は残して」
「つまり凶暴さは残ると」
「左様左様」
「左様左様って博士」
 結局大した変わりはないどころかさらに悪質になると知って小田切君はまた声をかけた。
「そんなことしたら」
「大丈夫じゃ」
「全然信用できません」
「今度は人を食ったりはせん」
「そういう問題を越えてるでしょ」
 小田切君はすぐにクレームをつけてきた。
「無限稼動で凶暴って」
「面白いではないか」
「ですからそういう問題じゃ」
「まあ見ておれ」
 安心するがいいと言わんばかりの顔と声であった。既にコオロギは今度は痴漢を食べていた。
「こいつ本当にコオロギか!」
 痴漢のおっさんは巨大なコオロギに襲われながら叫んでいた。
「そもそもコオロギは・・・・・・うわーーーーーーーっ!」
「どうなるやら」
 食われていく痴漢のおっさんの叫び声を聞きながら小田切君はこれからのことを不安に感じずにはいられなかった。とりあえずその前では頭からバリバリと食べられていくおっさんとそれを見て狂気の高笑いを浮かべる博士がいた。


第四十四話   完


 
                2006・12・18







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