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天本博士の怪奇な生活
作:坂田火魯志



第四十三話


                第四十三話  上陸作戦
 意気揚々と現実世界に戻って来た博士、だが出迎えなぞ誰もいなかった。
「何じゃ、詰まらん」
「出迎えっていつもだと警官隊ですよ」
「その時こそカードの出番ではないか」
 博士は憮然として言う。
「いっちょ軽く蹴散らしてだな」
「そんなのだから国際的にテロリスト扱いされて普通の方法じゃ入国できないんでしょ」
 だからいつも国境を無理矢理突破するか変装するか密入国して他の国に無断で出入りしているのである。これが犯罪であるのは言うまでもない。しかも国際的な犯罪行為である。
「違いますか」
「器が小さいのう」 
 博士は小田切君の言葉にあらためて嘆息してみせた。
「そんなことでいちいち目くじら立てんでもな。些細なことじゃ」
「博士今までのそうした他の国への出入国何回ですか?」
「百回から先は覚えておらぬ」
「だからですよ」
 その件だけで少なくとも百回以上は犯罪を犯しているということである。
「全く。それで出迎えなしだと言われても」
「詰まらんのう。全く日本の警察というのは」
「それでどうするんですか?」
 小田切君は問う。
「契約したモンスター達は」
「実はいいことを考えておる」
「今度はどんな破壊行為ですか?」
「まあそう言うな」
 結局よからぬことであろうことは簡単に想像がつくことではある。
「まずはな」
「ええ」
「国の掃除じゃ」
「掃除!?」
「左様。どうしようもない連中をな。モンスターの餌食にしてじゃ」
「それじゃあこの前と一緒じゃないですか」
 話を聞くだけでとんでもないことだとわかる。
「この前チンピラに半死半生の大怪我負わせてもまだ」
「じゃからじゃ」
 博士はそこで言う。
「今度は半死半生でなくてじゃな」
「博士、ひょっとしてそれでまた何か別のことを考えていませんか?」
 小田切君は問う。
「国中のゴロツキやチンピラをモンスターの餌食にしていって」
「モンスターは人を食うとパワーアップする」
「やっぱり」
「まあ話はそれからじゃな。それでは」
「結局やるんですか」
「ゴミを始末するのはよいことじゃろう」
「どうしようもないのもいますからね」
「そういうのを選ぶからな。時たま巻き添えも出るかもな」
「えっ」
 聞き捨てならない言葉であった。
「今何て」
「まあちょっとは覚悟しておいてくれ」
「洒落になりませんよ、それって。うわあ!」
「さあ行けモンスター達よ!」
 小田切君の制止なぞものともせずモンスター達を解き放つ。
「ゴミ掃除じゃ!」
 本当に日本中にモンスターを放ってしまった。最早完全に何処ぞの頭のおかしい科学者であった。


第四十三話   完


                 2006・12・14







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