ザーザー
今日は、朝から雨が降っていた
しかも・・・ドシャ降りである
空は真っ黒な雲で覆われてしまっている
なんで大事な時に雨って降るんやろか
神様って意地悪やなぁ
平次とのデートやって日に降らさんともええやないか・・・
そう、今日は平次と和葉のデートの日だったのだ
「・・止まへんな。」
「・・そうやな。」
雨だから、ということだろうか
それとも、デートに行けないという悲しさからだろうか
二人はいつもの元気を出せずにいた
お互いの予定を変更しながら
このデートの計画を立てていたので
二人共、がっかりしていた
一日中、遊園地で遊ぼうと思ってたのに
さすがに雨の中、遊園地ではお互い風邪を引くだろう
「はぁ・・なんでやろ。」
平次は、ベットに腰をかけた
和葉はその場にペタンと座り込んだ
平次の部屋にずっとぐーたらしてるのなんて嫌や
本当に、行きたかったのに・・・
もっと素直になれたら、ここで言っていたのだろうか
『何で雨なんて降るんやろ、せっかくのデートなのにな
平次と行けるって楽しみにしてたんやで、私・・・・・』
言ってしまおうか
けど、やはり恥ずかしい
素直になれない自分がこんなにもどかしいと思ったのはいつ振りやろか
和葉は、ザーザーと降る雨の音に、正直ウンザリしていた
濡れている窓ガラスに映る自分の顔
可愛くないなぁ・・・私
とてもゆがんでいた自分の顔に、吹きだしてしまった
「何やねん、気持ち悪いやないか。」
「だって・・・ガラス見てやぁ。」
「アハハハハ!何やねん、えらいブッサイクやなぁ。」
「な・・そこまで笑うことないやないか!」
やっといつもの二人らしくなったというところだろうか
少しずつ、弱くなる雨と裏腹に
少しずつ、元気になっていく二人がいた
そんな中、平次が和葉に微笑みかけた
「・・・今度は、晴れた時に行こうな!」
「え・・?」
「だから・・・デートや!」
「・・・うん!」
ポツポツ・・
段々と聞こえなくなる雨の音
気がつくと、雨は止んでいて
黒い雲はどこかに行ってしまい、青い空が顔を出した
なんて綺麗な空なんだろう・・・・
「平次・・あれ見てぇ。」
「え・・・?」
和葉は空を指した
空には綺麗な虹が出ていた
平次はすぐに立ち上がり、窓まで歩いた
二人はしばらく見とれていた・・・
平次は和葉の頭をくしゃくしゃに撫でた
和葉は怒ろうと思ったが、虹を見ていたらそんな気持ちも和らいだ
・・とっても温かいなぁ
「綺麗やな、平次。」
「・・・和葉。」
「何や?」
「また、見ような。」
「何を?」
「二人で、虹見ような!」
「・・・うん!」
平次は近くにあった、上着を羽織った
和葉は虹に見とれている
「行くで、和葉。」
「へ?」
「デートや!晴れたんやから行かへん?」
「・・・・喜んで!」
和葉は待ってぇなぁ〜と平次を追いかけた
平次は先に、玄関から出て行った
和葉は、顔を真っ赤にしながら平次の手に自分の手を近づけた
平次は和葉の手に気づいたのか、ギュッと握った
細いけど骨ばった男の子の手に、和葉はドキドキしていた
幸せやで・・・平次
「なぁ、和葉。虹も綺麗やけど・・雨の後って色んなもんが綺麗やな。」
「うん!水溜りも、太陽の光でキラキラしてるで!」
「ああ、葉っぱについとる雫もピカピカしてるで。」
「けど・・・一番綺麗なんは。」
和葉は上を見て、指を指した
「な、綺麗やろ?」
「ああ・・綺麗やな。」
「ほな、早ぉ行こう!」
「ああ、そやな!」
二人は手を繋ぎながら、真っ直ぐ続く道を走った
「なぁ・・和葉。」
「何や?」
平次は突然立ち止まり、繋いだ手を離した
和葉は悲しい顔をする
・・・やっぱ、手ぇ繋ぐの嫌やったかな??
「・・・。」
ギュッ
平次は和葉を強い力で抱き寄せた
ドキドキドキドキ
あかん・・こんな近づいたら心臓の音・・聞こえてしまう
しかし、平次の胸からも
ドキドキドキドキ
・・・平次の鼓動が聞こえる
「俺、和葉のこと好きやで。」
「平次・・・。」
「今まで・・・素直になれなかったんや。」
「私もやで・・・平次。」
「何や・・・俺たち、やっぱ兄弟みたいやな。」
「な・・何よそれ・・。」
平次は甘い口付けで和葉の口を塞ぐ
唇から伝わる思い
それは“愛”だった
雨上がりの空の下、二人は幸せそうに微笑んだ
そして、また手を繋いで走り出した
希望に満ち溢れた笑顔で――――
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