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放課後
作:みゅこと



北風


冷たい風が桃子の頬をなでる。
雨の日が続いた後、急に冷え込んできた。

彼女は首をすぼめて足早に歩いていた。
今日も担任の園田先生に、例の「居残り。」を言い渡されたのだ。

「説教が長いんだから。」
桃子は愚痴りながら、薄暗くなった通りの路地を曲がった。
マンションの2軒隣に建っている喫茶店の前を通り過ぎようとしたが-----。
見知った顔が目の端をかすめ足を止める。
その二人を確認し、思わず看板の陰に隠れる。

桃子は驚いてその二人を盗み見た。
およそツーショット等思いつかない二人だったのである。
「お父さん・・・・・と、なんで武田せんせい?」
一瞬、自分の学校態度について先生が訪問しに来てるのかと思ったのだが。
それならば担任の園田が来るはずだろう、それに・・・・・。

武田先生と父はなにやら親密に話をしている。
そうだ・・・・・昔からの知り合いのような。

桃子は寒いのも忘れて二人の様子を窺っていた。
(声が聞ければいいのに。)
中に入ったら気づかれてしまうだろう。
どうしようか、と迷っていると父が何か怒ったように叫びながら席を立ち上がった。
先生は悲しそうな、けれど真摯な目で父を見ていた。
父は興奮をおさめる為に一呼吸おくと、あの何も見ていないような目になり先生に何か呟いた。
先生は何か言いたそうにしたがそのまま口を紡ぐ。

父がこちらに顔を向けたので、慌てて顔を引っ込める。
急いで隣のビルとの隙間に身を潜める。
(隠れることはないんだった。)
見てはいけないものを見たような気がして、思わず隠れてしまった。

カラン とドアが開く音がした。
そのまま父は反対の方に歩いて行ったようだった。

ホッ。
桃子が胸を撫で下ろしていると、「相川さん。」
突然背後から声を掛けられ、心臓が跳ね上がった。
じっと身を潜めてる桃子を見て、彼は目を丸くしている。
「奇遇ですね、先生。」
桃子はなるべく自然な様子で(行動がすでに不自然なのだが。)武田先生に声をかけた。
「どうしたんですか?こんな所で。」
そんな飄々とした態度の桃子を見て先生は困ったような笑顔を見せた。
「相川さんこそそんな所で何してるんですか?」
「家に帰る途中です。」
「もう暗くなってきてるのに、女の子がこんな所にいたら危ないですよ。」
先生は本当に心配そうな顔をしたので、ちょっと胃が締め付けられたようなった。

(どうせ、のぞき見してたのばれてるんだろうな。)
桃子はひとつ息を吐いた。
「先生と父が話しているの見かけて気になったので見てたんです。」
「そうですか。」
先生は少し目を伏せて、どう話そうかと迷っているようだった。

ビルの隙間から寒い風が通り過ぎる。
先生の少し癖のついた髪がフワリと踊る。
「ちょっと入りましょうか。」
「はい。」
彼は先程出たばかりのドアのノブをゆっくりと回したのだった。






















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