都内上空に、数個の光りの玉が浮遊していた。その光りの一つが、地上を歩く一人の少年に近付いた。
サー──光りの玉が少年に取り憑き、白い砂を出した。
少年はそれに気付き、後ろを振り向いた。
すると、白い砂から明らかに人間では無い者の上半身が現れ、その上に下半身が現れた。
そいつは、少年に向かってこう言う。
「お前の望みを言え。どんな願いも叶えてやる」
その言葉に少年が驚くのを無視してそいつは続ける。
「お前が払う代償はたった一つ・・・」
都立電王高等学校の校舎の裏に、世界一とても可愛い髪の長い少女はいた。
「先輩!」
そう言ってやって来たのは、少女より少し背の低い少年だった。
「金、ちゃんと持って来たか?」
と、少女は少年に手を差し出した。
しかし、少年は少女の手を払い、首を横に降った。
「先輩、どうして僕からお金を取るの!?
僕、先輩にお金渡すのなんて嫌だよ!」
ガバッ!──少女は少年の胸倉を掴んで引っ張った。
「てめぇ、5万持って来る約束だろ!何で守れねえんだ!?」
「放してよ?」
「じゃあ明日持って来るか?」
「嫌だっ、あげないよ!」
「そうか・・・」
少女はそう呟くと、少年を放し、顔面に拳を放った。
ガスンッ!──少年の頬に少女の拳がヒット。少年は怯んだ。
「持って来いチビ!」
少女はそう言って、少年の腹にキックをした。
「うっ!」
少年は呻き声をあげると、後方に吹っ飛んだ。
「やめてよ先輩!」
少年がそう言って立ち上がると、体から砂が溢れ出した。
「えっ?」
少女は砂を凝視した。
すると、少年から溢れ出る砂から、コウモリ型の怪物、バットイマジンが現れた。
それと共に、少年は驚いて気を失った。
「こいつは俺の契約者でな。好き勝手やられちゃ困るんだよ」
バットイマジンはそう言って、少女に襲い掛かった。
ブンッ!──少女はバットイマジンに殴り飛ばされた。
「うわああああっ!」
少女は悲鳴をあげ、手足を動かしながら宙を舞い、ドカッと地面に墜落した。
「痛っ、お前何なんだよっ!?コスプレマニアのボディガードか?」
「お前には関係無い事だ」
そう言ってバットイマジンは、少女に歩み寄った。
「悪いがお前には消えて貰うぞ」
と、バットイマジンは踏み付け様とした。
が、しかし、少女はバットイマジンの足を両手でガードし、それを放り投げた。
「ううぉっ、とっとっと・・・」
バットイマジンはバランスを崩し、バタッと倒れた。
「よせよコウモリ!」
少女はそう言うとすっくと立ち上がり、髪を逆立て、瞳を赤く染めた。
「俺っ、参上!」
少女はファイティングポーズを決めた。
「掛かって来いよ?俺が相手んなってやるぜ!」
少女はそう言って、手招きをした。
しかし、バットイマジンは、起き上がると直ぐに、倒れて気絶している少年の下に行き、抱えて去って行った。
「おいっ、待てこら!」
と、その時、頭の中で声が響いた。
『お前誰だ?私から出てけ!』
その言葉と共に、少女の体から光体が飛び出し、それが上半身と下半身が分かれた怪物になった。
「お、お前、俺を追い出すなんて、一体何者だ?」
怪物は驚きながらもそう訊ねる。
少女は人指し指を天に掲げ、
「お祖父さんが言っていた。
天の道を往き、未だ来ぬ平和な世界を掴む少女・・・私の名は、天道 未来、と」
「名前なんか聞いて無ぇ!何で俺を抑えられるのかを聞いてるんだ!」
しかし、未来はシカトして歩き出した。
バサッ─怪物、イマジンは未来に踏み潰され、砂になってしまった。
「待って」
と、未来を呼び留める声が背後からした。
未来はその声に振り向いた。
すると突然、目の前に線路が出現し、電車らしき物体が現れ、中から成人女性が降りて来た。
「私、ハナ。あなたみたいな人、ずっと捜してたんだよね」
自らをハナと名乗る女性は、カードケースの様なものを取り出し、未来に渡した。
それを受け取った未来は、「何だこれ?」
と、訊ねる。
「ライダーパスよ。それを使って、電王に変身してあの怪物を倒すのよ」
「いま・じん?」
そう言って未来が首を傾げると、
「俺みたいなのをイマジンと言うんだ」
と、先程踏み潰されたイマジンが復活して言った。
「て言うか、こいつ何者なんだ?俺の事追い出したぞ?」
「特異点よ」
ハナはイマジンに言った。
「何っ、特異点だとぉっ!?かあっ、俺はこんな厄介な奴に憑いちまったってか!」
と、頭を抱え込むイマジン。
「どうでも良いけど、電王って何だよ?」
「説明がまだだったわね。
電王と言うのは、時の運行を変えんとするイマジンからそれを守り、イマジンを倒す者よ。言ってみれば、正義の味方って所ね」
「それで?私にその電王をやれってのか?」
ハナは頷く。
「嫌だね!何が正義だ?そんな面倒な事、やってられっかよ!」
「何言ってんのっ!?イマジンを放っておいたら、この世界は滅茶苦茶になっちゃうのよっ!?もしかすると、あなたも消えるかもしれない」
「言ってる意味が解らん」
「歴史が変わるって事よ」
成る程──未来は理解した。
「要するに、イマなんとかって言う怪物がタイムトラベルをして歴史を変えてしまうって事か?」
「そうよ」
「けど、どうやってタイムトラベルを?」
「デンライナーを使うのよ」
ハナはそう言って、電車を指差した。
「時間が無いの。さっきのイマジン、あの子との契約を成立させてしまうわ。そうなる前に倒さないと・・・」
「どうでも良いがお前、望みを言え!」
そう言ったのは、イマジンだった。
「望み?」
「ああ、どんな願いでも叶えてやる」
「ダメよ言っちゃ!」
「言わねえよ。願いなんて無いし」
ちっ──イマジンは舌打ちをした。
「ん?」
と、妙な動きをするイマジンに、未来は訊ねた。
「どうした?」
「来たぜ。イマジンの臭いだ」
「それ、あんたの臭いじゃねえの?」
「違うっ、さっきのコウモリ野郎だ!」
「どっちだっ!?」
未来はそうイマジンに訊ねた。
「こっちだ!」
イマジンは校外へ向かった。
未来はライダーパスをスカートのポケットにしまうと、イマジンの後を追った。
未来が校外に出ると、バットイマジンが少女を襲っていた。
「心!」
未来はそう叫ぶと、バットイマジンに襲い掛かった。
「やめろ!」
と、飛び蹴りを放つ未来。
しかし、バットイマジンはそれをかわした。
ちっ──未来は舌打ちをすると、ポケットからライダーパスを取り出した。
「お前、これの使い方解るか?」
未来はイマジンに訊いたが、
「知らねえよ!」
と、彼は言う。
「そうか。ま、何とかなんだろ」
未来はそう言って、適当にポーズを取った。
すると、腰にベルトが出現した。
「変身!」
未来はライダーパスをベルトにセタッチ。電王・プラットフォームに変身した。
「何だこれっ!?」
と、驚く電王。
「ほぉ、電王か」
バットイマジンはそう口にすると、電王に襲い掛かった。
「俺の邪魔をするなら殺してやる!」
と、バットイマジンは先手攻撃をした。
ブンッ!──バットイマジンの拳がヒットし、電王は宙を舞った。
「ええいっ、俺と代われ!」
イマジンはそう言いながら、電王に駆け寄った。
「代われったって、どうやって代わるんだよっ!?」
電王がそう訊ねると、どこからともなくハナが現れ、
「ベルトの赤いボタンを押してイマジンの力を取り込むのよ!」
(ベルトの赤いボタン?)
電王はベルトを調べた。
(これかっ!?)
電王は四つのボタンを見付けると、一番上の赤いボタンを押し、ライダーパスをセタッチ。
パラララパラララ──音楽が流れ、
「Sword form」
その瞬間、イマジンが電王の体内に入り込み、アーマーが出現。電王はソードフォームに移行した。
「俺っ、再び参上!」
電王はファイティングポーズを決めた。
「貴様、どう言うつもりだ?我々の使命を忘れたのか?」
その問いに電王は、
「使命?忘れたね。て言うか、そんなの最初っから覚えて無えよ。それに、俺はこう言うのがやりたかったんだ!」
電王はそう言うと、武器を組み立て、ソード状にした。
「行くぜぇ!」
電王はバットイマジンに駆け寄ると、デンガッシャーを振り回した。
ビュンッ!──デンガッシャーが風を切る、が、バットイマジンにはかすりもしない。
『バカッ、ちゃんと狙え!』
と、電王の頭の中で未来の声が響く。
「五月蝿ぇっ、俺の頭の中で叫ぶな!」
電王はそう言うと、再びバットイマジンに切り掛かる。
ズバッ!──バットイマジンの羽が切り裂かれた。
「おまけだ!」
電王はそう言って、ライダーパスをセタッチ。放り投げた。
「Full charge」
「俺の必殺技、Part one!」
その瞬間、デンガッシャーの先っぽが空中に飛び出し静止する。
「喰らえぇ!」
電王はデンガッシャーを一気に振り下ろし、バットイマジンを叩き斬った。
次の瞬間、バットイマジンは物凄い爆音と共に爆裂霧散した。
電王は、変身を解除すると、未来に戻った。
「ふう、終わった・・・」
と、呟く未来。
「さ、次行くわよ」
ハナはそう言うと、デンライナーが現れ、それに乗り込んだ。
「何してるの?発車するわよ」
ハナはそう言って、未来に手を差し伸べる。
「おう!」
未来はそう発すると、ハナの手を掴んだ。
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