5-えっ、飲み込んだ−1
タムラ先生 夜間外来N
5. えっ飲み込んだ・・・! 2―1
「えっうそー・・・」
「ない、ない、ないぞー」
「おい、香奈どこにやった?」
「知ぃらない・・・」「知らないよー・・だ?」
「だって、さっきお前・・・・」
「だから知らないって・・・言ってる、でしょ!」
「どこにやったんだよ!」
「食べちゃった!」
「食べちゃったって、お前・・・」
「本当だもん!!」
「本当か?」
香奈は、そこに光る何かを見つけた。
ソファーに落ちていたダイヤのイヤリングの片方。
腰掛けた時、見つけたのだ。
明らかに、自分の物でないものを!
それから、涼の部屋での喧嘩、涼は知らないと シラヲキル!
そんな時、涼の携帯が、ルルルゥー、ルン ルルルゥー、ルン と鳴る。
涼、あわてて携帯を持って、トイレに直行。
何も無かったように、香奈の前に現れる。じっと見つめる、香奈
「本当に、食べたのか?」
「私は、うそは言いません!」「貴方みたいに!」
「いつ俺がうそ、言った?」
「さっき!」
「あれはー・・・!」
「貴方は、いつもうそつきー! よ!」
「おまえだって・・・」
「えっ、私・・」
「いや、ちがう、ごめん、俺が悪かった!」
「何であやまるのよ!」
「だって、怒ってる、し・・・」
「怒ってなんか? そう、貴方今日、あの娘と・・・」
「ごめん、謝る、だから返して?」
「だから、食べちゃったって!」
その間に香奈は、そのイヤリングを飲み込んでしまったのだ。
悔しさのあまり、後のことを考えずに、
そして、今香奈は心の中で、その後どうなるか、少し心配し始めている。
一体、どうやって取り出すのか考える余裕も無く。
とにかく悔しさのあまり飲み込んだ。
そのイヤリングはかなり大きめ、おそらく、
100万円ぐらいするだろう、片方で。
「あれ、硬いぞ、硬い、すごく硬い!」
「だから、飲み込んだって言ってるでしょ!」
「本当に?」
「本当に、本当よ!」
「あれ、今日持って行かなくちゃあー、怒られる!」
「誰に? 誰に、よ!」
涼のその女は、片方のイヤリングを、無くした事に気づき電話して来たのだ。
「ごめん、本当にごめん。」
「今日で、別れる、あのイヤリング返しに行って!」
「本当に、食べちゃったもん。」
「本当に食べたら、死んでしまうぞ!」
「えっ、どうして?」
「胃がふさがってしまい、食べ物や、飲み物詰まってしまうぞ!」
「本当、香奈死にたく無いよー!」
「香奈、死にたく無いよー」
「涼助けて、助けてよー!」
それから、二人はいろいろ考えて救急外来に電話をする事になった。
「はい救急外来です!」
「えっ、飲み込んだ!」「イヤリングを!」
「誰が、子供ですか、違う・・・ どうして?」
「少し、お待ちください!」
麗奈は、タムラ先生に連絡
「イヤリングを飲んだって、何だって、大人22歳女!」
「一体どうなっているんだ、どうして大人が?」
「誤飲じゃないんだろ!」「断れ、そんな馬鹿女!!」
「はい、でも・・・、いいんですか・・・断って!」
「勝手にしろ、・・・で、どこから来るんだ?」
「はい、ナースセンターからです。」
「どういう事だ!」
「心配らしく、既にやって来てしまったようです。」
「まったく・・・!」
麗奈はタムラ先生の性格を知り尽くしているので、
二人を連れて第二外来に降りていった。すると案の定、
タムラ先生は既にエレベーターから出てくるところだった。
急いで、診察室の鍵を開け、照明を付けた。二人もぞろぞろついて来る。
タムラ先生、一応聞く
「イヤリング、飲み込んだって!」
「はい、・・・
「何時頃だ!」
「二時間位前です。」
「そんなもん・・・」
「お前ら二人を見ればわかるか・・・」
「実は・・・」
「実は、もへったくれもない!」
「馬鹿か・・! ・・・で、大きさは?」
「これくらい!・・です!」と、指で大きさを示す。
「直径1.5Cmぐらいか?」
「はい!」涼が小さな声でぽつんと一言
「単純な形か」
「いえ、中心にダイヤ、その回りにマツムシソウみたいに、
回りがひらひら、広がっています。」
しばらく思案中のタムラ先生、考えがまとまると、麗奈に
「おい、レントゲン技師いるか?」
「いえ、今日はいません。」
「どうしてだ?」
「毎日、技師を置いて置くほどこの病院、経営が楽ではありません。」
「それもそうだな!」納得のタムラ先生
「それで、鍵はあるのか?」
「はい、ナースセンターに予備の鍵が・・・」
「では、持って来させろ!」
「いいえ、ナースそんなに暇人、おりませんので!」
「私が取ってまいります。」
と言って、素早く階段を駆け上がっていった。
女性に「なんで、そんな馬鹿な事したんだ。」
「だって 涼 浮気したんだもん!」
「俺は、浮気なんかしていない!」
「うそ、浮気した!」
「してない!」
「もう、いい・・そんな痴話喧嘩、他所でしろ!!」
「お前らの、浮気なんか、俺にはどうでもいい!!」
「すいません!」ほとんど同時に謝る。
「そんな事より、場合によっては、腹、開かなければ、ならなくなるぞ!!」
「えっ、うそ!」イヤダーそんな事。すかさず喚き散らす香奈。
「本当ですか?」心配そうな涼
「レントゲンで、チェックして診ないと、はっきりしないが、な?」
そこへ麗奈、鍵を持って来てレントゲン室のドアーを開け、蛍光灯を付ける。
「タムラ先生、レントゲン操作出来るんですか?」
「何とか成るだろう!」意外と楽観的
「麗奈君、お前は少しぐらい出来るだろう!」
「いえ、術中撮影のとき、何度か見ていましたけど?」
「それなら大丈夫だろう?」
「所で、君、妊娠していないか?」
「はい、多分?」
「生理は何時来た!」
「2日前です!」
「それじゃー、大丈夫だろう!」
タムラ先生は、メインスイッチをONにして、手際よく操作をしていく。
胃透視用の、テーブルに香奈を固定する。
香奈はかなり不安そう。
コントロールバーを、調節、胃の周辺に固定。
角度調節レバーを右に傾ける。すると患者が起き上がってくる。
ほぼ直角になった所で止める。
麗奈を、防護壁の外に誘導して、X線照射ボタンを押す。
タムラ先生は、モニター越しに食道の辺りから胃の辺りにX線照射を行い胃の中を確認。
そこにあった“ダイヤのイヤリング”が、かなりごちゃごちゃした感じで・・・、
少し困った顔のタムラ先生。
「ううん、これうまく消化管、通過できるかな?」
かなり困惑のタムラ先生。
「おい、もしかすると、本当に開腹しなければならないかな?」
「本当に、どうしよう?」困惑の涼
話の内容は香奈には聞こえない。
今日は、泊まって行ってもらおう!
暫らく様子を見ないと心配だ。
---- タムラ先生の夜間外来 5(2-1)-------
DrDr-----Fin----DrDr
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