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タムラ先生 夜間外来(改編)
作:浅見 希



3-釣られた青年? 釣れた・・・男!?  


タムラ先生 夜間(休日)外来(改編)
 
N−3. 釣られた青年? 釣れた・・・男!?
  
「痛いです・・ね!」「少し・・」
「えっ!」うそ・・?

 青年の顔に迫るペンチ、そう、電線や針金などを切るペンチが・・・
「何、何するんですかぁー?」
「切るんだよ!」
 「えっ!」
「そのまま、顔に“釣り針”付けて、目の上にピアス・・か?」
「え!」「イロオトコ!」「アイピアスか?」
 「まさかー?・・・・」
「早く取ってもらえませんか?」
「これから仕事なんですよ!」
「わかったよ!」
そう言いながら、再びペンチを顔面に近づける。 
驚く青年に、
「心配するな、針を切るのだ」
「ほかに方法があれば教えてくれ・・・、青年よ!」
「そうですね!」納得の青年
心配そうに見守る、一人の女性と小学生の男の子。
どうやら男の子が、池で釣りをして遊んでいたらしい。
そこで魚を釣らずに、近くで昼寝をしていた青年を釣ってしまったらしい。
困った男の子は釣り道具を放り投げ、家に一目散。
あいにく両親は留守だった。
そこで、近くのお姉さんが、男の子に手を引かれ連れて来られる。
その姉さんはなんと、麗奈、そう看護師の西川麗奈ではないか・・・ 
驚いたのは、タムラ先生と西川麗奈

しばし呆然の二人、青年と、男の子も頭の上で???

「えっ!」「どうして?」
「どうして君が?」
「先生こそ、どうして?」
「私は、先輩の代理だ!」
「君こそ、どうして?」
痛みでわれに返り、青年がぼやく
「あのー・・」「痛いんですが・・・・!!」
見捨てられた患者、先生と麗奈もわれに返り。
 「あっ!」「すまん、すまん・・・」
「あら、やだ・・・?」「痛そう・・・!!」
「釣られちゃったの? あなた?」
「意外と、いい男!!」見惚れる麗奈
「今、流行り?」「目にピアス!」
 「“目にピアス”じゃない!」
 「アイピアス」だ、とタムラ先生。
「上手ね! 先生」

「いい加減にしてくださいよ!」怒り出す青年。
「あ、そうだ、麗奈君!」
「ちょっと、手伝いたまえ!」
「でも・・・」
「こちらの看護師さんは?」
 「いま、昼飯だ!」
「そう・・・・」「じゃー、いいかな?」
「職場荒らしには、ならないか・・・?」

後ろを振り返ると、包交車(小手術が出来そうな器材が装備)が・・・
麗奈はまるで自分の仕事場のように、手際よく自分の手洗いを行う。
 普段見慣れぬ麗奈の私服(普段着)ピンクのブラウスに、
紺のジーンズのミニスカート
しばし、タムラ先生その後姿に見惚れて、
持っていたペンチを落としそうになり、われに返る。
 “やっぱり、いい女、ウエストのくびれライン、
形の整ったピンと上に向いた、少し大き目のおしり、
トップモデルに負けていない!もちろん!“
「うん、いい女だ!」つい声に出てしまう。
「そうですね?」青年も賛同、痛さも忘れ見惚れてしまう。
手洗いを終えて振り返る麗奈。

「どうしたんです? 二人とも?」
「あっ、うん、別に」タムラ先生
 「いえっ・・!」青年

もう一人、男の子 少し理解しているみたい、やはり男だ!

「先生、早く処置しましょう!」
 「うん、そうだな!」
タムラ先生、患者に向き直り、素早く釣り針を切る。
仕事に戻る先生の姿、どこの診察室でも様になる。
今度は、麗奈の目と、男の子の目、見惚れている。
 「消毒」いつもの先生の声に、素早く反応する麗奈
「はい」とセッシ(ピンセット)で消毒綿を手渡す。
同じく、セッシ(ピンセット)で受け取り、今まさに針が抜け、
真っ赤な血が滲み出た所を消毒。
膿盆(器材、等なんでも乗せるステンレス製のお皿)にセッシを投げ捨てて・・、

「・・・」黙って手を出す。
「・・・・」黙ってゲンタシン軟膏を、“へら”に付けて手渡す。
絶妙のコンビネーションは、どこにいても、どんな時も完璧。
 「ところで、青年?」
「君は、破傷風トキソイド、最近注射したか?」
「おっと、聞くのは野暮だな!」
「えっ?」青年一言
タムラ先生、麗奈に仕事熱視線、さすがの麗奈もそこまでは無理、
何と言っても、ここは初めて来た診察室。
 タムラ先生、ゆっくり立ち上がり、医薬品のありそうな場所をうろうろ、
ありかを求めて、奥の方へ消えてゆく。
その間に、麗奈は青年の傷口をガーゼ絆創膏で固定。
「“オトコマエ” もこれじゃー台無しね!」
「はい!」素早く青年。
 「ヤダー・・!」
 「そんな時は、社交辞令で、“いいえ”でしょう・・!」
「はい!」完全に操られる青年
 「そうです、そこは“ハイ”でいいでしょう!」
「あっ」「そうだ!」
「あなた、男の子のお母さんでしょ!」
 「いやだわー・・」「違うわよ!」
 「私、独身よ!!」
「じゃー、どうして?」
「隣の子供さんよ!」
「両親、留守!」
「私が、“看護師”だって、知っていて、呼ばれたんだわ?」
「そうですか、すいません!」
 「そうよ、すいませんよ、だわ!」
「だと、思った・・・」意気消沈な青年
 「思ったら、言わない方がいいわ!」
「すいません!」
 「あなた、すぐ謝るのね!」

そんな会話を暫らく魅入(魅了されて)っていた、この診察室の看護師が、
「あのぅ・・・? 先生は・・・」
 「あ、すいませんお邪魔しています!」
「あなたの仕事場に! 勝手に!」
「あっ、いえ・・先生・・は?」
 「“ハトキ”探しに行っているわ・・・」
そんな所に、タムラ先生、小さなオレンジ柄の箱を1箱持って、やって来た。
「あっ、先生、それストック!」
「冷蔵庫にあります開封したの・・・!」
「えっ、冷蔵庫」「どこに?」
 「ここです、先生!」
何と、カーテンの後ろに白い少し年季の入った冷蔵庫が、
すまなそうに鎮座しているではないか!
「そこにあったのですか冷蔵庫!」
「やはりここは他人の仕事場だわ!」麗奈ほとんど、独り言

また、ほっておかれる患者の青年
「あのー・・?」
「僕、これから仕事なんです・・」
「出来れば・・早く・・・」
 「おう、ごめんよ! 青年!」
「麗奈君、ハトキ 打ってやってくれ!」
 「でも、もう、こちらの看護師さんが・・・」
「別にかまわんだろー・・?」
「ゆー・・ ゆー んーん・・・何君だっけ?」
 「“有紗”ゆさ、ですわ・・・!!」
「先生 覚えてくださいよ!」
「美人さんしか、名前覚えてくれないんですもん!!」
「ごめん、ごめん」「なんか最近の娘、名前覚えるの、難しいよ!」
 「“麗奈”(レナ)さん、と言う名は、難しくないのですか?」

すかさず、きつい突っ込み、看護師は、返しが早い、
特に外科の看護師は、そして気も強い、機転も利く、
そうでないと緊急オペなど勤まらない。
看護師さんは“スーパーレディ”いや“超スーパーレディ”だ、
 
「それは・・・、もう、3年一緒だぞ!」
 「いえ、4年です・・・!」すかさず麗奈
「そうか、もうそんなになるか・・」
「先生、時間が・・・」いいかげん、痺れを切らした青年が怒り出す。
 「あっ、ごめんなさい!」
「えーと、有紗アリサさん」何とか必死で覚えた言葉
「薬、出しておいてくれ」
「はい、」
「それと、破傷風ハトキの説明文(以後の処置の事、等)」
「それと、消毒のことですね」今度は有紗がすばやく補う。

カルテに書かれた処方内容を処方箋に転記して、素早く青年にわたす、
「1日3回毎食後で、5日分です。」
「お大事に」
「あの、お会計は?」保険証を返してもらいながら、少し起こった感じで。
「会計は、今回、あの子供の親に請求します。」
 「青年よ、あの男の子、許してやってくれるか?」
「はい、それは、もー!」
 「私からも、御免なさい。」
 「お詫びに、食事でも奢るわ・・!」
積極的な麗奈に、少し不愉快なタムラ先生
「いや、僕が奢ってあげるよ!」
「そうだ、麗奈君 えーと、有紗も・・みんなで行こう。」
先生に、旨くまとめられてしまって、しっくりこない。
それぞれの思いの青年、麗奈、そして、有紗
麗奈は、抜け駆けして青年に携帯番号と、メアドを書いたメモを渡す。
急いでいる青年は、メモをもらってにっこり。急いで、診療所を後にした。

診察室で、じっとタムラ先生の仕事を見ていた男の子 
目がギンギンに光っていた。 
“僕も絶対、医者になる!”強い意志で、じっと立ちすくんでいた。
 
 25年後、立派な外科医が誕生している事を心から確信する、麗奈
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- ---- タムラ先生の夜間(休日)外来N− 3 --------

      DrDr――――Fin――――DrDr


ゲンタシン軟膏  :抗生物質外用 
破傷風トキソイド :破傷風の予防 免疫をつける 











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