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タムラ先生 夜間外来(改編)
作:浅見 希



13− 末期? 宣告 あと何年生きれる?-1


タムラ先生 夜間外来 
13 (3−1) 末期? 宣告 あと何年生きれる?
 

今日は居酒屋で呑む、呑む、飲みまくる。
彩魅あやみ一人でやけ酒か・・・

食べる、食べる、身体に悪いと思われる高級食材を毎日のように
しかし、食べられるのは、たいした量ではない。
もう胃が受けつけない、目で食するのだ。

医者からはっきり、言われたわけではないがおそらく癌だろう。
最近めっきり食欲がない。さほどついていない肉が削げていくのがわかる。
だるさもきつい、持続力もない、すべてに対して無気力になってしまった。

あとどれ程、生きれるのだろうか、不安だ、不安でしょうがない。
毎夜、寝れない、気が付くと朝になっている。
彼は知っているのだろうか?
当然知っているだろう、やけに最近やさしい、
時折、後ろからの目線が、痛く悲しく感じられる。
折角うまく行きだした二人の関係なのに、彼との交際これからだと言うのに、
もうあとどれくらい・・・一緒に・・・いられるのかな・・・?
あぁー、私の人生、あんなに頑張ったのに、仕事、仕事で、
気づいてみればもうこんな歳に・・・走り過ぎたかな・・?

涙もかれるほど泣いた、夜も昼も独りぼっちになって、
人目を気にしなくなると、夜が明け朝日が昇っても、泣いてしまう。
一人ぼっちで・・・・周りの目など気にせずに・・・
強かった自分、こんな事になるなんて、惨めさが、今おのれの心臓に突き刺さる。
そんな時、彼の慰めなどかえって邪魔、嬉しい筈なのに・・・
つい「帰って!」「帰って、よ!」と声に出してしまう、自分、
一体私は誰に、何処に、この悲しみを、この悩みを、
矛先は一番優しい彼に、愛する彼に、愛してくれる唯一の彼に・・・

傍にいてほしいのに、ずっと傍に居て欲しいのに・・・
声に出す言葉は、いつも反対の言葉ばかり、そんな自分に嫌気を・・・
後どれ程・・・彼と・、彼に・、彼が・、・・・
彼のぬくもりがほしいのに・・・、
今夜も・・・明日も、あさっても、ずうっと何時までも傍にいて!
帰ってほしくないのに・・・ 死にたくない!! シニタク!

精神状態も半端ではない、精神安定剤などほんの気休めだ。
何十錠飲んでも、たまに眠っていた自分を知る。
そんな時、少しほっとする彩魅。

酒におぼれて、我を忘れた患者が救急外来に・・・、
彼に付き添われて・・・
「診てください!」
「彼女が、お腹を押さえて、のたうち回っています。」
「痛がっています、お願いします。」

夜間外来受付で
「こちらの病院で、診てもらった事ありますか?」
「はい、あります。」
「入院していましたから!」
「そうですか、ではお名前を!」
「井村彩魅です。」
 「はい、わかりました。」
 「すぐに看護師を行かせます。」

麗奈は、看護学生実習時間を終わってほっとしていた葵を、
連れてナースセンターを飛び出す。
 今のご時勢、ナース不足は当たり前、当然暇にしていて使えそうな人間は、使われる。
 葵も今は、目一杯吸収したい事だらけ、多くの学生は時間ですぐに帰るのだが?
 あの夜の一件以来葵チャン目覚めた、早くちゃんとしたナースに、と・・・
 
「痛い、痛ぁーい」
彩魅うずくまり、うなる、もう声も・・・、額には脂汗がびっしょり。
「葵さん、早くストレッチャーに乗せましょう。」
そう言うのと同時ぐらいに、既に二人の手は動いてもう乗せ終わる。
一緒に来ていた彼は、遅ればせながら少し翳すだけ。
こんな時、男は頼りにならない。
特に、彼と呼ばれる人種は・・・・

第二外科外来に運び込まれる。殆ど、タムラ先生が入るのと同じくして 
少し遅れてカルテが運び込まれる、カルテ保管庫から・・・
この病院、まだ電子カルテの採用は見送り。
最近レントゲンフィルムの、電子保管がなされたばかりだ。

「井村さん、井村彩魅さんですね?」
 やっとの事で、苦痛に歪む顔を縦に振りながら、
「・・・は・・・い!」
「すこし、アルコールの臭いがしますね!」
「確か、禁止の筈ですよ!」無理な事わかっているが、一応言葉に・・・

そして、逃げ出すように強制的に自主退院してしまった事は、あえて口に出さず。
「今、一番痛い場所はどこです?」
腹部全体を指す、彩魅言葉にするのもつらい。

タムラ先生いつものように黙って右手を差し出す、
その手に手渡されるシリンジ(注射器)
アンプルの空瓶が注射針の上に被さる様に・・

葵 少し唖然、“どうして?”まだ何の指示も・・・と、言う顔で・・・
麗奈、目配せでカルテを指す、そこに主治医のコメントが
“緊急時 ペンタジン30mg 状況で塩酸モルヒネも”
納得の葵 少し不満気味、やっぱ麗奈さん・・・“スゴイ”

「注射しましょう!」
「井村さん、今日は帰れませんよ!」
頷く、彩魅
「ご飯食べられています?」
無理な事わかっていてもタムラ先生一応聞く。
「・・・」首を横に振る彩魅

麗奈、彩魅の腕に血圧計
タムラ先生聴診器を患者の心臓近くに当てる
「血圧、100 60 ・・・」麗奈 
ゆっくり聴診器を外し 
「点滴しましょう!」
 葵、目を左右に振り、目ぱちくり
「はやー・・!」

「血液検査至急だ!」
それと一緒に、黙って麗奈に点滴の指示内容の書いてあるメモを渡す。

“(1) ソリタT3 500ml
   ケーツー 10mg  1A
   ネオラミン3B   1A
   VC  500mg  1A
   ノイロトロピン特3 1A  
 ― ― ― ― ―
スルペラゾン  0.5g 1V
生食100ml     1V

(2) アミノフリード500ml
(3) ソリタT1 500ml
     ・ ・ ・ 
(4)  ソリタT3 500ml
・ ・ ・ 

麗奈と葵 ストレッチャーをエレベーターの前に移動
内線で麗奈、既に病室としてベッドメイキング済みの部屋、個室を確保

タムラ先生、付き添って来た男(彼氏と思われる男)呼び止め
「あなたは、井村さんとは?」
「はい、いずれは結婚しようと・・・」
「そうですか・・・?」
「で、彼女の事、どこまで・・・」
 「ですから、一応彼・・・」
・・・・・!!
少しイラつく、タムラ先生
「そうではなく、病状です!」
 「はー・・・」
「あなたのお名前は?」 
 「・・・・」

既に病室に彩魅を移し麗奈ナースセンターに戻り点滴の準備
遅れて、葵 
「麗奈さんと先生、おかしい!」
「何が?」
「だって、・・・」
 「だから、何が、よ!」
「だって、以心伝心 だもん!」
「麗奈先輩とタムラ先生!!」
 「慣れよ、それくらい・・・」
「じゃー、葵とタムラ先生も・・・」
 「出来るでしょ! すぐに!」
「本当、うれしい・・・」

---------タムラ先生夜間外来13(3−1)-----

DrDr――――Fin―――−−DrDr












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