11−えっ、胸が痛い、息が出来ない!
タムラ先生 夜間外来
11−えっ、胸が痛い、息が出来ない!
「なんで・・・、何で怒るのよ?」
黙ったままの、達也 ふてくされて無言
「・・・・」
「なんでよー?」
「別に・・・」
「やっぱ、怒ってる!」
「怒ってネエーよ!」
「じゃー、何で喋らないの?」
何とか取り繕うとする
「あの人は、ただの友達よ!」
少しやましい所のある葵
「じゃー、何で?」
「何で、会いに行ったの?」
「忘れ物があるって、言うから・・・」
「て、言うか何で知ってるの?」
「それは・・・!」
「もしかして、・・・」
「やだー、達也!」
そう言って、達也の胸の辺りを両手で押す・・
「うっ、痛ってー」蹲る達也
「大げさ! 達也・・」
「うっ・・・!」
「本当に痛いの?」
「そんなに強くしてない!」
「・・・・」
蹲ったままの達也に跪くと、呼吸が出来ないしぐさ
苦しいそぶりの達也、本当に苦しそう
異変に気づき、心配そうな葵は現在看護学生
先輩看護師に電話、相手は麗奈先輩
勤務時間中、携帯は持ち歩かない、電源もOFF。
携帯の微弱電波は患者の生命を脅かす、そのため病院内厳禁だ。
緊急で院内はPHSを使用している。
(PHSは医療機器には影響を与えない様な電波を使用している。)
葵は104に電話 麗奈の働く病院正確に覚えておらずかなり時間を食う。
やっと見つけて電話繋がるまで45分のタイムロス。
「あっ、葵さんどうしたの?」
「麗奈先輩、勤務中電話してすみません。」
「どうしたの?」
「実は・・・、達也が変なの!」
「どういうふうに?」
「急に痛がって!」
「何処が!」
「胸が、息をすると痛いって!」
「何時ごろから?」
「さっき、ふざけて達也の胸叩いたの!」
「そしたら、急に苦しいって! 息が出来ないって!」
「何時から?」
「だから、今!」
「今? ・・・ねえ?」
「確か、達也さんだっけ、痩せて背が高かったよね!」
「はい!」
「年は貴方と同じ?」
「いえ、2歳上で、23歳です。」
「どう言う事ですか?」
「彼、傍にいるでしょ?」
「はい・・・、」
「じゃー、彼に聞いて?」
「何時ごろからか、何時頃からその様な症状になったか?」
受話器の向こう側から聞こえる会話の内容で麗奈少し大きめの声で
「葵さん、葵さん、彼うちの病院、連れてきなさい!」
「早く!」叫ぶように
少し怪訝な葵だが
「はい」と答える、状況で急いだ方が良い事を察する。
麗奈、タムラ先生に自分の知り合いの後輩の彼が、
夜間外来に来ることを知らせる。
レントゲン技師に残ってもらうように頼むことも忘れない。
15分ほどして夜間外来の受付に達也と葵が到着、
歩くのも大変そうなので、葵出入り口の所の車椅子に達也を乗せる。
恥ずかしそうな達也だが、本当につらそうで素直に従う。
受付の内線で麗奈さんに連絡
「はい、救急外来!」
「あ、葵さん」
「今行くわ!」そう言って二人の前にすぐに現れる。
「つらそうね!」
麗奈、ナースセンターに連絡
「大川さん、悪いけどレントゲン室まで酸素マスク持って来て」
「了解です!」
麗奈は車椅子を手際よくレントゲン室まで押していく、
それに追いかけるように付いて来る葵
「すいません、タムラ先生からオーダー出ていると思いますが?」
「あ、はい、胸部 立位、座位それぞれ2方向 ですね?」
「患者さん中に入れて!」
すでに、患者の状況を麗奈の話から聞いて、オーダーしていたのだ。
そこへ大川看護師が酸素マスクを持って来て、
患者にマスクを取り付けている。
当然、レントゲン室に酸素のパイピングはある、
それを取り付けて大川看護師は、麗奈に一礼して出て行く。
「大川さん、ありがとう!」
大川看護師は手を上げて、わかった、の合図
看護師同士のコビネーションも抜群
レントゲン室から戻った麗奈 達也それと葵
タムラ先生、達也の胸に聴診器を当てる 少し慎重に
「息をゆっくり吸って、はい、吐いて」この作業が終わりかけた頃
外来のパソコンの32インチモニターに先ほどのXP画像が送られてくる。
それを見つめ、
「気胸だね」
「えっ、気胸」
「そう、胸腔内に空気がたまり、肺が瀕死の状態に、なる病気です。」
「達也君の原因はおそらく自然気胸でしょう!」
「でも、私、達也の胸叩いたよ!」
「麗奈くんの話では以前から症状あったみたいだね!」
「貴方が叩いたのはそれが、引きがねになっただけでしょう!」
「そうなんだ、良かった!」
「良かった、わたし、肋骨でも折ったのかと?」
「そう簡単には折れないよ!」
「入院!」
「えっ、」
「暫らく安静にして、いれば治るだろう?」
「それだけで・・・」
「胸腔穿刺といって、胸に管を挿して空気を抜く方法もあるが・・・」
「今の貴方の状況では、暫らく保存的で良いでしょう」
「ふー、良かった」安心の達也、胸に針だなんて痛そう・・・
「しかし、絶対安静だよ!」 釘をさすタムラ先生
「麗奈くん、胸部XP 毎日だ!」
「はい!」頷く麗奈
「後は頼む!」と言って当直室に直行
「では、達也君、行きましょう」
後に続く葵、タムラ先生に一目ぼれか?
「ほら、行くわよ!」
ボーっとしたままの葵に一言そして、目で睨む少しきつい目線で
「あ、はい・・」
「すいません!」小さな声で・・・頭を抱えながら
病室に入り、ほっとする二人に、
「レントゲンで良くならない様なら、胸に針を刺さなければならないわよ」
「トロッカーというチューブを胸から刺して 胸腔内に入れ、 穿刺脱気療法と言って
持続的に脱気を行い空気抜くの!」
「うっ、痛そう」達也酸素マスクの中から悲鳴の一言
「それより、葵さん あんまり達也君を心配させないの!」
二人の関係を見抜いている麗奈は少し葵に注意 それだけかな・・・・
何とこの葵、少し沢尻エリカに似ている、
だから周りの男からしょっちゅう声をかけられる。
そして、達也もかなりな美青年少し痩せすぎ、
胸厚がうすい、それが気胸になりやすいのだが?
しかし、麗奈も少し気になっている感じ?
やっぱり、麗奈はタムラ先生かな・・・・
そんなタムラ先生、当直室でくしゃみ、ひとつ、またひとつ
“やばい、もう花粉の季節か”
でも、今若者なんであんなに痩せてがりがり、あれじゃー?
気胸が多いわけだ、実は最近胸部痛で受診の患者、気胸が多すぎ
男も、おんなもダイエットか、食生活か・・ぼやきのタムラ先生
ベッドにすわり至福の一服、 大きく吸った煙、ゆっくり吐き出す!
あの、付き添いの娘誰かTVで見た気がするような、気は強そうだが、
カワイかったな、脚も綺麗だった
どうも、タムラ先生美脚に弱そう・・・・
きょう、まだ何件も患者ありそうだな 半ばあきらめの心境でベッドに横たわり
いつもの見慣れた夜景をボーっと見つめる
---- タムラ先生の夜間外来 11-------
DrDr---Fin----DrDr
概説
気胸とは 胸腔内に空気がたまり、肺が瀕死の状態になる病気です。
原因によって、
[1]自然 気胸、
[2] 外傷性 気胸、
[3] 医原性 気胸に分けられます。
1-自然 気胸は、気腫性 嚢胞の破裂によって生じる自然 気胸、
他の肺疾患に続発して起こる 続発性( 症候性) 気胸に分けられます。
2-外傷性 気胸は 胸部の強い圧迫や、折れた肋骨で肺が傷ついて起こります。
若年者の自然 気胸は、通常、肺の一部にできた肺 嚢胞が破裂して
起こるもので、約5対1の割合で男性に多く、
とくに長身で痩せ方の体型の人に多くみられます。
続発性 気胸は 基礎疾患の分布から高齢者に多くみられます。
高齢者の 気胸は、COPD(慢性 閉塞性肺疾患)や
結核治癒後の後遺症として気腫性肺 嚢胞症に合併するものが
多いのが特徴です。
3-医原性 気胸の原因としては、
経皮肺生検、鎖骨下静脈 穿刺、
経気管支肺生検などに引き続いてみられることがあります。
発症頻度は 外傷性 気胸を除くと、
自然 気胸、 続発性 気胸、 医原性 気胸はおよそ
3:3:4程度の比率でみられます。
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