第七話 天海学園のアイドル〜中編〜
「まてやこら〜!!」
「ま、まて・・・とい・・って、待つやつ・・・が・・いるか・・」
かれこれ30分間、休まず走り続けているので体力もそろそろ限界に達している。
「く・・そ、たった・・・30分で・・・へばるなん・・て」
いや、全速力で三十分も走ってまだしゃべれるなんて化け物に近いよあんた。
「光起〜!!」
「禎貴!助けに来てくれたのか!」
前方を見ると、禎貴がおれのほうに向かって歩いているのが見えた。
「禎貴!そこから思いっきりおれのほうに走ってこい!『え?なんで』いいからやれ!!」
「しゃあねえな。じゃ、いくぞ〜!」
ダダダダダッ! 禎貴がおれに向かって全速力で走ってくる。
「で?どうすればいいん『ぶっとべえ!!!』にょえええええええええ!!??」
俺に向かって全速力で走ってきた禎貴を、そのまま紅音チャン親衛隊に向けて投げ飛ばした。
「ぎゃあああああ」
「人が飛んできたああぁぁ」
「なぜえぇぇぇぇ!?ごぴゃ!!」
ちなみに今の最後は禎貴の声である。
「禎貴・・・・・お前のことは忘れない。・・・・ってか、そんなことより早く逃げにないと」
そういうと、俺はそこから逃げ出した。友を置いて・・・・
シード 紅音
一方、事故とはいえセクハラまがいのことをされた紅音チャンこと鈴峯紅音は、すんご〜く悩んでいた。
「どうしようどうしようどうしよう・・・・知らない男性にあんなことされるなんて。」
「そんならさ、そんなことされたことを理由に彼氏になってもらえば?」
突然、紅音の仲の良い女性、良子がとんでもないことを言い出してきた。
「へ?あ、あのkfjsdlふぇいお?」
もはや何を言っているか分からなくなっている。
それは当然であろう。彼女は今まで彼氏ができたことが一度もない。顔もスタイルもいいし、頭もいい。なのに、彼氏ができない。それは、親衛隊がすべて追い払っているからである。
彼氏が出来そうになると、不良ややくざなどいろいろなものになりすましいちゃもんをつけて追い払っているからである。今までの男性は、紅音を置いて一目散に逃げて行ってしまうので、紅音も付き合おうとしないのだ。(ちなみに、親衛隊がそんなことをしているのはまったくもって知らない。)
「だからあ〜、付き合ってもらえばいいのよ。確かその男ってあの、山崎光起でしょ。あいつ、中学校の頃一緒だったけどかなり強いわよ。女性にもやさしいしね」
「そ、そうなんだ」
その言葉を聞いた瞬間、紅音のなかではある二つの意見がぶつかり合っていた。
「だめよ。そんなことで付き合ってもらおうなんて。横暴にもほどがあるわ!」
今の声は、紅音の中の一つの意見、簡単に略すなら天使である。
「な〜に、いってんのよ。相手が勝手に触ってきたんだし、そのぐらいのことはしてもらって当然よ!」
今の声は、紅音のなかのもう一つの意見、これも略すなら悪魔である。
「なにいってるの!そんなことで付き合ってもうれしくないわよ」
と、反論する天使。
「な〜に甘いこと言ってんのよ。愛情なんか付き合い始めてから深めればいいじゃない。時間はたっぷりあるんだしさ」
と言い返す悪魔。
「そ、それは・・・・・・それとこれとは話が別よ!」
ややおされぎみになっている天使。何を言っているのか分からなくなってきている。
(チャンスね!)
「それにさ、彼氏ができないのはあんたのせいじゃない。毎度毎度、その人とは付き合っちゃダメ、その人は頼りない、その人は気に入らないとかさ。要求が多すぎるのよ。だから、今のうちに彼氏をゲットしとかないといけないのよ」
「・・・・・・・・」
反論できない天使。
その瞬間、紅音の思考は完全に悪魔に乗っ取られてしまった。
「ねえ、その光起くんってどういう人なの?」
「う〜ん・・・・私も中学ではあんまり仲良くなかったんだよね。・・・・・そうだ!情報屋に聞いてみれば?『情報屋?』そう。この天海学園の情報ならすべてを知っているという人よ。確か、二年生の背戸田先輩だったと思うけど」
「情報屋・・・」
いいこと聞いたわ。まずは相手のことを知らないと何も始まらないもんね。
そういうと、紅音は良子に別れを告げて二年生教室に向かって歩き出した。
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