第十一話 夏休み到来!!
ザザーン・・・・・・・
海の波が岩に当り、夏だなーと感じさせる音を出した。
「いや〜、やっぱり海はいいねえ〜」
カレー事件から十日が過ぎ、何とか試験をパスした俺達(俺・舞・蛍・雄大)は、試験の優勝賞品、ウィルセレの招待券を手に入れた蛍と一緒にリゾートホテルウィルセレに来ていた。
ちなみに、禎貴はカレー事件のせいで勉強に集中できなくなり、見事赤点を取ってしまった。
(禎貴・・・・・・すまん)
そして今、ホテルに着いた俺たちは、さっそく海で遊ぶべく、海パンに着替えていた。
「確かに海はいいよね。身体的ストレスや精神的ストレスを取り除いてくれるよ」
今、難しいことを言ったのは雄大先輩。まあ、意味はよくわからんがとにかく疲れが取れるってことだろうな。
「それにしても、禎貴は残念でしたね。ま、俺のせいなんだけど」
「でも、禎貴は補習ぐらいで海に行くのをあきらめる男じゃないと思うけどね」
どういう意味だ?まさか、禎貴が補習を抜け出してくるとか・・・・・・無理だろうな。なんていったって、補修の先生はキラーチョークこと磯崎先生と、説教が人一倍長い富田先生だもんな。
それにしても・・・・・・
「舞達、来るの遅いですね。もうそろそろ来てもいいはずなんですけど」
もう、俺達が着替え終わってからかれこれ30分は経っている。女性ってそんなに時間がかかるもんなのか?
「そんなにあせらなくても、時間はたっぷりあるんだし、気長に待とうよ」
「はあ・・・・・・」
それから、30分後(長すぎるよ)ようやく水着に着替え終えた舞達がやってきた。
「ごめんね〜、ちょっとほっちゃんが恥ずかしがっちゃって」
遅れてきたのに、悪びれた様子もなく謝ろうともしない。つくづく、舞の神経がどうなっているのか気になってくる。
ちなみに、ほっちゃんとは舞が蛍につけたあだ名である。(理由を聞くと、本人いわく『ほたるだから、頭文字をとってほっちゃん』だそうだ。そんまんまだけど)
「で、蛍はどうしたんだ?一緒にいたんじゃないのか」
「ほっちゃんなら、そこにいるわよ」
「そこって、どこ・・・・・・・あ」
柱の陰に、蛍がいた。ちょっと長めの髪をゴムで留め、眼鏡をはずしている。学校でみている時と違って、なんだか活発的な印象を出していた。
水着も、なんという名前かは知らないが、ふりふりのかわいい水着だ。
「あ、あの・・・光起くん、ど、どうかな?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「あ、あの、光起くん?」
はっ!いかんいかん。ちょっと見とれてしまってた。
「あ、ああ、とってもかわいいぞ。」
「あ、ありがとう」
「ちょっと、いちゃついてるとこ悪いけど、サッサと海に行くわよ」
なぜか機嫌が悪くなっている舞に、がちっと腕をつかまれ、引きずられるようにして俺は、海のほうへと向かっていった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜天海学園補習教室〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
カリカリカリカリ・・・・・・文字を書く音と、時々カツカツと黒板にチョークで何かを書く音だけが聞こえる。
ここは、赤点を取った者たちのための補習教室。夏休みというのに、ここにいる生徒たちは、休む間も惜しんで補習をしている。
そして、その中に一人、神経をとがらせて機会をうかがっている男がいた。
「くそ、光起のヤロー、俺をこんな目にあわせやがって。今頃、海で蛍ちゃんたちといちゃいちゃしてるんだろうな・・・・・」
その時、ヒュッと音がして、チョークが禎貴の頬をかすめていった。
「そこ、私語厳禁だぞ。サッサと手を動かせ」
「は、はい・・・・」
くそ、このままじゃ大事な夏休みを補習で終わらせちまうことになる。何か手は・・・・・・・・
コツン
「てっ」
なんだ、今のは・・・・・・ん、これは?
手紙だった。くしゃくしゃに丸めているが、きれいに開けてみるとその中には文字が書かれていた。投げてきた方向からすると、おそらく後ろのやつだ。
『突然だが、相談がある。お前、補習やりたくないだろ?俺に、いい手があるんだ。乗ってくれないか?もしいいなら、この手紙の裏に返事を書いて後ろに投げてくれ。
佐藤 剛』
・・・・・・・・・・なるほど、ここから抜け出そうってか。今まで誰もなしえなかったこの牢獄を。
・・・・・やってやろうじゃないの!!
禎貴はすぐに返事を書いた。もちろん返事は、OKだ。
(待ってろよ、光起!今に目に物見せてくれる。そして、待ってろよ、水着たちよ!!)
その日、天海学園にまたひとつ、伝説が作られた。
|