おやすみday〜姫は俺のキスで目覚める〜
ボーイズラブです。苦手な方はご注意ください。
「おい、響。ちょっとくすぐったい……」
「う〜ん大翔………眠い…」
俺──大翔の部屋のベットに座ったところ、俺の恋人──響は俺の肩に寄り掛かって寝ようとする。
それがとてもくすぐったくって嫌だと言うのだが、響は眠いと言って眠り込んでしまいそうだ。
「響……」
困った……。
「すぅ……すぅ……」
ついに響は寝てしまった。5月はとても過ごしやすい気候なので、眠くなりやすいのだろうけど……。
なんで俺の肩に寄り掛かりながら寝てるんだ。
可愛い奴め……。
寝息を立てて、気持ちよさそうに寝ている。それがとても初々しい。
幼い顔立ちと言うと響は怒るけど、本当に可愛らしい。ほっぺがふわふわしていてとても気持ちいいし、小さな唇は綺麗なピンク色に染まっていて……。
うっかりへんな妄想をしてしまいそうになり、響から目を逸らした。
「はぁ……」
響と出会って何度溜息をこぼしただろうか?
嫌な溜息じゃなく。呆れた溜息でもない。疲れてふとつく溜息でもなく。
甘く甘く気持ちのいい溜息。
嬉しくて嬉しくて堪らない。
響が我儘を言うたびに、ちょっと嫌な顔を見せるけど、それはもちろん本心ではない。
我が儘ってこんなにも嬉しいものだなんて知らなかった。
「こうしてほしい」「絶対そうじゃなきゃ嫌っっ」
それは俺の気を許していると分かるから、響が俺を好きって言う証拠だから。
「響……」
逸らした目を響に元に戻し、響の名前を呟く。その本人は起きることなく、寝ている。
「響」
今度は彼の耳元で名前を囁くが、それでも起きない。
『知ってる?お姫様は王子様のキスで目覚めるんだよ?』
突然の前に言っていた響の言葉が頭に浮かぶ。
なんて可愛らしいことを言うんだろう。高校生男子の発言だとは思えない。今時の男子が、白雪姫にするキスを信じているのだろうか?
と、思うのだが、響ならあり得る話だった。
本当にキスで起きるものなのか?とちょっとした好奇心で。
……なんかちょっといつもと違う。
いつもキスするときは響は起きていて、「してしてっ」とせがんできてやるっていうことが多い。
自分からすることもあるが、響で起きていないと気にするなんて初めてだった。
響の唇に自分のそれを重ねようとする。
唇が重なった瞬間、響のカラダがピクッと跳ねた。
「……っっ」
ちょっと急とした目がとてもキュンときた。
「……大翔ぉ……?」
目を擦りながら起きる響。その仕草が、とても子供っぽい。
「うん?」
「何か……よく寝た」
その言葉に俺は苦笑する。響が寝ていたのは、ほんの数分。よく寝たという時間にはほど遠いものだ。
それでも、そう言ってくれたことは幸せを感じる。俺の口付けで目覚めて、そしてよく寝たと言ってくれる。
「そうか……喉乾いていないか?」
少しの時間と言っても寝ると喉が渇く。
だから水を持ってこようかと訊ねると、なぜか響は恥ずかしそうに下を向きながら、小さく頷いた。響は寄り掛かっていたカラダを俺から離す。
俺は台所に行って、冷蔵庫からミネラルウォーターを出す。
部屋に戻ると、響はまだ下を向いていて、俺の顔を見ようとしない。
「どうかしたのか?響」
いつもと様子が違う響。
どうしたのだろうか?
「あのね……ちょっとお願いがあるんだけど……」
ぼそぼそっと離す声は少し聞きとりにくいけどなんとか聞きとれた。
「うん?何だ?」
「それがそのぉ……」
もしかして『そっち』のお願いなのか?
前にどうしてしてくれないの?と訊かれたことがある。それは俺が響を怖がらせたくないから、ちょっと待ってくれと頼んだのだ。
それに響の限界が来たのか?
不安に想っていると、響は恥ずかしそうに小さく言った。
「口移しで水、飲ませてぇ……?」
………。
数秒の沈黙。俺は言ってることがよく分からなくて固まっていたわけだが、響はそれを違う意味に履き違えたらしい。
「ご、ごめんっ。引いた?」
慌てて謝る響。
どうやら、俺が引いたの思っているらしい。
「違う。ちょっと驚いただけだ」
「それを引くって言うんだよ……」
俺の一言が、余計に響を落ち込ませてしまったみたいだ。
どうして俺は、響を落ち込ませる事ばかり言ってしまうんだろう?
口下手なのは、俺自身よく分かっている。
響はいつも俺を喜ばせてくれるのに……どうして俺は……。口下手な俺が恨めしくなる。
「響。ごめんな。俺、口下手で……。その俺どうゆう風に言っていいか分からないんだ。どうすれば響を喜ばせる分からない」
情けない事、言ったと思う。でも、もう聞くしか方法が分からなかった。
響を喜ばせることができるなら、かっこ悪くても……。
「それでいいよ。本心を言ってくれるのが一番僕にとって嬉しいこと。ただ、僕が我儘を言いすぎるだけ……。大翔が困っていたの気付かなかった僕の方こそ、ごめんなさい……」
「違う。響違うんだ。俺その実は……」
響の涙目を見ていたら、自分の本当の気持ちが見えた。
響を怖がらせたくない。そう言ってきたけど、あってると言えばあってるけど、少し違っていたことに。
本当は、自分が怖かったんだ。
「独占欲が強い俺を、響に嫌われるかもしれないと思ったのが怖かったんだ」
すんなりと言ったように聞こえるかもしれないが、此れでも心臓がバクバクとしている。
「そんなことないよ?僕、そんなことで大翔を嫌いになるなんてないからねっっ!!………逆に大翔がそう言ってくれるの嬉しい……」
やっぱり、響は俺に嬉しい事ばかり言ってくれる。
「じゃあ、響。口を開けて?」
甘く囁くと、響の顔がポッと赤く染まる。響は目を瞑って、口をゆっくりと開ける。
俺は持ってきたミネナルウォーターを口に含んで、そのまま響の口に運ぶ。
唇をうっすらと開けた響の口の中にミネラルウォーターを流す。
ちょっと違う感覚で、ひんやりとしたキス。
気持ち良くて、俺の口の中にミネラルウォーターがなくなっても、ずっと唇を重ねていた。
「んんっ…ふぅんっっ」
息苦しくなったのか、響は俺の背中を叩く。
ゆっくりと重なっていたそれを離すと響は大きく息をする。
「苦しかったか?」
嬉しいそうに響は首を横振る。
「ううんっっ。もう一回やってほしい……ダメ?」
「仰せのままに」
そして、俺はミネラルウォーターを口に含んで響にキスをする。
病みつきになりそうなぐらいひんやりとしたキスは気持ち良くて……。
一日中、俺達は冷たいキスを繰り返していた。
───冷たいキスで起きるのは、俺だけの可愛いお姫様。
こんにちは。彩瀬姫です。
題名からベタな気がしましたが、あまあまな二人如何だったでしょうか?
私的には、ラブラブな二人を書けて楽しかったです!!
来月も頑張りますので、よろしくお願いします。