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第325話:神様デパート〈その5〉
 ちび共の玩具を買い、ゲームセンターなどで遊んでから帰宅する。元の世界に戻ってから、タテと別れて、俺達はアパートへと足を向ける。

 アパートへと到着し、荷物を下ろすとやれやれだ。ちび共は買った玩具を広げて、シバルは一人でファッションショーだ。皆して、もの凄く嬉しそうである。俺はキッチンに行き、夢に向かって一歩踏み出す。

 夕食を作り終え、全員を呼び集める。ちび共が夕食を飲み込むように食べる中。俺は注意しながら、一つ思い付いた質問をする。

「おい、お前らは大きくなったら、何になりたい?」
「ウェスタはアイスクリームになりたいの!」
「ボクは怪獣になる!」

 二人共に大きな夢を持っているようだ。叶うかどうかはともかく夢を持っていることは素晴らしいことであろう。不意にシバルに向く。こいつに夢はあるのだろうか? 俺がシバルに問いかける。

「おい、お前は何かになりたいとか、こういう生活を送りたいとか……そういった夢はあるのか?」
「僕ですか? そうですね……。夢が叶うのなら、人間になって。彼女とラブラブな生活を送りたいですね。彼女と同じ学校に通って、毎日お話して、休みの日はデートに行って。いずれは結婚……はぁ~、素敵ですね~」

 照れながら騒ぐシバル。聞いた俺がバカだった。大体、同じ学校なんて無理な話だ。何せ今井は女子高である。お前が通えるわけないだろ? 通えたとしたら、無秩序が生じる。そのことにシバルは気づいていないようだ。妄想に耽り、一人で幸せ夢想に陥る。

 他の人はどうなのだろう? 春日井達にも夢はあるのだろうか? その夢に沿って、進路を選ぶのか? 大学受験はどうするつもりだろう? 俺は何も考えていないが……桜井や青木は考えていそうだ。そんなことを考え出すと、何だか急かされる気分になる。

 首を振って、心によぎる不安を振り払う。今は何も考えたくない。難しことは嫌いだ。この甘い生活に身をゆだねて、今という現実だけに目を向ける。先の事なんていくら考えてもわかりはしない。俺は気まぐれなんだ。今日の考えが明日に響くとも限らない。

 ちび共が和室に駆けていく。俺は後片づけをシバルに任せて、ちび共の後を追いかける。今日買った玩具を見せてもらうのだ。ウェスタとヒュプが粘土を取り出し遊び出す。動く粘土だそうだ。作った作品が動き出すらしい。

 俺も粘土を分けてもらい制作を始める。これで桜井のフィギュアは作れないだろうか? 結構、真面目に考える。三日間しか動かないとはいえ、クオリティーの高い物が出来たら有頂天だろう。

 この際、粘土をもっと大量に買ってきて、等身大の桜井を制作すればよかったか? シバルに頼めば、最高の芸術作品が出来そうだ。くっそ~、しまったなぁ~。後悔する俺。こんな俺を桜井が見たらどう思うだろう。怒られそうだ。

 小さくてもいい。とにかくクオリティーの高い物を! 必死になりながら、制作していると。目の前を粘土が通過する。大きな音が鳴って、そちらに振り向く。粘土が壁に衝突していた。両手を上げながら、ウェスタが言う。

「電車なの~!」
「ほぅ~、凄いなぁ……。しかし、電車なら線路を作らないと、壁に突っ込んでるぞ」
「怪獣! ガオー!」

 ヒュプの方に目を向ける。ヒュプの前には何だか不気味な物体だ。生き物だとは思えないが、よく見ると微妙に動いている。怖いなぁ……。思っていたら、それが火を噴きだした。小さな炎であるが、炎は炎。畳が燃えだす。

 発狂する俺。シバルが駆けてきて、同じく発狂だ。ヒュプは大喜びで、ウェスタも目を輝かせている。衝突電車を取りに行き、もう一度作り直す。頼むから、同じ物を作らないでくれよ。注意する前にまずは水だ! 

 シバルと二人で騒ぎながら、消火水を用意する。どうにか火を消し、沈黙する俺達二人。怪獣は真っ先に破壊した。ヒュプが怒って、俺を叩いているが。こればかりは許してくれよ……。

 焦げくさい臭いが広がる部屋に立ち、腕を組んで学習する。今度から、神様関係の品物は注意書きをよく読んでから、扱うことにしよう……。

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