第37話:遠足〈その5〉
しばらく歩いていると、花の丘広場へと到着した。名前の割には花がなく、どちらかと言えばただの原っぱだ。人は結構いるようで、原っぱに寝転がる人やバドミントンなどの遊具で遊ぶ人の姿が目に入る。広場を目にして大杉が口を開く。
「花の丘広場なのに全然花がないわね、ただの原っぱね」
「いいじゃん! 原っぱって言ったら、キャッチボールだよな」と春日井。
「ボールなんてないぞ」
俺が春日井の夢をぶち壊す、そこに青木がフォローを投げかける。
「あの場所で遊具を借りれるみたいですよ」
「もちろん有料だけどね」と大杉。
それを聞いて春日井とウェスタ達が俺にお強請りをしてくる。
「タックン、青春のキャッチボールとかしたくない?」
「ボール!」
「ボールで遊びたいのー!」
「いや、俺は言葉のキャッチボールで満足だ」
俺が春日井の誘いを拒否する。春日井がつまらなそうに口を開く。
「つまんないな〜、心の暖かいタックンなら奢ってくれると思ったのに」
「クールを目指してるんだ」と俺。
「ボール欲しい!」
「ウェスタもボール欲しいの」
ウェスタ達が非常に邪魔である。俺はシバルに目を向ける、シバルが了解したように言う。
「わかりました、任せて下さい」
シバルがウェスタ達に声を掛けて誘導していく。一体どうするつもりなのだろうか? 考え込む俺を余所に、青木が口を開いた。
「何だか天気が崩れそうですね」
「あら、本当」
大杉が空を見上げる。空には怪しい雲がかかっていた、雨が降りそうな気配が感じられる。そんな中で突然に大きなどなり声が聞こえてきた、もちろん俺はそちらに目を奪われる。
そこには赤い服を着た子どもと青い服を着た子どもが口喧嘩をしていた、親の姿はないようだ。赤服の子どもが口を開く。
「今日は晴れ! 天気予報でも言ってたでしょ!」
「雨だよ、雨! 今は六月じゃないか!」
「何言ってるのよ、雨なんてじめじめして気持ち悪いだけじゃない!」
「晴れなんて日光で頭痛くなるだけじゃないか!」
「晴れの方がいいに決まってるわ!」
「雨の方がいいに決まってる!」
何だ、こいつらは? 俺は思わず春日井に向く。
「あいつらの親の顔が見てみたいよな」
「どれ?」
「あそこで喧嘩している二人の変な子どもだ」
「子供? どの子どもだよ?」
「赤い服を着た女の子と青い服を着た男の子だ」
「え〜? そんなのいるか?」
春日井の言葉に俺は気が付く。もしやこいつら他の人間には見えていないのか、それは要するに神様ってことか? 俺が思考していると、二人の喧嘩がエスカレートしていった。突然に青服が天に指さす、すると大降りの雨が原っぱに降り注いだ。
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