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第35話:遠足〈その3〉
 バスが目的地へと到着した。バスから降りるとウェスタも元気になり、いつものようにヒュプと追いかけっこをしている。シバルは二人が遠くへ行ってしまわないよう目を配りながら俺に話す。

「やっぱり緑はいいですよね。こうやって深呼吸すると自然の香りが身体に入ってきて、まるで命の息吹を取り入れているような気分になります。それに、心も癒されて、日頃の苦労も忘れてしまいそうですよね。そう考えると自然の力って凄いですよね、ただ存在しているだけで人を癒してくれるんですよ……」

 俺は手でシバルの声をさえぎる。今はお喋りに付き合えない、周りに人が多すぎるからだ。俺の行動にシバルははたと気づき、決まりが悪そうに微笑しながら口を開く。

「そうですよね、今はお話できませんよね。こんなに人がいますし………」

 俺は頷くこともできないので、シバルに目で合図する。シバルは俺の視線を理解してくれたようだ、片手を上げて俺に言う。

「わかりました。では、僕が一方的に話しますね」

 こいつは………嫌がらせであろうか。俺がシバルを睨みつける、シバルは両手を振りながら口を開く。

「冗談です、冗談です。黙ってますよ」

 そこへ春日井が話しかけてきた、俺の不審な動きに興味を持ったのだろうか。

「どうしたんだ、タックン?」
「いや、太陽が眩しくてな」
「太陽はあっちだぜ」
「そう言えばそうだったかな」
「あなた達、いつの間にボケと突っ込みが入れ替わったのよ?」

 大杉が話に乱入してくる、上手いこと話しが流れそうだ。俺が大杉に目を向ける。

「そろそろ交替の時期かと思ってな」
「それなら、タックン。大いにボケてくれ、いくらでも突っ込んでやるぜ!」

 春日井が意気込みながら俺にグッドポーズをする。何をボケろと言うのだろうか、俺は漫才師ではないのだし、ボケる必要はないと思うのだが。春日井が期待の目で俺を見る、俺がボケるのを待ち構えているようだ。それを見て大杉が言う。

「やっぱり無理ね。春日井君は永遠のボケ役よ」

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