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第34話:遠足〈その2〉
 学校に到着すると、校庭へと集まる。点呼を済まし、パスへと乗り込む。神様組も紛れ込みながら一緒にバスへと乗り込んだ。もちろん俺のクラスが乗るバスにだ。

 俺の隣はお調子者の春日井である。ヒュプは俺の膝上に座っており、ウェスタは桜井の所へ行っている。パスの中だけウェスタを預かってくれと前もって頼んでおいたのだ。無論ウェスタには大人しくしておくように十分に注意しておいた。

 もしも、妙な事が起きればヘルプしろとシバルにも言ってある。こいつがいれば少々の問題なら解決できるはずだ。ちなみに、シバルは俺の頭上にある荷物置き場で寝転がっている、妙な所が好きな奴である。

 俺の隣の春日井がお菓子を取り出して口を開く。

「タックンも食う?」
「どうも」

 俺が春日井からお菓子をもらった直後にヒュプが俺の手からお菓子を奪った。こいつは大人しくしているつもりはないようだ。桜井に任せたのがウェスタで良かった。ヒュプをわたしていたらたぶん手を持て余していただろう、俺ですら対処しきれない。春日井が首を傾げる。

「あれ? お菓子が消えた?」
「あぁ、落としたんだ。目標発見、三秒ルール」

 俺は落ちたお菓子を拾って食べるふりをする。本当はお菓子など拾っていないし食べてもいない。だが、こうしないと矛盾が生じる。それを見て、春日井が口にする。

「タックン、いつの間にもったいない精神が芽生えるようになったんだよ」
「一人暮らしを始めたあたりからだ」
「へ〜、一人暮らしをしたらもったいない精神がアップするのか」

 春日井が感心しながら納得する、どうにか誤魔化せたようだ。

 俺が安心した直後に、春日井からいびきが聞こえてきた。俺は春日井に目を向ける、爆睡しているようだ。よく見ると、春日井がさっきまで持っていたお菓子が消えている。俺は自分の膝上に目を向ける、そこにはお菓子を頬張るヒュプがいた。

「おいひー」
「お前、何て事をするんだよ。二度とこんなことするなよ」
「ん〜」

 二度目はないが一度目に大事を起こすこいつは本当に問題児だ。しかし、春日井が眠ってくれたのは良かったかもしれない。というのも、ヒュプが何をしでかすかわからない状況で、隣の春日井が起きているのは俺の心臓に悪いからだ。

 安心した俺は窓の外へと目を向ける。少しずつ緑が増えていく風景は何とも心地よいものだ。普段から木々や草などがあまりない都会に住んでいるのに、このような風景を懐かしいと感じるのはどうしてだろう。呆けている俺の目の前に突然シバルが現れる。

「ちょっと聞いて下さい、問題が生じました。というのもですね、ウェスタちゃんが気分が悪いと言っているそうで……」
「まさかバスに酔ったのか?」
「はい、そういうわけですね」

 俺はヒュプを持ち上げながらゆっくりと立ち上がり桜井の席へと目を向けるが、遠くて見えない。俺はもう一度席に座り直し、シバルに助言を求める。

「お前、どうにかできないのか?」
「そうですね〜。あ、いい案を思いつきましたよ。ヒュプ君の能力でウェスタちゃんを眠らすとかどうでしょう?」
「それは名案だ! よろしく頼む!」

 俺はヒュプを地面に下ろして口にする。

「ヒュプ、シバルの言うことを聞いてくれ。今は緊急だからふざけてられないぞ」
「わかった」
「では、行きますよ」

 シバルがヒュプを誘導して、桜井達の所へ連れていく、うまくやってくれよと俺は祈る。しばらく経って、ヒュプとシバルが帰ってきた。ヒュプがブイサインをする。

「できた!」
「よし」

 俺は小さくガッツポーズだ、怪しい奴だと思われないように気を配りながら喜びを表現する。シバルが続いて口を開く。

「って言っても、後五分くらいで到着しますけどね」
「そうなのか?」
「花の丘公園でしょ? それならもうすぐですよ」
「シバ君、知ってる?」

 ヒュプがシバルに訪ねる。それに対し、シバルが頷く。

「はい、一度行ってみたことがあります。確か、あの場所って……」

 シバルが考え込むように沈黙する、普段からお喋りなこいつの沈黙は妙に不気味だ。俺は心配そうに質問する。

「どうした? 何か問題でもあるのか?」
「いえ、まさか。僕が行ったのは結構前ですし、状況は変わってるかもしれません。そう願いたいですね」

 不安げな顔をする俺とヒュプにシバルは首を振って答える。

「大したことじゃないです、気にしないでください」

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