第30話:スーパーにて
俺達は神様が見えるということを他の人間には黙っておくことにした。それは黙らなければいけないという絶対的な規則ではなく、ただ変な人間だと思われるのが嫌だったからだ。
俺は既に遅いかもしれないが、桜井を巻き込むわけにはいかない。今後は教室内でシバルを黙らせておくことにする。
いつかは春日井達にも言ってやりたいものだが、あいつらは俺の言葉を真に受けてくれるのだろうか。まぁ、例の黒板事件があるので冗談だとは思わないだろう、神様を幽霊と勘違いすることはあっても。
桜井と会話をし、仲間がいることを知った俺は喜び半分で帰路につく。今日は良いことと嫌なことが同時に訪れた、足して二で割ったら普通になるのだろうか、俺はそうは思わない。
帰宅途中でスーパーに立ち寄る、シバルが買い物をしたいと言っていたからだ。俺がカゴを持ちシバルが商品に目を通していく。ウェスタとヒュプはポイポイとカゴにお菓子を放り込む、お前らの主食はお菓子かと怒鳴りたい。俺はウェスタ達に小声で言う。
「おい、買いすぎだぞ。こんなに食べたらお腹を壊すだろ」
「大丈夫!」
ヒュプが胸を張って言う、どこからその自信が出て来るのか。俺は首を振って否定する。
「駄目だ、お菓子は一人三つまでだ。三つで一週間は耐えろよ」
「三つだけ?」
ウェスタがすねるように口にする。
「俺も家計がヤバいんだ、許してくれ」
「ん〜」
ヒュプが抗議する、俺はため息をついて口にする。
「わかった、じゃあ、五つだ。一人五つまで、それ以下ならいくらでも減らしてくれ」
「はーい」
ウェスタ達が多すぎるお菓子を棚へと戻していく。それを見てシバルが言う。
「あなたって子どもには弱いですよね。年よりの扱いはひどいのに」
「年齢の差じゃない。性格の差だ」
「それは僕の性格が悪いということですか?」
「よくわかってるじゃないか」
「言ってくれますね〜。何がそんなに悪いんですか? 僕的には結構努力しているつもりなんですよ、文句も言わずにあなたに尽くしてるつもりなんですけどね、やっぱり一日じゃあわかりあえないものなのですかね。親友っていうのは出会った時から親友だって言いますけど、あれは嘘なんでしょうかね? 僕もあなたと親友になりたいなぁ〜って思うんですけど、あなたの方が僕を避けるから、どうしてか仲違いが起きるんですよね。まぁ、一方的な仲違いですけど。僕の方は何とも思ってないのですが……」
「それが問題なんだ、その言葉の量をせめて半分にしてくれ。そうすれば、俺も半分くらいはお前のことを好きになるかもしれない」
「じゃあ、大好きになってもらうには黙るしかないですよね」
「そうだな」
「つれないなぁ〜、僕に黙れなんて、無理に決まってるじゃないですか。だって、僕は話すのが大好きでこれだけが楽しみでもあり……」
「ほら、行くぞ」
俺はシバルを促して、レジへと向かう。ウェスタ達は俺の所に来てカゴを覗き込む、早く自分のお菓子を手に取りたいのだろう。俺らは会計を済ますと、スーパーの外に出た。そこでシバルが思い出したかのように口を開いた。
「あ、ちょっと待って下さい。忘れ物をしました」
そう言うと、シバルはスーパーへと戻って行った。何を忘れたのだろうか? あいつが忘れる物など想像がつかない。
数分後、シバルがスーパーから壁抜けをして出てきた、手にはダンボールだ。壁抜けを行う際に所持している物も通り抜けるのか。何て便利な技なんだ、俺にも教えてほしい。俺はシバルに言葉する。
「おい、いいのか? 勝手にダンボールなんてパクってきて」
「いいじゃないですか、どうせ商品じゃないんですし」
「そういう問題か?」
「まぁまぁ、一つくらい許してもらいましょうよ」
俺は黙認して、アパートへと足を向けた。神様三人も俺に続く。俺の一人暮らしはいつからこんなにも騒がしくなったのだろう。かなり最近のはずだが、遠い昔のような気がするのは家が恋しいためであろうか。
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